【色の不思議】なんで粒々? 3つの色だけでカラフル印刷ができる不思議!? カラー印刷のキーワードは「三原色」

この間、何気なく顕微鏡で本のカラフルな表紙を見ていました。すると、白いところ以外が色の粒々に見えました。カラー印刷の仕組みを探ってみます。

印刷のカラーはどのように作られている?

拡大した本と顕微鏡の写真を比べてみよう

上の画像を見ると、5つの円の中にそれぞれ粒々が書かれているのがわかりますか? これは、120倍の顕微鏡で本の表紙にある(「ろ」:右下)を拡大してみたものです。

カラフルな「ろ」ですが、よーく見るともともとの「ろ」もざらざらした感じがします。どういうことなのでしょうか?

家庭用のインクジェットプリンターも

皆さんのお家にも年賀状の印刷やホームページを印刷をするために使っているインクジェットプリンターはありませんか? 多少の数の違いはありますが、どのカラープリンターでもインクとして、シアン(青っぽい色)、マゼンタ(赤紫のような色)、そしてイエロー(その名の通り黄色)と、ブラックの4色のインクを使用しているはずです(プラスして違う色がある場合もあります)。

筆者宅のプリンターならば、3色を入れるタンクがあって、写真のように見えます

でも、たった3色(ブラック以外)でなぜカラフルな年賀状が印刷できるのでしょうか?

それはインクの足し算によって違う色が作られるから。例えば赤と黄色の絵の具を混ぜるとオレンジに、青と黄色の絵の具を混ぜると黄緑に……というような具合です。プリンターインクもそれと同じで、シアン・マゼンタ・イエローの3色を組み合わせて様々な色を作ることができます。

でも、ホント? 不思議に思ったならば確かめてみましょう!

コピックチャオを使って「三原色」の体験をしてみよう

今回は、漫画家をはじめとする、絵を描く方に広く使われているアルコールマーカー「コピックチャオ」を使います。このペンは発色が良く、早く乾燥します。様々な技法がありますが、「重ね塗りを試してみる」をテーマにやってみましょう。

商品は通販で

今回使うセットはToolsのweb shopで販売しています。

使うものは
・コピックチャオ 三原色基本セット
・アルコールマーカーで学ぶ 三原色ワークブック
の2つです。

コピックチャオ 三原色基本セットは三原色に一番近い色がそれぞれ1本ずつ(RV06、Y06、B02※)のセットです。
(※コピックシリーズの色名は色味と濃さによるアルファベットと数字の組み合わせで作られています。)

「アルコールマーカーで学ぶ 三原色ワークブック」の中には、実際に色を塗るための用紙が入っています。もし誤って塗り間違えてしまった場合はこちらに掲載されているリンク先から印刷ができるようになっています。
ただし、コピックを塗るために使う紙はコピー用紙では薄いので、厚手の紙を用意してください。

ワークブックに付属している用紙は「厚めの上質紙『特選上質紙』」を使っているので参考にしてください。

解説は動画を見てみよう

このセットを使うための解説がされている動画をYouTubeで公開しています。

小学4年の娘が挑戦です

動画には「講師用の解説動画」と書かれていましたが、小4の娘が試したところ、同じように塗れていたので説明は丁寧でわかりやすく感じました。しかし低学年のお子さんと使う場合は少し難しい作業もあるので保護者の方が見ながら一緒に使っていくと良さそうです。

今回は三原色と深い繋がりがある部分のみを行いました

今回はコピックチャオの基本的な塗り方(ムラを作らずに塗る方法など)と、色を重ねるとどう見えるか、そして色相環を作ってみました。

解説動画にはそれ以外にもコピックチャオのブラシの使い方や表現方法などの基本も解説されているので、今後絵も描いてみたいというお子さんでしたら一緒に見て実習するのも良さそうです。

実際にやってみよう

準備

用意するのは前述のWeb shopで購入した2商品。三原色ワークブックの「2.色を塗ってみよう」と書かれた紙に下敷きを敷いてお手本を見ながら、塗ってみました。裏抜けしてしまうので下敷きは必ず使った方がよさそうです。

