中学生でも留学はできる!
留学というと「高校留学」や「大学留学」をイメージする人が多いはずです。しかし、実は中学生であっても留学は可能です。中学生の留学に関する基礎知識を解説します。
中学生の留学は増加傾向
中学生の留学は近年増加傾向にあります。株式会社留学ジャーナルが発表した「留学白書2019」によると、中学生以下の留学相談者数は、2010年から2018年までおおむね増加傾向にあります。
中学生以下の留学が増える背景としては、入学条件の低さが挙げられます。高校留学ほど高い語学力が求められないため、社会経験の一環として気軽に留学しやすいとされているのです。中学生の留学には、英検3級程度以上の語学力が必要といわれています。
中学生におすすめの留学先
中学生におすすめの留学先としてまず挙げられるのがアメリカです。添乗員や学校スタッフが側に付いて実施されるプログラムが充実しているアメリカは、留学に不安を抱く中学生におすすめの留学先といえます。英語学習のモチベーションを高めたい中学生には、アメリカで提供される有名大学に滞在するプランがぴったりです。
オーストラリアも中学生におすすめの留学先の1つです。日本とほとんど時差のないオーストラリアは、日本にいる家族と密に連絡を取りながら学習を進めたい中学生に適しているといえます。日本人留学生を温かく迎えてくれる傾向があるのもオーストラリアの魅力です。
カナダも中学生におすすめの留学先といえます。大都市に移民や留学生が多いカナダには、日本人留学生を歓迎する雰囲気が醸成されています。アメリカやイギリスに留学するよりも安価に留学経験が積めるのもカナダの魅力です。
出典:留学ジャーナル 『留学白書 2019』を発表~カナダが 4 年連続留学先 1 位、小中高生の相談件数が 8 年連続増加~
中学生のうちに留学するメリットとデメリット

中学生での留学を検討しているのであれば、中学生のうちに留学するメリットとデメリットを知っていることが重要です。両者を知って、賢明な判断をするための下地を整えましょう。
【メリット】将来的な選択肢が広がる
中学生のうちに留学する主なメリットは、高校や大学を選ぶ際の選択肢が広がることです。
留学を経験していないのに海外の学校を進学先として選択する中学生はごく少数です。何の疑問もなく国内の学校を選ぶのが普通といえるでしょう。
中学生のうちに海外経験を積んでおくと、「海外の高校や大学に進学する」という選択肢が自然と生まれます。広い選択肢の中から本当に自分に合った学校を選べるようになるのです。
その他のメリットとして、英語学習への意欲や多様性への理解が高まる点などが挙げられます。
【デメリット】費用が高額になりがち
中学生のうちに留学するデメリットとして挙げられるのが費用の高額さです。ほとんどが「私費留学」で行われる中学留学は、費用が高額になりやすいとされています。
私費留学とは、学生自身が留学先の国や学校を選ぶ留学のことです。学費・滞在費・生活費など留学に関する一切の費用が自己負担であるため、費用が高額になりやすいという特徴があります。1年間留学する場合には、数百万円程度の出費を覚悟しておく必要があるといえるでしょう。
その他のデメリットとしては、留学経験を武器に高校に進学するのが難しい点が挙げられます。ただ留学経験があるだけではアピールポイントにならないのです。
中学生の留学の種類

