思春期女子との付き合い方「彼氏ができたと言われたら?」「機嫌が悪い娘とどう接する?」効果的な声かけ例とは【性の赤裸々相談室】

高校や小学校の保健室の先生を経て、現在はフリーランスの性教育講師、思春期保健相談士として各地の学校や講演会で活動しているにじいろさん。小学生ママたちの打ち明けにくい性に関するお悩みや疑問にお答えいただく大人気シリーズ【性の赤裸々相談室】。今回は、小学校高学年から中学生女子の子どもを持つママのお悩みに答えてもらいました。

子どもとの恋愛トーク。気をつけることは?

「彼氏ができた」「彼氏がほしい」など恋愛絡みのことを話してくれたとき、楽しく恋愛話をしたいですが、気をつけることなどありますか? (小4、中2の女子のママ)

「彼氏ができなくて凹む」「モテない」などと卑屈になっているときがあります。まだ中2なので気にしなくてもいい気がしますが……。(中2女子のママ)

「話してくれてありがとう」と明るく受け止め、知っておいてほしいことを伝えるきっかけに

にじいろさん(以下:にじいろ) 思わず「まだ小6なのに?」「なにそれ?」のような、少しネガティブともとれる驚いたリアクションをしてしまいがちですが、まずは肯定的なリアクションを心がけたいですね。第一声や初めのリアクションが大事なので、明るい雰囲気で「話してくれてありがとう」と、ポジティブに受け止めてあげてください。

——なるほど。「まさか」「え?」などと、驚いてしまいそうです。

にじいろ 驚いたら正直に「突然の話だからびっくりしたけど、話してくれてうれしいよ」と、話してくれたことを否定はせずに受け止めてあげれば大丈夫です。親の感情を変にごまかしたり、誇張したりする必要もありません。

そして、彼氏とどんなことをしているのかなど、具体的なことも気になってきますよね。そんなときは「素敵な相手ができてよかったね。おめでとう。お母さんもうれしいけど、知っておいてほしいこともあるよ」などと、子どもの話を受け止めた上で、性の話ができそうな雰囲気ならしてみてもいいですね。

例えば、「お母さんが初めて彼氏ができたときは」と自分の話を例に出してみたり、「彼氏とはどんなことをしたいとかある?」と気になることを聞いてみたりするのもいいですね。

子どもの話を受け止めたうえで、性の話ができそうなら伝えてみる。

——彼氏ができないこと、モテないことに卑屈になっているときはどうしたらいいですか?

にじいろ 「友達に彼氏がいるから」「彼氏がいるほうがイケてる」などと、子どもは考えがちですよね。

そんな気持ちを打ち明けられたら、「彼氏なんかいらない」「なんでほしいなんて思うの」などと否定的な言い方はせずに、「あなたは彼氏がほしいんだね」と、気持ちを受け止めてあげてください。その上で、「お母さんはあなたが誰かと付き合うなら、●●な人がいいと思うな」「あせらなくても大丈夫だと思うな」などと、自分を主語にしたアイメッセージで伝えたいことを伝えられるといいですね。

そのときに「こうしなさい」「それはだめ」などと命令や否定をせずに、あくまでも「お母さんの気持ちはこうだよ」と伝えるのがおすすめです。

——いろいろと気になってしまって、娘と恋愛トークを楽しくできないかもしれません(笑)。

にじいろ そうですよね。いまは友達関係のような親子が多く、なんでもオープンに話す家庭も見られますが、子どものプライバシーと同じように親のプライバシーも大事なこと。話したくないことを無理に話さなくてもいいですし、相手が話したくなさそうなことは無理に聞き出す必要はありません。

——オープンに話すことがいいことなんだと思っていましたが……。

にじいろ もちろん、オープンに話すこと、話されることがお互いにイヤでなければ話してもよいと思います。しかし、どちらかに違和感があれば、無理に話すことではありません。

ただ、キスをしていたり手をつないでいたり、関係が進んでいる感じがしたら(もちろん感じなくても)、性について知っておいてほしいことを話したほうがいいですね。もし、性の話をするのが気まずいと親の方が思う場合は、性教育の本を渡すのもおすすめです。(※おすすめの本を記事の最後に紹介します)

機嫌が悪い娘にどう接したらいいのかわかりません

「反応が薄い」「朝の機嫌が悪い」思春期女子にどう対応する?

ホルモンバランスのせいなのか寝不足のせいなのか、特に朝の機嫌が悪くて、どう接していいのかわかりません。(小5女子のママ)

とにかく反応が薄い中2の娘。聞いているのか聞いていないのかわからなくて、ついイライラしてしまいます。(小6男子、中2女子のママ)

その場で解決しようとあせらない。あいさつだけは最低限交わそう

にじいろ 今日は機嫌が悪いな、様子がおかしいなと感じたときは、「おはよう」「ありがとう」などの最低限のあいさつや声かけをするようにして、無理に解決しようとせずに放っておけるようなら放っておくのがいいですね。我が家にも同じ年頃の娘がいるので、気持ちはとてもわかります。ある程度、「いまは反抗的な態度を取る時期」と割り切っているほうが、お互いのためにもいいかもしれません。

——そうですね。でも「その態度はなに?」とイライラしてしまうこともあります。

にじいろ そういうときもありますよね。そんなときは「元気がなく見えるけど、何かあった?」と、聞いてみて反応を見るのもいいですね。物に当たるなどしていたら、「ずいぶん荒れているね」と、事実だけをチラッと話し、違う部屋に行くなどして物理的な距離を取るのがおすすめです。

その場で解決したり、仲良く話したりいつも通りに会話をしたりしたいと思いますが、何かすればするほどこじれることもあります。「話したくなったら話してね」「無視してるわけではないから、落ち着いたら話そう」などと声をかけてから距離を取るのもいいですね。

声をかけておき、適度な距離を取るのもひとつの対処法。

——なるほど。きょうだいに当たるようなことがあったらどうすればいいでしょう?

にじいろ 多少の不機嫌くらいならその場ではできるだけ放っておいて、本人がいなくなったときに「お姉ちゃん、ちょっと機嫌が悪いみたいなんだ。あんな風に言われてイヤな気持ちになったよね」と、声をかけてフォローしてあげるといいですね。その場で注意しても、火に油を注ぐことになり、余計にヒートアップする原因にもなります。きょうだいを侮辱する言葉、行動に対してはきちんと注意する必要がありますが、基本的には落ち着くのを待つのがいいでしょう。

にじいろさんが思春期女子におすすめする性教育本

娘に面と向かって性の話をするのが気まずいと親の方が思うときに頼りになるのが、性教育の本です。「いま人気がある本なんだって。よかったら読んでみて」とさりげなく渡してみては?

遠見才希子 KADOKAWA 1,430円

小中高で性教育を行ってきた産婦人科医が子どもたちに伝えたいことをマンガでまとめた一冊。性についてポジティブに学ぶことができる。

及川夕子 講談社 1,320円

10代女性の「心」と「体」を守る最新情報を1冊にまとめたこの本は、娘と「性」の話がなかなかできない親御さんにもおすすめ。学校では教えてもらえないスキルが手に入る。

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お話を聞いたのは

にじいろ 性教育講師・思春期保健相談士

元保健室の先生であるにじいろさんが性教育を行う対象は子どもだけではなく、保護者や教員など様々。現場の声と知識を活かして、多岐にわたる活動をしている。昨年出版した著書「10代の妊娠」(合同出版)では、10代の子どもの妊娠や出産、中絶など、リアルな性の悩みを紹介し話題となっている。

 取材/本間綾

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