笑顔で握手を交わした2人。その裏では?
2026年5月14日と15日。北京で行われたトランプ大統領と習近平国家主席の会談は、一言で言えば「大喧嘩を避けるための、大人の話し合い」でした。
表向きはお互いに笑顔で握手を交わし、習主席は「敵ではなくパートナーになるべきだ」と語りかけ、トランプ大統領も「素晴らしい未来をともに作ろう」と応じました。和やかな雰囲気で食事会や公園の散策なども行われ、諸外国を安心させるアピールには成功しました。

しかし、笑顔の裏では絶対に譲れないルールの確認という真剣勝負が行われました。特に台湾の扱いや、最新のAI・半導体技術のルールを巡っては激しい火花が散っています。
中国側が「これ以上踏み込んだら本当に衝突してしまう」と強く警告したため、アメリカ側も過度な刺激を避けて慎重に対応しました。
世界中がアメリカと中国の関係に注目するわけは?
世界中の国々がその様子を見守るのには、とてもシンプルで重要な理由があります。
両国は、大きな2つの力を持っています。1つ目は、お金やモノを動かす力=「経済の力」です。皆さんの持ち物には「made in China(中国で作られました)」と書かれているものがたくさんありますよね。また、スマートフォンやインターネットなどの便利なサービスの多くは、アメリカの会社で作られています。
世界一モノを作る力がある中国と、世界一お金を稼ぐ力があるアメリカが喧嘩をすると、世界中でお金の流れがストップし、私たちの身近な生活にまで悪い影響が出てしまいます。

2つ目は、世界のルールを決める力=「政治の力」です。地球の自然環境を守るためのルールを作ったり、争いごとをなくして平和を守ったりするには、世界中のたくさんの国の協力が必要です。
影響力のあるアメリカと中国が「協力して地球を良くしよう」と約束してくれないと、世界全体の計画が進みません。
互いの競争をコントロールすることで一致
今回の米中首脳会談では、結果としてすべての対立が解決したわけではありません。それでも、新しい貿易の枠組みを話し合ったり、アメリカの農産物を中国が多く買う約束をしたりと、協力できる部分は協力し、対立が爆発しないよう「競争をうまくコントロールしていく」ことで一致しました。
しかし、根本的な問題が解決したわけではなく、今後も表面上は「笑顔」、実態は「探り合い」という状況が続いていくでしょう。
この記事を書いたのは
国際政治学者として米中対立やグローバルサウスの研究に取り組む。大学で教壇に立つ一方、民間シンクタンクの外部有識者、学術雑誌の査読委員、中央省庁向けの助言や講演などを行う。
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