この記事は『1日10分で国語の成績が上がる!小学生の語彙力が伸びる「言いかえトレーニング」』(あさ出版)から再構成しています。
子どもの成績の悪さは、「国語力不足」がすべての原因だった!
子どもの勉強に関して、このような悩みのある方には、これより先のお話をぜひ読み進めていただきたいです。
・勉強している割には成績が伸びない
・家ではできるのに、試験では解けない
・少し問題が変わると解けない
・基礎はできるのに、応用になると解けない
・範囲のないテストでは点数がとれない
実は子どもの成績が伸び悩む原因の一つに「国語力不足」があることが少なくありません。成績の良くない子の勉強では、多くの場合は国語よりも算数が優先されがちです。
ですが、国語以外の教科の問題文も日本語で書かれています。ですから、日本語を正しく読み取ることは問題を解く上で最低限必要なことなのですが、それができない子どもが意外と多いのだそうです。
「日本語だから意味がわかる」は大間違い

多くの方が英語の勉強を始めるときは、単語ひとつひとつから勉強します。ですから、国語の場合も単語(語彙)を学ぶことがとても大切になりますが、英語のときのようにそうやって言葉をひとつずつ勉強をする人はほとんどいません。
たとえば言語の50%程度の内容を理解するのに、英語は1000語知っていることが必要だといわれますが、日本語の場合はその5倍の5000語だといわれており、実は日本語を学ぶことはとても難しいことなのです。
しかし私たちは、普段から日常的に日本語を使っているので当然理解できていると決めつけ、国語の勉強を後回しにすることが多いのが現状です。
国語が苦手なお子さんの「読めている」は、あくまで「音」として読めているだけであって「意味」として読めているわけではないのかもしれません。よく国語の理解力を「センス」で語られますが、センスなどではなく、語彙を増やすというアプローチで勉強を始め、それが身につくまで経験を積み重ねていくことが、後に成績に大きく影響するということなのだそうです。
では、どうやって勉強を始める?
子どもが文章を読むときに、ただ文字を追うのではなく、しっかりと内容を理解しながら読む習慣を身につけるためにも、「言いかえトレーニング」がとても効果的だといいます。本書ではトレーニングをする際に「言いかえノート」の作成を推奨していますが、本記事では「言いかえトレーニング」がどのようなものかを簡単に説明します。
「言いかえトレーニング」を始めてみよう
たとえば「合理的」という言葉をほかの言葉に言いかえてみます。
意味は、「無駄がない」「効率的」「賢い」などでしょうか。
このように、言葉を意識的に別の言葉に言いかえていくことで、同時に複数の言葉の意味を学ぶことができるため、言いかえトレーニングは、すればするほど語彙力が増えていきます。
似た言葉のニュアンスもしっかりつかむ
次は「がっかりする」と「うんざりする」を例に挙げてみます。この二つの言葉は、どちらも「嫌な気持ちを抱く」という意味ですが、その微妙な違いを理解することが重要です。
●「がっかりする」は、期待していたことがうまくいかなかったり、思っていた結果と違ったりしたとき、裏切られたという感情のときに使います。
●「うんざりする」は、何度も繰り返されることや、同じことを長時間もやらされているときに使われます。このとき「もう十分だ」「飽きた」といった意味合いが強くなります。
言いかえは、家庭での会話のやり取りなど、日常的な会話の中でママ・パパがさまざまな言葉や言い回しを心掛けて使うようにするだけで、子どもの語彙は増えていきます。
このような言いかえで語彙を増やし、似た言葉のニュアンスもしっかり区別して使いこなすことができれば、国語の問題において似たような選択肢があった場合も、自信をもって選ぶことができるようになるでしょう。
さらに本書では読解力の半分は語彙力だといわれています。語彙が増えることで、長文問題をより理解することもできるようになるのです。

考える力・イメージする力の土台は語彙力
語彙力がある子ほど難しい問題に対峙することができる
本書では、考える力・イメージする力の土台になるのは語彙力だといいます。なぜなら、語彙力はものごとを説明するために欠かすことができないからで、成績が良い子は「イメージする力」が高いのだとか。
語彙力のある子は、自分の考えや思いを相手に伝えることはもちろんのこと、自分の頭の中でぼんやりと形作られているものを整理して、自分自身に説明することもできます。
たとえば、算数でわからない問題に出合ったとき、「つるかめ算だっけ?」「線分図を描くんだったかな?」また、「どこが違うんだろう?」「補助線をどこかに引くんだったかな」「規則性を見つけるんだったな」と、頭の中で自分と対話できることが大切で、その対話こそが思考です。
この自分との対話では、語彙が豊富な人ほど多様な問いかけができ、自分のイメージを鮮明にすることができます。すると自分が何がわかるのか、わからないのか、または何を求めようとしているのかを見失うことがなくなるのです。

語彙力の強化には親の協力が必要不可欠
国語の成績を伸ばすための語彙力は、日常生活の中で勝手に身につくものではなく、意識的に学習しなければ身につかないといいます。成績を伸ばすためには問題の解き方や考え方の指導は重要ですが、語彙力を高めるためにはただテキストを読んで覚えるだけでは不十分です。それ以上に、普段の親子の何気ない会話でしか学べないことも少なくないといいます。
学校の成績アップを考えているママ・パパは、まずは子どもとの雑談で意図的に言いかえをしながら、さまざまなテーマの対話を深めてみてはいかがでしょうか。
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国語の成績が良い子とそうでない子を比べると、その差の大部分は語彙力にあります。
どんなに国語の勉強に力を入れても、語彙力がなければ意味を正しく理解することはできません。選択肢問題の選択肢の言葉がわからないから、どれを選んでいいのかわからないということもあります。つまり、国語力の根幹にあるのは「語彙が豊富かどうか」 なのです。
本書では、具体的な言いかえトレーニングの方法のほか、それを学習習慣に組み込むコツなどもお伝えします。
中学受験コンサルタントとして、これまで多くの小学生の成績を上げてきましたが、言いかえトレーニングの効果は絶大です。
ぜひ、お子さんと一緒に楽しみながら、語彙力を高める習慣を身につけていきましょう。
文・構成/HugKum編集部