初めに、筆者は小学生が留学できることを全く知りませんでした。今回は、小・中・高校生の海外留学を支援する株式会社海外教育研究所のコンサルタントの中山智絵さんに「小学生の海外留学」についてお話を伺いました。
小学生の海外留学って1人で行くの?
小学生の留学には、「親子留学」と「単身留学」があります。まずは中山さんに2つの留学について教えてもらいました。
親子留学とは
中山さん:親御様とお子様が一緒に留学をするプラン。弊社は単身留学がメインでありますが、サマースクールなどの短期留学の場合は、親御様が一緒に現地に滞在し、日中はお子様のみプログラムへ参加するケースなどがあります。長期の場合は、オーストラリアやニュージーランドなど保護者用ビザがある国が人気。保護者用ビザでは現地での就労はできないため、予算には余裕を持って準備することが必須です。
小学生の単身留学とは
中山さん:小学生の単身留学の場合は、まず夏休みや春休みなどに2-3週間程度の短期プログラムに参加をされる方がほとんどです。小学5-6年生になると、現地校へ長期で単身留学するケースもあります。半年から1年程度の期間限定で留学する方もいれば、現地の中学や高校への進学を目指してさらに長期で留学される方もいます。
小学生の海外留学事情
コロナが一段落し、海外に行きやすくなった昨今。小学生の海外留学事情に変化があったのでしょうか。引き続き中山さんにお話を伺いました。
留学希望者は増えている?
―HuKum編集部 小学生の海外留学の希望は増えていますか?
中山さん:コロナ前から小学生の海外留学に関するお問合せやご相談は増加傾向にあり、コロナが落ち着いた最近では、ますます増えているように感じています。背景には、小学校で英語教育がスタートしたこと、社会生活においても外国の方と接する機会が明らかに増えていることも影響があるのではと思います。また、海外旅行も一般的になってきた昨今において、次は旅行とは異なる形で新しい挑戦をさせたい、というケースも多いようです。
留学の行先・目的・時期など
留学の詳細についてお聞きしました。
―HuKum編集部 小学生の留学の目的や時期などについて教えてください。
中山さん:今夏は90名近くのお子様が弊社からサマースクールに参加し、そのうち約3割が小学生で最年少は1年生です。行先は英語圏(北米、ヨーロッパ、オセアニア)の都市部が多いです。
「自分の力で考え行動する」という経験をさせたい、異文化や多様性に早い段階で触れさせ、海の向こうでの出会いや経験を通して自信をつけさせたいというのが主目的のケースが多く、「英語力の向上」はその次といった感じです。実際に、
また、将来の長期留学を見据えたお試しとしての参加をされるケースも少なくありません。いずれの場合も、親元を離れ、個として立つことを求められる環境は、自立心を養う絶好の機会と言えます。
中山さん:留学の時期は、夏休みを利用することが多いのですが、ニュージーランドなど一部の国や学校では、小学高学年の年齢から単身留学を受け入れているため、現地校へ通学される生徒さんも複数いらっしゃいます。
最近では、日本の学校へ馴染めず不登校になったお子さんのご家庭から、日本とは異なる教育環境での再チャレンジとしての留学のご相談も増えています。
海外の教育事情について学ぶ機会が多い私たちは、日本の一般的な教育の良さはもちろんある一方で、英語圏の個が尊重される教育も、より多くの子どもたちが経験し、日本の未来のために持ち帰ってもらいたいと思っています。
留学先の安全性
留学先が安全か気になる親御さんもいるかと思います。安全性について教えてもらいました。
―HuKum編集部 留学先の安全性は担保されているのでしょうか?
中山さん:どの国も100%安全とは言い切れませんが、安全面は配慮されています。低年齢の生徒を受け入れている学校は、セキュリティ設備が整った寮制の学校であったり、事前に審査を受けたホストファミリー宅に滞在し、通学もファミリーやスクールバスによる送迎が含まれるケースが一般的です。学校やプログラムによっては、現地にて日本人スタッフのサポートが可能なプランもありますのでお子様の英語力や経験、目的に応じてプランをお選びいただくと良いと思います。
留学費用は
皆さんが気になる費用についてもお聞きしました。
―HuKum編集部 留学の費用の目安はどれくらいですか?
中山さん:国や期間などによっても異なりますが、サマースクールのような短期留学の場合は、2週間で40万円~80万円程度(授業料+滞在費等含む)、長期留学の場合、公立校で年間350-450万円(授業料+ホームステイ含む)、私立寮滞在(ボーディングスクール)の場合は、年間600-1,000万円程度が目安となります。プログラム費用以外には、どの国への留学も共通して往復の航空券代金や海外保険、現地でのお小遣い、留学前や留学中のサポート費用などがかかります。最近は燃油高の影響で航空券代金も高騰していることに加え、円安で為替レートによる費用の幅も大きくなっていますので、ご予算は余裕を持って準備することが必要です。
留学経験者の親御さんのリアルな声
実際に、小学生の単身留学を経験されたご家族にも感想を伺いました!
S.Tさん 渡航時小学5年生
留学先:ニュージーランド
滞在期間:1年半
目的:将来バイリンガルアナウンサーになりたいという夢があり、中学受験の前に、海外生活を体験したいという本人の意思により留学を決意。当初1年間の予定だったが、コロナによる国境封鎖の影響で帰国ができなくなり、さらに半年間滞在を延長することに。
帰国後のお母様からのコメント
「渡航当初より英語力がかなり伸びたことを感じています。滞在は予定より長くなってしまいましたが、少し長くNZにいられた事で、たくさんのお友達ができたようです。帰国後も連絡を取り合っており、今後の将来、今回の留学経験が自信に繋がればと思っています。」
S.Tさんは、歴史の劇を学校でしたり、ホームステイ先では新体操や演劇を習ったりと、充実した留学生活を送ったとのこと。
留学は子どもの視野を広げる絶好の機会
感受性が豊かで頭が柔らかいうちに、異文化や多様性に触れるのは、子どもにとって貴重な経験ですね。英語力はまだまだでも低年齢から楽しみながら異文化交流ができるようアクティビティなどが多く含まれているものも。小学生の留学を選択肢に入れてみてはいかがでしょうか?
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教えてくれたのは…
取材・文/峯あきら