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アメリカではなくイランに厳しい立場をとる日本
2026年2月末、中東イランで大きな紛争が始まってから、早いもので1か月強が経ちました。テレビやインターネットのニュースでは、今も激しいやり取りが伝えられています。
この争いの中で、アメリカは「イランが核兵器を作ろうとしている」と言って攻撃を行い、イランは「自分たちの国を守るために戦う」と主張しています。
こうした状況で、日本の政府はアメリカを厳しく責めることはせず、むしろイランに対して「これ以上争いを大きくしないで」と厳しく注意するような態度をとっています。なぜ日本は、アメリカの味方のような動きをするのでしょうか。
理由1:「日米安全保障条約」があるから
まず一番大きな理由は、日本とアメリカが「とても強い絆で結ばれたパートナー」だからです。日本とアメリカの間には「日米安全保障条約」という非常に大切な約束があります。
これは、もし日本がどこかの国から攻撃されたとき、アメリカが日本を全力で守ってくれるという約束です。日本には自分の国を完全に守りきるための軍隊がないため、アメリカの助けはなくてはならないものです。

そんなに頼りにしている最強の味方であるアメリカを、日本が表立って強く批判することは、自分たちの安全を危うくすることにもつながりかねないのです。クラスの中で、一番自分を守ってくれる友達がケンカを始めたとき、その友達を真っ向から否定するのは勇気がいるし、難しいことですよね。
理由2:イランの核開発を阻止したいから
2つ目の理由は、イランが進めてきた核開発という問題です。イランは長い間、とても強力な爆弾である核兵器を作ろうとしているのではないかと疑われてきました。
もしイランが核兵器を持ってしまうと、中東だけでなく世界全体のバランスが崩れてしまうと、日本を含む多くの国が心配しています。アメリカが今回イランを攻撃した理由も、この核開発を力ずくで止めようとしたためです。
日本は世界で唯一、核兵器の怖さを知っている国ですから、「核兵器に関係する動きは絶対に許さない」という強い考えを持っています。そのため、アメリカのやり方が激しすぎると内心思っていたとしても、まずは「危険な動きをしている」とされるイランを批判する立場をとっているのです。
理由3:イランが石油の通り道を塞ぐと困るから
3つ目の理由は、日本が輸入している「石油」に関わる問題です。日本は生活に欠かせない石油のほとんどを中東から買っています。イランが紛争を激化させ、海の道を塞いでしまうと、日本に石油が届かなくなり、家の中の電気が止まったり、車が走れなくなったりしてしまいます。
日本としては、とにかく早く争いをやめて、石油が安全に届く状態に戻してほしいと考えています。そのため海を閉じると言っているイランに対して、「勝手なことをしないで」と強く言わざるを得ない状況なのです。

日本にしかできない立場で、イランへの説得を行っている
最後に、日本はアメリカの言いなりのようになっているだけではなく、日本にしかできない役割も果たそうとしています。日本は昔からイランとも友好な関係を築いてきた国です。アメリカからは言えないようなことを、日本ならイランに伝えることができるかもしれません。
日本が表向きはアメリカの立場を尊重しつつ、裏側ではイランに平和的に解決しようと粘り強く説得を続けているのは、日本の知恵でもあります。
このように、日本は「自分の国を守ってくれるアメリカとの絆」と「核兵器のない平和な世界」、そして「みんなの生活を守る石油」という3つの大事なものを守るために、今の難しい立場を選んでいるのです。
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記事執筆/国際政治先生
国際政治学者として米中対立やグローバルサウスの研究に取り組む。大学で教壇に立つ一方、民間シンクタンクの外部有識者、学術雑誌の査読委員、中央省庁向けの助言や講演などを行う。
