「怒らない育児」で、子どもの偏差値が35から60へ!「母親らしいことをやめたらわが子に優しくなれた」咲良ともこさんが実践した”ズルい”子育て法

「また怒ってしまった」「気づいたらイライラしてる…」など子育てで悩むママは少なくないはず。2025年7月発売の『ズルい親ほど子は育つ!』(KADOKAWA)の著者で育児ナレッジメンターとして1000人以上のママをサポートしている咲良ともこさんもその一人。かつては子どもを毎日怒鳴り、ときには子どもに手を上げてしまったことも。そこから怒らない育児に転換すると悩みは消え、子どもの偏差値は35から60へ。どうして変われたのか、お話を聞きました。

毎日怒鳴ってばかり…「この子を壊したかも」と思った

以前はイライラガミガミを繰り返していたという咲良さん

──咲良さんは現在、「叱らない・怒らない育児」を実践し、育児ナレッジメンターとして、多くのママに寄り添っています。活動のきっかけを教えてください。

咲良さん:私自身が10年間くらい育児に悩んでいたんです。息子が二人いるんですけど、中学受験が当たり前という環境で子育てをしていたので、生まれた直後から「いい学校に入れなきゃ」って気持ちがすごく強くて。偏差値やランキングばかり気にしていましたね。

長男は3歳から公文、小学生から中学受験の塾にも通わせていました。でも小3くらいから、勉強しても成績が上がらなくなってきたんです。焦ってさらにやらせても、やればやるほど落ちていく。毎日のように怒鳴って、ときに手を出してしまうこともありました。

教育虐待ですよね。そのうち息子は何を聞いても「はい」しか言わなくなって、うつろな目でガリガリ勉強をしている。それを見たとき「この子を壊したかもしれない」と思いました。私は夫の前では怒らなかったから、当時は夫も気づいてなかったと思います。

──そこからどう変わっていったんですか。

咲良:転機はコロナ禍ですね。自分と向き合う時間ができて、物事の捉え方を変えていくことを学び始めました。本を読んだり、成功している人の話を聞きに行ったり、いろいろしましたね。 もちろんすぐには変わらないんですけど、少しずつ行動を変えていったら、8カ月くらい経ったころに子どもの成績がふと上がり始めたんです。

やったことはシンプルで、勉強に関して怒るのをやめただけ。基本的には夫に任せて、子どもには「いいよ、大丈夫」って言うだけにしたら、次第に成績が上がって、長男は偏差値35から最終的に60くらいまでいきました。勉強を嫌いにさせてたのは私だったんだなと思いましたね。

まず「余白」がないと、何も始まらない

──どうやって怒らない育児に転換できたのでしょうか。

咲良:子どもを変えようとするんじゃなくて、自分を変えようと考えを改めました。もちろん変わろうと思ってもすぐには変われないですよ。私も当時、アドラー心理学の本を読んだり、アンガーマネジメントを学んだりしたんですけど、全然実践できませんでした。

「頭の余白」がなかったんですよね。よく「一息つきましょう」って言うじゃないですか。でも怒りで頭がいっぱいのときに一息つける人っていますか? 多分無理ですよね。いっぱいいっぱいの状態で子どもを見ても、ろくな考えは浮かばない。まずは箱を空っぽにすることが大事なんです。

──余白をつくって、どんな変化を実感しましたか。

咲良:子どもへの見方が変わりましたね。以前は、テストの点が悪いとか、宿題やってないとか、できてないところばかり目についてたんです。でも余白ができると、子どものいいところや、子どもに合ったやり方が見えてくるようになりました。

たとえば、うちの子は音楽を聴きながらお菓子食べながらテレビつけながら勉強してたんですけど、昔の私だったら「集中しなさい」と怒っていたかもしれません。でも余白ができてからは「この子はこういうやり方が合ってるんだな」って受け入れられたし、それで中学受験も合格できたんです。

余白ができると自分の価値観を見直せるようになるから、声かけのテクニックなんか学ばなくても、自然と声のかけ方が変わってくるんですよ。

──外ではニコニコできるのに、家では怒ってしまうという声も聞きます。

咲良:近い人にはつい感情が出やすいんですよね。他人にはよく見られたいから気を遣いますが、家族には甘えられる分、そのまま出てしまいやすいですよね。

あとは自分の親に言われてきたことを気づかず繰り返していることもあります。「勉強しなさい」とか「女の子らしくしなさい」とか。自分も言われて嫌だったかもしれないのに、なぜか同じことを言ってしまう。「勉強してほしい」って思うのも、結局は自分の不安を子どもに押し付けてるだけなんですよ。余白がないと、それに気づく暇もないですよね。

