「あぐらでも寝そべってもOK」小学校の全校集会が激変! 昭和世代おなじみの“前ならえ”は廃止、校長先生の出番も減少【令和の学校事情】

学習雑誌『小学一年生』(小学館発行)では、最新教育事情を現役の先生が教えるコラムを連載中です。今回は、最近の全校集会について! パパママの時代とはひと味ちがった令和の学校事情をのぞいてみてください。

移動の手間も省けて、先生たちも、子どもたちも楽ちん! モニター視聴

人どうしの接触を減らす対策が優先だったコロナ禍を機に、全校集会のあり方は変わりました。以前は毎週月曜日に体育館や校庭などに全校児童が集合し、校長先生や生活指導の先生の話を聞いていました。それが最近では、月に2回程度、各教室でモニターを通して話を聞くスタイルの学校が増えています。ですからそのぶん、校長先生の出番が減ってしまったなという印象です。

 全校集会の内容は昔とそれほど変わりません。校長先生、生活指導の先生の話。それから「整理整頓をがんばりましょう」といった生活のめあて、注意事項などです。加えて、学期末には表彰もあります。

モニター越しに話を聞くので堅苦しさもなく、子どもたちは楽だと思います。一方、校長先生にとっては、子どもたちの顔を覚えにくいし、威厳も伝わらないのでは、といった声もありました。けれど、校長曰く「毎朝校門に立って、子どもたちと挨拶を交わすなかでコミュニケーションを取れるから大丈夫」だといいます。むしろ人気がアップして校長先生が大好きな子がたくさん出てきました

校庭での全校集会もほぼありません。1時間も立たされることもないですし、貧血で倒れる心配もない。モニター越しの全校集会は、これからもますます増えるでしょう。

あぐらも寝そべってもOK! 自由なスタイルで参加 体育館での全校集会

体育館で全校集会を行う場合でも、変化が見受けられます。以前はきちんと整列したうえで、体育座りをして話を聞くスタイルが当たり前でした。ところが数年前に「体育座りの是非」について議論が生じました。その後、先生たちの間でも体育座りをさせなくていいのではといった考えが広まり、座り方は自由という学校が増えているようです。

私が勤める小学校でも、数年前に「子どもたちは、あぐらをかこうが、寝そべっていようが、どんなスタイルでもいい。とにかく話を聞いていてくれたらいいよ」というスタイルになりました。ゴロンと横になってしまうような子は今のところいませんが、仮にそういう子がいたとしたら、先生側の判断で注意はすると思います。「校長先生の前だし、やめておこうか」と、人の話を聞くときのマナーとして指導するでしょう。

昭和世代おなじみ「前ならえ」も廃止へ

寝そべる子はいないにしても、子どもたちは膝を崩したり、あぐらをかいたりしておのおの座っていますが、昭和世代から見ると、かなり衝撃的な光景です。整列するために必ずやっていた「前ならえ」もしません。軍隊みたいではないかという声があがり、「学校で子どもたちにやらせるのはおかしい」となりました。

とはいえ、体育の授業では、前ならえをして体育座りをしてもらうことはあります。コンパクトに集まれるし、先生の話も聞きやすいというメリットがあるからです。意味のある前ならえはOKなのです。

こうした流れも校長先生の判断で決まりますから、学校によっては体育座りをして話を聞く学校はまだあるのではないかと思います。けれど、「座り方は自由でよい」といった考えをもつ先生は今後も増えていくでしょう。

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私がお答えしました

佐々木陽子先生 公立小学校教諭

低学年の担任経験が豊富で、現在は主幹教諭として教鞭をとる傍ら、先生が読む教育情報サイト『みんなの教育技術』に執筆も行う。

1925年創刊の児童学習雑誌『小学一年生』。コンセプトは「未来をつくる“好き”を育む」。毎号、各界の第一線で活躍する有識者・クリエイターとともに、子どもたち各々が自身の無限の可能性を伸ばす誌面作りを心掛けています。時代に即した上質な知育学習記事・付録を掲載し、HugKumの監修もつとめています。

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イラスト/メイボランチ 構成/天辰陽子

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