あらゆることについて、「~~したい?」と聞いてくる夫
スウェーデン人の夫は、「今日はご飯作りたい?」とわたしに聞いてきます。
いつもこの言葉を聞くと、ちょっと違和感を感じるのです。というのも、「作りたい」から作るんじゃなくて、「作らなきゃいけないから作るんだけどな」と、どこかで思っているところがあるから。
そして、これは食事の準備だけではなく、家事のあらゆることについて、同じように聞いてくるのです。
「洗濯やりたい?」「家の片付けしたい?」「トイレの掃除したい?」と。
Vill du?(ヴィル ドゥ?)
「〇〇したい?」という表現は、スウェーデン語で「Vill du?(ヴィル ドゥ?)」と言います。この表現は日本でもよく使いますが、ちょっと違うのは、あらゆる場面で聞くことかもしれません。

あなたはこの仕事をしたい?
「あなたはこの仕事したい?」というように、スウェーデンでは職場でも聞くことがあると言います。
日本人のわたしからすると、したいかどうかで選んでいいものか……と返答に困ります。そして思わず、「はい、やります」と答えてしまいそうです。
でも、「したくない」と言うのも、当たり前のよう。「わかった! じゃあ違う人に聞いてみるわ〜」という具合に、さっぱりした答えが返ってくるだけなのです。
無理してやるのもなんか違う、とわかっていても
今日はやりたくない。そんな日も、もちろんあります。
とは言っても、食事は誰かがつくらなきゃいけないし、掃除や片付けだって誰かがやらないといけない。
そんな中、「今日はご飯作りたい?」とのん気に聞いてくる夫に、「じゃあ誰が作るの?」とムッとしてしまったことも、一度や二度じゃありません。
それでは、夫はどうするかというと、「じゃあ、僕が作るよ」となる日もあれば、「なんか食べにいこうか」となる日もあるし、「じゃあいっしょに作ろうか!」となることも。「やりたくない」と言って、何とかならなかったことはないかもしれません。
無理してやらなくてもいいし、やりたくないことを言葉にするのも自然なこと。そんな当たり前なことに、夫と過ごす中で気がつきました。

わたしはこれがしたいのか? したくないのか?
いまだに「したくない」とはズバッと言えないけども。「したくない」という素直な気持ちも大事にしたいと今では思うようになりました。
わたしはこれがしたいのか? したくないのか?
家事でも、仕事でも、人付き合いでも。あらゆる場面でちょっと立ち止まって考えるようになりました。これが夫と出会って当たり前になった、習慣のひとつです。

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プロフィール
イケア勤務を経て、ウェブメディア&ショップ「北欧、暮らしの道具店」の初期スタッフとして約6年間働く。その後、スウェーデン人の夫である、オリバー・ルンドクイスト氏と一緒にノルウェーのトロムソに移住。1年半滞在したのち帰国し、現在は長野県松本市に在住。著書に『北欧で見つけた気持ちが軽くなる暮らし』(ワニブックス)、『北欧の日常、自分の暮らし』(ワニブックス)、夫との共著書に『家族が笑顔になる北欧流の暮らし方』(オレンジページ)がある。
自家焙煎のコーヒー豆と小冊子のお店「Hej Hej COFFEE(ヘイヘイコーヒー)」はじめました。
文・構成・写真/桒原さやか

