「うるさい!」思い通りにならないと怒り、人のせいにする息子。大切なのは、怒りがおさまるまで“待つ”こと【専門医が回答】

月刊誌『小学一年生』(小学館発行)では、日常の子育てや発達・健康上の心配など、読者のママ・パパのお悩みを募集しています。今回は、自分の思い通りにならないとすぐ怒り、注意しても聞く耳を持ってくれないお子さんにお悩みの親御さんからの相談です。そんな時の対応を日本小児科医会「子どもの心相談医」川上一恵先生にアドバイスしてもらいました。

Q:怒りっぽく、人のせいにする息子。改善したいのですが、どのように向き合えばいい?

息子は、自分の思い通りにならないとすぐに怒り、人のせいにします。やさしくなだめたいのですが、何度言っても、怒ったり叩いたりと同じことの繰り返しです。それに加えて、私の話を「うるさい!」とさえぎり、聞く耳を持ちません。学校でも思い通りにならないことが多いと思うのです。

このような性格を改善していくには、どのように息子と向き合えばよいでしょう。 (ケイさん)

A:子どもの怒りがおさまるまで待ち、それから話を聞きましょう。


小学生とはいえ、まだ1年生です。自分の気持ちや考えを言葉で上手に伝えられる子がいる一方で、言葉が出てこなくて、うまく伝えられない子もいます。そのもどかしさが怒りや暴力となって出てしまう子や、最初から感情をむき出しにしてしまう子もいるでしょう。ただ、こうした行動に出る場合には何かしらの理由があるものです。 また、子どもが叱られたり責められたりした際に人のせいにするのは、自分を守る意識が働くためで、それは誰にでも備わっている本能なのです。

とはいえ、興奮している子どもには、どんな言葉をかけても届きません。「痛いからやめて」と叫んでも、火に油を注ぐようなもの。大切なのは、親御さんは何も言わず、子どもの怒りがおさまるまで冷静に待つことです。子どもが叩いてくるようなら、別の部屋に逃げても構いません。「痛いからやめてね。隣の部屋で待ってるよ」などと声をかけて退避しましょう。

待つ間はただ放っておくのではなく、あくまでも見守る姿勢を見せること。お茶や水を二人分用意して、話が聞けるように待つのもいいですね。 そして、怒りがおさまったところで静かに話を聞きましょう。

「さっき、すごく怒っていたけれど、何がいけなかったのかな?」などと、事実を一つ一つ検証していく形で聞くのがポイントです。その過程では、子どもの悔しい気持ちに気づくことができるはず。「それは嫌だったね」などと、子どもの気持ちに共感し寄り添いましょう。


なかなか話してくれない場合でも、無理強いせず子どものほうから話し始めるまで根気よく待つこと。あくまでも子ども主体で話を聞き、本人が「これがいけなかったんだ」と気づけるように働きかけることが大切です。

それから、学校でも同じように怒ったり、人のせいにしたりすることを心配されていますが、学校では意外と友だちとうまくやっているかもしれません。学校から特に指摘されていないようでしたら、学校でがんばっている分、家庭ではおうちの人に甘えたい気持ちがそうさせているのかもしれませんね。

学校から指摘された場合は、先生と相談しながら対処していくといいと思います。1年生は、こうした失敗も許される年齢です。親がわが子としっかり向き合うことで、周囲とのコミュニケーション力も育まれていくでしょう。

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私がお答えしました

川上一恵先生 かずえキッズクリニック院長・ 医学博士

診療の傍ら、地域の小学校、幼稚園、保育園の校医、園医も務める。日本小児科学会認定専門医。日本小児科医会「子どもの心相談医」。

1925年創刊の児童学習雑誌『小学一年生』。コンセプトは「未来をつくる“好き”を育む」。毎号、各界の第一線で活躍する有識者・クリエイターとともに、子どもたち各々が自身の無限の可能性を伸ばす誌面作りを心掛けています。時代に即した上質な知育学習記事・付録を掲載し、HugKumの監修もつとめています。

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イラスト/メイボランチ 構成/天辰陽子

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