筆者は事前に「スーパーブラシ」や「ミディアムブロード」の使い方を別の用紙で試していたので、次の項目にすぐ進みました。

インクを重ねて塗ってみる

Y06やRV06はコピックの色につけられた番号です

「ブラシでムラなく塗る」は、好きな色で色ムラが出ないように塗りました。このワークショップでは線からはみ出しても大丈夫です。動画にはポイントの説明があるので、チェックしてみてください。

次に「同じ色を重ねてみよう」の1度塗り。「2色を重ねて塗ってみよう」では左上の色を塗りました。

ここで、「2色を重ねて塗ってみよう」だけは枠内に塗る色が指定されています。指定通りに塗って、塗り終えたら印として色の名称の部分も塗るとわかりやすいですよ。

もう1色を指定された通りに塗りました。2色重ねると色が変わりますね

乾いたら残りの部分を塗ります。

「同じ色を重ねてみよう」は先ほどと同じ色を右の四角だけに塗ります。色が濃くなることがわかります。

また「2色を重ねて塗ってみよう」では、右下にある四角に記号の通りに色を塗っていきます。すると色と色とを重ねた部分が2色のどちらでもない色、絵の具を使っているときのような、新しい色が生まれます。

色相環を作ってみましょう

次に、ワークシート「3.色相環をつくろう」をやってみました。円形に12個の丸が並んでいて、中央にも1つ用意されています。描いてある色の記号番号通りに色を塗り重ねると「色相環」を作ることができます。

色相環とは中学校の美術の時間に習うもので、色相(赤・黄・緑・青…)という似ている色味をグラデーションになるように並べて環のようにしたもののことを言います。

はじめに一番上に書かれた記号・番号にあった色を塗ります

1回目を塗っただけではバラバラに感じますが??

2色目を重ねて塗ります

2色目を塗ると少しグラデーションっぽく見えてきました。でも同じ色が3つくらい並んでいるところもあるように見えます。

3色塗ることを指定されている丸に色を塗りました

3色目の色を塗る指定がある丸にだけ、色を塗っていきます。すると、よりグラデーションになり、色相環が完成します。よく見ると、周りの12色は使っているのは2色のみで、同じ色を2回塗り重ねることで色の濃さの調整をしていることがわかります。また、中心の丸は唯一3色全てを重ね塗りしていて、茶色のような濁った色になりました。

使用するコピックチャオは3色ですが、指定された色の通りに塗っていくと12色の色相環を完成させることができます。これによって、シアン・マゼンタ・イエローがあると様々な色が作れることがわかりますね。

コピックチャオについて

コピックチャオはアルコールマーカー

コピックチャオはアルコールマーカーです。アルコールマーカーは溶剤にアルコールを使っているため、ニオイがあります。特にお子さんと行うときには、換気をしながらがおすすめです。

塗り重ねると色を混ぜることも可能

また、染料インクなので、上から重ね塗りをすると下に塗ってあった色が混ざり、新たな発色を楽しむことができます。

筆先が汚れたときは?

重ね塗りをすると、別の色のインクがペン先に付いてしまうことがあります。その場合には汚れた部分をいらない紙の綺麗な部分に何度か塗ると汚れが取れます。

2つのペン先があります

片方はスーパーブラシという筆ペン状のペン先、もう片方はミディアムブロードという蛍光マーカーなどに多い上部が斜めになっていて一定の線を描くことができるものになっています。

今回筆者が使ったのは、スーパーブラシです。筆状ですが、コシがあって筆先もきれいにまとまっていて、とても使いやすかったです。

まとめ

このように3色だけで色々な色が生まれるなんてびっくりですよね。あとは3色それぞれの濃淡で色が調整されていることもわかりました。色の不思議って楽しいですね!

この商品・内容についてはこちらをご覧ください。

こちらの記事もおすすめ

「はだいろ」を使わなくなった日本と、アメリカで「24色のはだいろ」のクレヨンが生まれた「多様性」の世界
はだいろ表記をやめた日本 日本では2000年頃には「はだいろ」がなくなっていました 🔸「はだいろ」から「うすだいだい」や「ペー...

文・構成/ふじいなおみ(>>Xはこちら

編集部おすすめ

関連記事