中学生の留学は「短期留学」「長期留学」「親子留学」の3種類に大別できます。それぞれの留学の特徴を解説します。留学の種類を知って、自分やわが子に合った方法を選べるようになりましょう。
長期休暇を利用した短期留学
気軽に留学したい中学生におすすめなのが、春休みや夏休みを活用した短期留学です。海外の文化に触れたり、さまざまな国から参加する海外の学生たちと交流したりすることで、国内では得られない濃密な体験ができます。
長期留学へのステップとして、まずは短期留学を体験して現地の雰囲気をつかんでおくのもおすすめです。いきなり留学先を決めるよりも、安心感を持って長期留学に臨めるようになるでしょう。
短期留学の期間は数週間から3カ月ほどです。留学の目的に合わせて期間を決めるとよいでしょう。
ボーディングスクールや現地の中学校に入学する長期留学
現地の学校を卒業したいと考えているのであれば長期留学がおすすめです。長期留学をする場合には、ボーディングスクールもしくは現地の中学校に入学するのが一般的です。
ボーディングスクールとは、日本語で表現するのであれば「寮制学校」に当たります。生徒と教師が同じキャンパス内で共同生活を送りながら、学びを深めていく学校を指します。学問だけでなく人格形成も重視する学びの場です。
現地の中学校に通う場合には、地域に住む中学生に混じって教育を受けることになります。生活の拠点はホームステイ先となるのが一般的です。
長期留学は4カ月以上の留学を指します。じっくり腰を据えて語学を身に付けたい中学生におすすめです。
親が現地に赴いてサポートする親子留学
留学先によっては、親共々留学して子どものサポートを行う「親子留学」が推奨される場合もあります。中学生はまだまだ人間として未熟であるため、親が同伴することで安心して留学生活を送れるようになります。
親子留学における親の役割は子どものサポートです。しかし場合によっては、子どもが留学先で学んでいる間に親自らも語学学校に通うこともできます。
親子留学の期間は短期から長期までさまざまです。子どもと親とで切磋琢磨し合いながら自らを高めていきたい親子におすすめです。
中学生での留学を後押しする窓口

中学生の留学をサポートしてくれる窓口を紹介します。状況に合わせて適切な窓口を選択していきましょう。
通っている中学校
国際教育に力を入れている中学校であれば、学校が留学の窓口になってくれる場合があります。
留学を後押ししている学校の一例としては、国際研修プログラムを多数展開する市川中学校・高等学校が挙げられるでしょう。市川中学校・高等学校では、近年ニュージーランドやイギリスのイートン校などに中学生を派遣しています。高校生については海外大学への進学もサポートしています。
東京都市大学附属中学校・高等学校も中学生の留学に力を入れている学校の1つです。東京都市大学附属中学校・高等学校では、中学3年生を対象にニュージーランドへのターム留学(一定期間だけ行う留学。通常は1つの学期の間)やマレーシア異文化体験プログラムなどを提供しています。
参考:HOME – 学校法人 市川学園 市川中学校・高等学校
:トップページ | 東京都市大学付属中学校・高等学校
留学エージェント
通っている中学校に留学の窓口がない場合には、留学エージェントに相談する方法を検討しましょう。留学エージェントとは、留学をあっせんしてくれる代理店のことです。学生の希望をかなえる国や学校を紹介してくれたり、現地の中学校に入学する手続きを代行してくれたりします。
留学エージェントは業者によって提供するサービスの内容が異なるので、利用を検討する際は、求めるサービスを提供しているかしっかり確認することが大切です。
代表的な留学エージェントには以下のようなところがあります。
・留学ジャーナル
・ISS留学ライフ
・ICCコンサルタンツ
・ISA
参考:安心安全な留学・海外留学は留学ジャーナル|短期留学から大学院まで
:ISS留学ライフ|Z会グループの留学エージェント/10万人以上のサポート実績
:海外インターンシップと高校留学、大学留学のICCコンサルタンツ
:アイエスエイ(ISA) | 海外留学やホームステイならISA
地方自治体
お住まいの自治体によっては、自治体の教育指導係が留学の窓口になってくれる場合もあります。
例えば杉並区が展開する「中学生海外留学事業」は、杉並区に在住する中学2・3年生をオーストラリア連邦ウィロビー市に留学生として派遣する取り組みです。期間は短いながらも、無料で海外体験ができるのが大きなメリットといえます。
厚木市の「FLY TO NZ PROJECT in Hamilton 2025」も自治体が展開する留学事業の1つです。厚木市立中学校に在学する中学1~3年生にニュージーランドへの体験留学を提供します。英語以外を母語とする生徒向けの英語クラスがある学校に留学できる点がメリットです。
参考:中学生海外留学事業|杉並区公式ホームページ
:中学生短期留学プログラム「FLY TO NZ PROJECT in Hamilton 2025」参加者募集について|厚木市
留学を通して子どもの可能性を広げよう
子どもに「グローバルに活躍できる大人になってほしい」と望むのであれば、早いうちから海外経験を身に付けさせるという選択肢もあります。中学留学には費用が高額になりやすいなどのデメリットはあるものの、それを補って余りあるほどのメリットがあるといえます。子ども本人の意志を尊重しながら、さまざまな可能性について親子で考えてみましょう。
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構成・文/HugKum編集部
