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Q:自分の気持ちを伝えられない娘。このままだと心配です!
娘は、親の私には自分の思っていることを素直に話せるのですが、学校の先生や周りの人には、なかなか話すことができないようです。入学してすぐに、同じクラスの子にたたかれたことを先生に伝えられなくて、次の日も「同じことをされた」と言っていました。
たたかれた相手にも、はっきり「嫌だから、やめて」と伝えることができなかったようです。自分の気持ちを相手に伝えられるようにしてあげたいのですが、どのように教えたらよいでしょう。(p.b.1004 さん)
A:親子の会話を増やし、語彙力を高めるトレーニングをしましょう。
わが子が学校で嫌な体験をしたと思えば、親御さんも気が気ではないでしょう。幸い、娘さんは親御さんに何でも話してくれるようですね。まずは娘さんの話に耳をかたむけましょう。
ケガの有無を確認した上で、どんな気持ちだったのか、可能なら友だちにたたかれるまでの経緯も、ていねいに聞き取っていけるといいですね。「○○さんに、背中をポンとたたかれたの」と娘さんが言ったとしたら、「どんなときにたたかれたの?」と聞いてみましょう。「○○さんが△△さんとケンカになって、止めようとしたらポンってたたかれた」というように、詳しい経緯を知るとトラブルの印象が変わってくることがあります。
また、子どもの様子から、たたかれて困っているのか、あるいはケンカを止めに入ったことをねぎらってもらいたいのかが見えてくるはず。
後者なら、「ケンカを止めようとして、えらかったね」と声をかけてあげれば、子どもは満足すると思います。前者なら、子どもにどうしたいかを尋ねましょう。「たたかれて嫌だったのね。先生に相談してみる?」と聞けば、たいていの子どもは首を横に振るでしょう。子どものその気持ちを尊重すればいいと思います。
その後も同じようなことを話す場合は、本人が納得していないか、同じような体験をしている可能性があります。再度、子どもにていねいに聞き取りをし、先生に相談したほうがいいと判断した場合は、子どもが言った通りに伝えましょう。親が解釈した言葉で伝えると、事実と乖離してしまうことがあるからです。子どもの言葉を書き留めておくといいですね。
自分の気持ちを伝えるのが苦手な子は、親子の会話を増やすことが有効です。例えば、電車が止まってしまったニュースを見たら、子どもに「電車が止まったら、どんな人が困るかな」と質問してみましょう。いろいろな人の気持ちを読み取る練習になります。想像しながらさまざまな言葉を使うと、語彙力を高めることにつながります。

絵本を読み聞かせたり、子どもに音読させたりするのもおすすめです。読み終えたら、思ったことを伝え合いましょう。こうした会話から、「相手が困っているときは、どんな言葉をかけたらいいのか」「嫌な気持ちになったとき、どう言ったらいいのか」などを、学ぶことができます。自分の気持ちを伝える言葉も増えていくでしょう。
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私がお答えしました
診療の傍ら、地域の小学校、幼稚園、保育園の校医、園医も務める。日本小児科学会認定専門医。日本小児科医会「子どもの心相談医」。
1925年創刊の児童学習雑誌『小学一年生』。コンセプトは「未来をつくる“好き”を育む」。毎号、各界の第一線で活躍する有識者・クリエイターとともに、子どもたち各々が自身の無限の可能性を伸ばす誌面作りを心掛けています。時代に即した上質な知育学習記事・付録を掲載し、HugKumの監修もつとめています。
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イラスト/メイボランチ 構成/天辰陽子
