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新NISA つみたて投資枠、利用者の56.3%は1〜2銘柄に投資

「みんな、新NISAで何銘柄くらいに分散投資してるのかな?」という疑問を持っている方も多いと思います。
日本証券業協会の「新NISA開始1年後の利用動向に関する調査」によると、2024年中に新NISAのつみたて投資枠を利用した人のうち、32.5%の人は1銘柄、23.8%の人は2銘柄購入していたことが明らかになりました。
つまり、新NISAのつみたて投資枠を利用する56.3%の人が、1〜2銘柄のみに投資しているということです。
みんなはどんな銘柄を購入している?
新NISAのつみたて投資枠を利用する半数以上が、1〜2銘柄のみ購入しています。では、具体的にどのような銘柄を購入しているのでしょうか?
人気No.1は「全世界株式のインデックス型投資信託」で55.3%

日本証券業協会の調査結果によると、購入銘柄のタイプ1位は「全世界株式(日本を含む)インデックス型投資信託」で36.8%、続いて「全世界株式(日本を除く)インデックス型投資信託」が18.5%でした。
日本を含むか含まないかの違いはあるものの、全世界株式のインデックス型投資信託だけで全体の55.3%を占めます。
インデックス型投資信託(別名:インデックスファンド)とは、1つ購入するだけで数百〜数千の会社の株式に自動的に分散投資してくれる投資信託のことです。
特に人気の「全世界株式」の商品なら、たった1つ買うだけで世界中の約3,000社に投資しているのと同じ効果が得られます。
このように分散効果の高い商品を選ぶ人が多いので、1〜2銘柄に絞っても「分散投資」になる仕組みです。
代表的な銘柄「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」
「全世界株式のインデックス型投資信託」と言われてもピンと来ませんよね。
全世界株式の代表的な銘柄が「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」です。投資家の間では愛称の「オルカン」で親しまれています。
オルカンは、日本やアメリカを含む全世界47ヶ国の株式に分散投資できる便利な商品です。
運用管理費用(信託報酬)が年率0.05775%(100万円投資した場合、年間約578円)と格安で、購入時手数料と売却時手数料(信託財産留保額)が無料である点も評価されています。
新NISA つみたて投資枠で1〜2銘柄に絞る「メリット」
新NISA利用者の半数以上が1〜2銘柄のみ購入していますが、銘柄を絞るメリットについて解説します。
銘柄次第では1〜2種類でも分散効果がある

数百〜数千銘柄に投資するインデックス型投資信託を1〜2銘柄選べば、それだけで分散効果があります。
ポイントは投資先に偏りがなく、少なくとも100銘柄以上に投資している投資信託を選ぶことです。
たとえば、新NISAの人気銘柄に「iFreeNEXT FANG +インデックス」という商品がありますが、初心者にはおすすめしません。米国を代表するテクノロジー企業10社に集中投資している銘柄で、分散効果が低いためです。
全世界の約3,000社に投資する「オルカン」や主要米国株500社に投資する「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」のような分散効果の高い銘柄から選びましょう。
株式だけに投資するのが不安な方には、株式、債券、REIT(不動産投資信託)などにまんべんなく投資するバランス型の投資信託もおすすめです。
シンプルで管理しやすい
投資信託を1〜2本に絞ることで、銘柄管理の手間が省けます。一方、複数の銘柄を持っていると、値動きや運用成績を確認するのが大変です。
全世界株式やS&P500など、幅広く分散されたファンドを1〜2本選べば、それだけで世界中に投資しているようなものなので管理がラクになります。
投資方針に一貫性が出る
銘柄を少なくすることで、自分の投資スタイルがブレにくくなります。
人気ランキングや口コミ・評判を見て、なんとなく複数の投資信託を選んでしまうと、何にどれくらいの配分で投資してるのか投資方針があいまいになりがちです。
たとえば、「将来の教育資金を長期的に育てたい」と決めているなら、低コストで安定的に成長を期待できるインデックスファンドに絞ることで、その目的に合った運用がしやすくなります。
投資方針や目的を決めたら、あとはコツコツ積立投資を続けるだけです。
新NISA つみたて投資枠で1〜2銘柄に絞る「デメリット」
少ない銘柄で運用するのは管理しやすくて魅力的ですが、注意点もあります。選び方を間違えると、思わぬリスクにさらされることも。ここでは、1〜2銘柄に絞ることで起きやすいデメリットを解説します。
銘柄によっては分散効果が不十分
選んだ銘柄の内容によっては、リスクが集中してしまうことがあります。というのも、すべての投資信託が「広く分散されている」わけではないからです。
たとえば「米国のハイテク企業だけ」に投資するファンドを1本選んでしまうと、その業界に悪いニュースが出たときに一気に資産が減るリスクがあります。
1〜2本に絞るなら、「全世界株式」など投資先が広いファンドを選ぶことが大切です。
他の銘柄に目移りする可能性がある
投資を始めたあと、他の人気ファンドが気になってしまうことがあります。
SNSやニュースで「このファンドが今アツい!」という情報を見ると「私も買ったほうがいいのかな?」と迷ってしまうのが人の常です。
たとえば、最初に全世界株式を選んだのに、途中で米国株や新興国株の好調さが気になって、あれこれ手を出してしまうと、かえって投資の軸がブレてしまいます。
最初に絞った銘柄に自信を持って、周りの情報に振り回されないことが長続きのコツです。
分散効果の高いインデックス型投資信託なら1〜2銘柄でもOK
日本証券業協会の調査結果から、新NISAのつみたて投資枠利用者の56.3%が1〜2銘柄に絞って投資していることがわかりました。
投資先は、全世界株式のインデックス型投資信託が全体の55.3%を占めます。このことから、新NISA利用者の多くが全世界株に投資することで、少ない銘柄数でも分散投資できていることが明らかになりました。
大事なのは、購入銘柄数よりも投資先の中身です。長期で運用を考えている場合は、できるだけ分散性の高い銘柄から選びましょう。
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記事執筆
独立系ファイナンシャルプランナー(FP)として執筆業を中心に活動中。2児の父親でもあり、家計や資産形成に関する執筆が得意。また、マンションの売買も経験しており、実体験に基づいたライティングを強みとしている。各種金融メディアでの執筆・監修業のほか、自身のメディアとして「もにゅら親子の節約ブログ」「もにゅらのクリプト部屋」を運営中。
