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「目の紫外線対策」は、まだ十分に浸透していない
日本全国で1,000店舗以上の「眼鏡市場」を展開する株式会社メガネトップが先日開催した「紫外線対策事業戦略発表会」では、日本の“目の紫外線対策”の遅れが大きな課題として挙げられました。
メガネトップが2026年5月に実施した調査では、何らかの紫外線対策を行っている人は70.7%にのぼった一方で、サングラスを使用している人は26.1%にとどまることが判明。

さらに、中学生以下の子どもを持つ保護者への調査では、72.7%が「子どもの紫外線対策は重要」と回答するも、実際に行っている対策として、「サングラスをかける」は11.2%、「UVカット機能付きのメガネ・レンズを使用する」は6.1%にとどまっています。

発表会に登壇した眼科医・医学博士の有田玲子先生は、「これまで視力の低下で来院する方が多かったのですが、今は日常生活に支障をきたす“眩しさ”を訴える患者さんの早期化・増加が顕著です」と話します。
では、子どもの頃から対策は必要なのでしょうか。ここからは、子どもの目と紫外線の関係について詳しく伺います。
子どもの目は大人よりも影響を受けやすい
「実は子どもの目のほうが、大人よりも紫外線の影響を受けやすいんです」(有田先生)
その理由として挙げられるのが、次の3つです。
・水晶体(目のレンズ)が大人よりも透明で柔らかく、紫外線を吸収しやすい
・瞳孔が大きく、目の中に入る紫外線量が多い
・屋外で過ごす時間が長く、紫外線を浴びる機会が多い
子どもは大人よりも紫外線の影響を受けやすいうえ、自分で対策を意識することが難しいため、周りの大人がサポートしてあげることが大切だといいます。

紫外線の蓄積は、将来の白内障リスクにつながる
子どもの頃に浴びた紫外線は、将来の目の病気につながる可能性も。「いちばん気をつけたいのが白内障です」と有田先生。
オーストラリアやニュージーランドでは、オゾン層の減少の影響もあり、国を挙げて紫外線対策や疫学調査が行われているそう。
そのなかで、小学生の頃に紫外線対策をしていたグループと、していなかったグループとでは、大人になってからの白内障の発症年齢に差が出ることが報告されており、対策をしていなかった場合、40代前半で白内障を発症するケースもあるといいます。
「子どもの頃に浴びた紫外線は、その場では症状として現れなくても、目の健康に影響を及ぼす可能性があります。将来の視力や目の病気のリスクを減らすためにも、子どものうちから紫外線を蓄積させないことが大切です」(有田先生)
サングラスは小学生になる頃から取り入れて
欧米では、もともと光に弱く、瞳の色が青いなど、紫外線の影響を受けやすいため、赤ちゃんが生まれた際には、ベビーサングラスをプレゼントする文化があるほど。では、私たち日本人はいつ頃から対策を始めればいいのでしょうか。
「医学的には赤ちゃんの頃から必要なのですが、自分でメガネを意識してかけられるようになる小学校に上がる頃からは、ぜひ取り入れていただきたいです」(有田先生)


とくに、野球やサッカーなどの屋外スポーツや、外遊びをするときは、UVカット機能付きのスポーツ用サングラスを活用するのがおすすめとのこと。さらに、特別な場面だけでなく、お出かけなど日常生活のなかでも取り入れられると理想的だそうです。
「視力矯正用のメガネをかけているお子さんであれば、UVカット機能付きのレンズを選ぶだけでも十分な対策になります。一方で、視力に問題のないお子さんも、外遊びをするときにはサングラスを取り入れる習慣をつけていただくのがおすすめです」(有田先生)
外遊びは必要! 大切なのは「紫外線だけをカットする」こと
紫外線対策と聞くと、“外遊びを減らしたほうがいいのでは?”と思うかもしれません。
「10時から14時頃は紫外線が最も強い時間帯ですが、時間をずらせるのであれば理想的という程度で、外に出てはいけないということではないんです」(有田先生)
子どもにとって外遊びは、近視の予防や体内時計を整えるためにも欠かせないもの。
「近視の進行を抑えるためには、ある程度の明るさが必要です。小さい頃、『暗いところで本を読むと目が悪くなるよ』と言われたことはありませんか? 昔から言われていることのなかには都市伝説のようなものもありますが、これは間違っていないんですよ。
だから大切なのは、外遊びをやめることではなく、紫外線だけをカットすること。明るさはしっかり確保しながら、目を守る工夫をしていただきたいですね」(有田先生)
帽子だけでは不十分。できればサングラスとの併用を
紫外線対策として、子どもに帽子をかぶせている保護者は多いと思います。では、それで十分なのでしょうか。
「帽子は頭頂部を守ることはできますが、目の周りという意味では紫外線のカット率は50%程度なので、十分とはいえません」(有田先生)

一方で、サングラスは90%以上の紫外線をカットしてくれるため、目を守るという観点では、より効果的な対策になるといいます。
ただし、サングラスだけでは、地面からの照り返しや、横や後ろから入り込む紫外線までは防ぎきれないとのこと。そのため、帽子や日傘と組み合わせることで、さらに紫外線を防ぎやすくなるそうです。

「子どもにサングラスはまだ早い」は誤解。選ぶときは安全性をチェック
有田先生によると、診察の現場でも、年齢が上の世代ほど“子どもにサングラスなんてまだ早い”という意識を持っている人が多いといいます。
「サングラスをファッションアイテムとして考えると、まだ早いのかもしれません。でも、目を守るという医学的観点では必要です」(有田先生)

選ぶ際は、色の濃さよりも、UVカット機能が備わっているかどうかが重要。
「サングラスと聞いてイメージするような色の濃いものは、大人にも子どもにもあまりおすすめしていません。大人から見ても瞳が見えるくらいの薄い色、もしくは透明なレンズでも、UVカット機能が入っていれば十分です」(有田先生)
また、子ども用ならではの安全性も確認したいポイントです。
「子どもは活動量が多いので、転んだときに顔に刺さらないことや、柔らかい素材であること、レンズが割れにくいことも大切です。最近は、お子さん向けに安全性に配慮した商品も増えています」(有田先生)

慣れないサングラスをかけることに抵抗があるお子さんもいるかもしれませんが、家族みんなで取り入れることも、無理なく続けるコツのひとつなのだとか。
「帽子をかぶるような感覚で、家族みんなでサングラスを取り入れてもらえたらいいですね」(有田先生)
お話を伺ったのは
ドライアイ研究の世界的第一人者として、80本以上の英文学術論文を発表。国際的なドライアイガイドラインの作成委員を複数回務め、日本のMGDガイドライン策定にも主要メンバーとして関わる。東京大学病院・慶應義塾大学病院では、ドライアイ・MGD専門外来を担当。診療・研究の最前線に立つ。現在は、内科医の父が院長を務めるさいたま市の伊藤医院にて、眼科診療に従事。
この記事を書いたのは
法学部卒業後、通信教育などを手がける教育業界の企業に勤務し、その後ライターとして、女性誌や複数のWeb媒体で、暮らしや子育てを中心としたライフスタイル分野で取材・執筆を行っている。2児の母で、子どもはすでに成人しており、中学受験や大学受験を経験。実体験をもとに、同世代の女性に寄り添えるような記事を心がけている。
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