余白をつくるには、とにかく「行動」するしかない

──余白が大事だとわかっても、実際に作るのは難しい人も多そうです。

咲良:そうですよね。たとえば「ご飯作りたくないなら作らなきゃいいじゃん」と伝えても、本当に行動に移せる人は1割くらい。やり方はわかってる、やめたいのもわかっているのに行動に移せない。どこかに罪悪感があるんだと思います。

まずは、とにかくやってみてほしいです。1品をお惣菜にするとか、掃除の頻度を減らすとか。私もハードルを低くして、母親らしいことを一つずつ手放していきました。案外誰にも責められないですよ。周りから「ズルい」って思われるかもしれないけど、そのくらいでいいんです。

咲良:私が開催しているママ向けの講座に来た方からも「やめたら子どもに優しくできた」「やめちゃうのはダメなお母さんだと思ってたけど、そうじゃなかった」などの声をよく聞きます。気にしているのは、周りの目というより「母親としてこうあるべき」という自分でかけた呪いなんじゃないでしょうか。

それから、一発で成功させようとすると続きません。夫に何か言われてやめてしまったり、文句を言われてくじけたり。失敗してもいいんですよ。大事なのは成功するまで行動し続けること。そうすれば、きっといつか変われます。

まずは「やりたくないことリスト」作成から

Instagramや自身が運営する育児講座、講演会など幅広く活躍

──書籍には、余白の作り方から行動のヒントまで網羅されていますね。

咲良:はい。まずは「やりたくないことリスト」を作るところから始めてみてください。料理、掃除、ママ友の付き合いなど、自分が何を負担に感じているか書き出して、一つずつやめていくんです。リストにすると「これもやめられる」「これもできる」と気づくと思いますよ。

本では具体的なワークをいくつか紹介しています。読んで「なるほど」で終わりではなく、ぜひ実際にやってみてほしいですね。コツコツやれば必ず成果は出ます。この本は、きれいに読んでメルカリで売ろうとか思わないでください(笑)。ぜひ折り目つけたり、あれこれ書き込んだりして、使い倒してもらえたらうれしいです。

──本の出版を経て、この先やってみたいことはありますか。

咲良:講座には不登校のお子さんを持つお母さんもいらっしゃるんですけど、将来的には学校に行かない選択をした子たちのための学校を作りたいと思っているんです。勉強だけが才能じゃないですから、その子の能力をちゃんと伸ばして、生きていて幸せだなって思える場所を作りたいですね。

──最後に、読者にメッセージをお願いします。

咲良:まずは余白のある自分をつくるところから始めてほしいですね。そうすれば、わが子のいいところが自然と見つけやすくなると思いますし、子どもに優しくできるようになって、気持ちも楽になりますよ。

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咲良ともこ 著 株式会社KADOKAWA 1,760円(税込)

「本当は子どもに優しく接したいのについつい怒ってしまう」「やらなきゃいけない家事や育児のあれこれが多すぎる」といった子育て中のお悩みに、ズルい解決方法を提案する新しい育児書。まず「やりたくないことリスト」を作り、自分が何に時間を使い、何を負担に感じているかを見える化。そこから一つずつやめきることで、お母さんの気持ちが楽になり、子どもと向き合う余裕が生まれます。ワーク形式で、読むだけでなく実践できる構成です。

教えてくれたのは

咲良ともこ 育児ナレッジメンター

育児ナレッジメンター。P&Gで研究開発・生産技術を担当後、結婚を機に退社し専業主婦に。趣味のパン作りをきっかけにパン教室を7年間運営。2023年に法人化し、現在は3社を経営。10年間にわたる自己否定と葛藤の末、「叱らない・怒らない育児」へと考え方を転換。その実体験をもとに「できない自分を責めがちなママ」に寄り添う独自のメソッドを確立し、育児ナレッジメンターとして活動中。SNS総フォロワー20万、講座生延べ2800名。「すべての母親が幸せである社会」の実現を目指している。

Instagram:@tomokoo_sakura  TikTok:@tomokoo_sakura

文・構成/古屋江美子

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