「梨の礫」とは?
読み方と意味
まずは読み方と意味を確認しておきましょう。この言葉は『梨の礫』と書いて「なしのつぶて」と読みます。
連絡をしたのに何の返事もないことを示す言葉です。
「梨の礫」の由来・語源
礫という漢字は訓読みで「こいし」「いしころ」と読み、この文字だけで小さい石を表します。「梨」は「無し」の語呂合わせと言われています。
『梨の礫』とは、投げられた小石が戻ってこないことから、連絡をしたのに何の返事も戻ってこない状態を表した言葉です。
礫は大きさによって名前が違う?
礫という漢字は音読みで「レキ」と読みます。「瓦礫(がれき)」や「礫岩(れきがん)」など、石に関係する熟語でも使われています。

小さな石を表す「礫」ですが、実は粒の直径によって呼び名が違います。礫は2mm以上のたい積物のこと。
大きさによって、細礫(2〜4mm)、中礫(4〜64mm)、大礫(64〜256mm)、巨礫
(256mm以上
)に分けられています。巨礫と聞くと、言葉だけでは大きいのか小さいのかわかりませんね。
形によっても、角ばったものは「角(かく)礫」、角がとれたものは「円(えん)礫」と呼びます。
使い方を例文でチェック!
では、『梨の礫』の使い方を例文でチェックしていきましょう。

1:待ち合わせに来なかった友達が電話にも出ないし、連絡もない。梨の礫で心配だ。
連絡が取れず、安否が心配な状態は『梨の礫』と言えそうです。
2:小学校の同窓会の案内を出したが、半数以上が梨の礫で連絡先もわからない。
卒業して長い時間が過ぎると『梨の礫』になってしまう同級生もいるかもしれません。
3:海外の仕入れ先に急いで納品してほしいと依頼をしたが、梨の礫だ。時差の問題というわけでもなさそうだ。
ビジネスの依頼にすぐ連絡がないときも『梨の礫』を使います。
類語や言い換え表現は?
では、『梨の礫』を別の言葉で言い換えたい場合、どのような表現を使うことができるのでしょう。『梨の礫』に似た表現を探してみました。

1:音沙汰がない(おとさたがない)
連絡ややりとりがなくなってしまった様子の「音沙汰がない」。『梨の礫』と同じく、長く続くと心配な状態です。
2:未読(みどく)スルー
メッセージアプリで、メッセージを開かずにそのまま放置している状態を指す「未読スルー」。せめて読んでほしいけれど、『梨の礫』と同じく連絡がつかない状態です。
3:ノーリアクション
何らかの出来事や働きかけに対して反応(リアクション)が全く無いことや、そのさまを意味する「ノーリアクション」。『梨の礫』と同じ状態と言えそうです。
4:音信不通(おんしんふつう)
訪問や連絡などのやりとりが途絶えている様子の「音信不通」。『梨の礫』と同じ意味の状態です。
対義語は?
『梨の礫』に明確な対義語は存在しませんが、『梨の礫』の反対の意味に当たりそうな言葉をさがしてみました。
1:即レス
連絡への返事がとても速いという意味の「即レス」。『梨の礫』とは、逆の意味の言葉といえそうです。
2:二つ返事(ふたつへんんじ)
気持ちよく、すぐに承諾することを表す「二つ返事」。こちらも『梨の礫』とは逆の意味の言葉です。
3:打てば響く(うてばひびく)
すぐに働きかけに反応が返ってくる様子の「打てば響く」。こちらも『梨の礫』とは反対の状態を表しています。
英語表現は?
では、『梨の礫』は英語ではどのように言い表すことができるのでしょうか。最後に『梨の礫』の英語表現と言えそうな言葉をご紹介します。

1:Have not had a whisper.
“ささやきさえ聞こえてこない“という意味で、『梨の礫』と同じく無反応な様子を表す言葉です。
2:not getting a reply.
“返信なし“という表現で、『梨の礫』と同じ状態を表しています。
3:Complete silence.
“完全な沈黙”という意味で『梨の礫』の無反応の状態を表現しています。
「梨の礫」の意味と由来を知って、正しく使いましょう
なかなか連絡が取れないとき、『梨の礫』という言葉を思い出して、使ってみてください。
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構成・文/kidamaiko