危険です!SNSで広まった「スーパーマンチャレンジ」。失敗して外傷性くも膜下出血と診断された子どもも【医師監修】

「スーパーマンチャレンジ」という遊びをご存じですか? スーパーマンチャレンジは、SNSや動画投稿サイトで一時流行った遊びですが、まねをして大けがをした子どもも。日本小児科学会のInjury Alert(傷害速報)でも、事故事例が報告されています。
東京都立小児総合医療センター 救命救急科 医長 岸部峻先生に、スーパーマンチャレンジの危険性について教えていただきました。

仲間が手を広げて、勢いよく飛び込む「スーパーマンチャレンジ」

スーパーマンチャレンジは数人の仲間が手を広げて待ち受け、そこに助走をつけて勢いよく飛び込むあそびです。受け止めた仲間は、反動をつけて、飛び込んだ人を放り上げますが、その際、コンクリートの地面に勢いよく落下するなどして大けがをした子どももいます。

15歳の子どもは、頭部からコンクリートの地面に落下

2025年10月に日本小児科学会のInjury Alert(傷害速報)では、スーパーマンチャレンジによる事故報告をしています。概要は、次の通りです。

●事故発生年月日 2024年12月X日

●事故にあった子ども 15歳・男子 身長170cm 体重52kg

●事故発生時の状況 友人10名とSNSに動画を投稿するためスーパーマンチャレンジを屋根がある通路のような場所で順番に行っていた。天井までの高さは3~4 mほど。

6名ほどの男子が両手を広げ待ち構えているところに、生徒が飛び込み、胴上げのように天井に向かって打ち上げられるような形になった。

約2 mの高さまで打ち上げられ、頭部からコンクリートの地面に落下。落下後、約30秒間意識を失い、約15秒の全身性間代性けいれんがあった。その後、意識は回復したものの、周囲の友だちが本児の母に電話をして状況を報告。救急車を呼ぶように言われて救急要請した。

●診断名 急性硬膜外血腫、急性硬膜下血腫、外傷性くも膜下出血、脳挫傷、頭頂骨骨折

救急搬送時の様子と経過 受診したときは、見当識障害(時間、場所、人物などを正しく認識する能力が低下する状態)などの記憶障害が認められた。右側頭部に皮下血腫があり、右側頭部から頭頂部に痛みの訴えがあった。頭部のCT検査をして急性硬膜外血腫、急性硬膜下血腫、外傷性くも膜下出血、脳挫傷、頭頂骨骨折が認められた。 入院後、頭痛や吐き気、嘔吐が続き、経口摂取が困難であったが、入院から2日後には経口摂取が可能に。翌日には、吐き気もおさまり、頭痛も鎮痛薬内服でコントロールが可能になったっため退院した。退院から数日後、外来を受診したが明らかな後遺症は認められなかった。

学習障害や麻痺などの後遺症が残る可能性も

上記の子どもは、後遺症が認められませんでしたが、頭や首を強く打つことによって学習障害や麻痺などの後遺症が残ってしまう可能性もあります。

沖縄県浦添市では、小中学校から注意喚起が

ほかにも事故の報告はあります。スーパーマンチャレンジをして救急搬送された、13歳の男の子は両手骨折。全治2カ月の重症でした。

沖縄県浦添市では、スーパーマンチャレンジによる事故が相次ぎ、2024年12月に小中学校から注意喚起が出されました。

世界でも見られる「スーパーマンチャレンジ」による事故

スーパーマンチャレンジによる事故は、日本だけではありません。北マケドニアでは、10~17歳の少なくとも17人が骨折や打撲で入院。ルーマニアでは1日20人以上が病院に搬送されたという報告もあります。

危険な遊びは、今後も流行る可能性が。ママ・パパはアンテナを張って

スーパーマンチャレンジは危険なため、現在は動画投稿サイトの削除対象となっており、「スーパーマンチャレンジ」と検索しても、関連動画はほぼ見られません。しかし今後も、SNSを通して危険な遊びは流行る可能性はあります。

スーパーマンチャレンジでけがをした子は思春期が多いのですが、「危険」と考えるよりも、「楽しい」「動画を撮ってバズらせたい」といった気持ちのほうが強いようです。なかには「友だちに誘われたら断れない」という子どももいるでしょう。

ママ・パパにお願いしたいのは、子どもたちの間で流行っている危険な遊びにはアンテナを張ることです。また「スーパーマンチャレンジをしてけがをした」と直接言わない子どももいますが、「友だちと遊んでいて頭を打った」「頭が痛い」などと言うときは、けがをしたときの状況を聞いて、すぐに受診してください。顔色が悪い、吐き気があるときも同様です。頭を打ったときは、できたら脳神経外科を受診しましょう。

記事監修
岸部 峻先生
東京都立小児総合医療センター 救命救急科 医長。専門は、小児科学、救急医学、傷害予防。小児科専門医・認定指導医、救急科専門医、日本DMAT隊員・東京DMAT隊員。

取材・文/麻生珠恵





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