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子どもにはお金の可能性もポテンシャルもいっぱいある分、リスクも多い!
――本作は「こども投資クイズ」という子どもに向けた本になっています。なぜ子ども向けに投資の本を出版されたのか、改めて理由を教えてください。
パックンさん 複数ありますが、1つは子どもにお金の話をしてくれる人が少ないことです。学校もそうですし、関連する番組やオンラインコンテンツが増えてはいますが、基本的には少ないと思います。
2つ目は子どもには可能性もポテンシャルもいっぱいありますが、お金に関するリスクもいっぱいあります。AIが躍進し、InstagramなどSNSからも間違った情報や誘惑に出合う確率も上がるなか、知識が少なく相談できる人も少ない分、詐欺などに引っかかる可能性もありますし、間違ったお金の使い方をして自分の人生に大きな損失をもたらす可能性もあります。
3つ目は本にも書きましたが、僕は長期・分散投資系の人なので、1年や2年単位でなく、人生をかける投資のほうが効果があると考えています。つまり、時間がたてばたつほど“複利”の効果が発揮されるので、早いうちから正しい節約、投資方法を知っておくと恩恵を受けられます。
こういうことを誰かが話さなければもったいないと思いました。
2027年には「こどもNISA」も始まりますから、よい環境、タイミングで投資を始められることも子ども向けの本を執筆した理由です。
――クイズに出てくる題材が、イーロン・マスクの総資産や大谷翔平選手の年俸、レアカードに関することなど、子どもの興味をひく内容でした。子ども向けということで、執筆の際に何か心がけたことはありますか。
パックンさん 読みやすさです。特に金融関係は専門用語がたくさんあるので、難しい言葉は全部避けて簡単な言葉を使い、身近なものに例えたり、文章も読みやすくしたりしています。
これは僕の基本的なスタイルですが、文章はなるべく短く、ストレートに心が出るような文章を心がけています。
――大人に向けた本とは違う難しさはありましたか?
パックンさん いえ、書きやすかったです。僕は精神年齢が子どもに近いんですよ(笑)。大人向けの本でも文章を難しくしすぎている本が多いと思うので、僕は大人向けだとしても簡単な文章で、子ども向けのように書いています。子どもにわかりやすい例は大人が読んでもわかりやすいですよね。

節約も大事な稼ぎ。今日節約した1,000円が投資によって60,000円になるかも!?
――本の中で、投資では「節約筋」を鍛えることが大切だという言葉が印象的です。その重要性を教えてください。
パックンさん お金を稼ぐプロセスには3段階あると伝えています。
まずは仕事をしてお金を稼ぐ。
そして、毎日少しずつ使うお金を減らして“節約筋”を鍛えれば、収入アップにつながります。英語では「a penny saved is a penny earned(一円の節約は一円の稼ぎ)」と言いますが、節約していることを我慢ではなく、稼いでいる、仕事をしていると前向きに思ってほしいです。
最後の段階は投資をしてお金に働いてもらう。この3段階で人間のフルな稼ぎができると思っています。

――節約することも仕事ととらえるのですね。そんな節約のコツを改めて教えていただけますか。
パックンさん 今日はどこにお金を使わないで済むかを考えるとわかりやすいです。
ジュースを飲みたいならコンビニでは買わずに安く売っているドラッグストアで買う、もっと言えば水筒に自分の家の水道水を入れていけば1円程度で済むので、わかりやすい節約になります。本を書いている立場で言いにくいのですが本は図書館で借りてもいいし、交通手段ならいちばん安いのはどれなのかを考えます。
毎日繰り返していると自然にできるようになりますし、毎日コツコツやっていくと苦に感じません。
もうひとつ子どもにとって大切なのは、今節約して投資したお金が数年後、数十年後にどのくらい成長しているのかを一緒に考えること。今日節約した1,000円が投資によって60,000円になるかもしれない、そう考えると節約のやる気が出る、頑張ろうと思いますよね。
ただ、あまりキツキツに感じるとお金が嫌になるので、喜びを感じるものにお金を使うのは全然問題ないですし、大賛成です。
「お金の話はまだ早すぎる」というスタンスがバリアになり、歪んだ考えを生む
――パックンさんのご家庭ではお金にまつわることは何歳から伝えていますか?
パックンさん 隠すことではないので0歳から話してます。あなたにはまだ早すぎるというスタンスがバリアになるし、歪んだ考え方、感じ方になりがちなんじゃないかなと。だからなるべくフラットに、ストレートに伝えたほうがいいと思います。
最初はお札や硬貨を並べて話をしてあげるといいですね。あれば外貨も出して外国のお金に触れ合ってもいいでしょうし、クレジットカードなど実物があると興味を引き出しやすいです。
そのうえでお金は天から降ってくるものではなくて一生懸命働いて、給料が会社から振り込まれていることを伝えたり、一緒に買い物に行って商品の値段を見たりするだけでもお金の勉強になります。
家庭は学校とは違って毎日お金を使い、生活とお金が密着しているので、毎日でもそのような話ができるのがいいなと思います。
――投資のことも同じように小さいときからお話しされてましたか?
パックンさん はい。1番わかりやすいのは家賃です。
我々は毎月お金を払ってここに住まわせてもらっているけれど、もし家を持っていて人に貸すとしたら毎月お金が入ってくるよね。それも投資だよとか。
株式や債券のことは小さい頃に話してもピンと来ないようだったので、中学生くらいになって話すといいと思います。
我が家では「ジュニアNISA」があったときに、クリスマスに毎年お金を渡して一緒にファンドを選ぶことをやっていました。そのあとは選んだファンドの国の話をして、今度ここに行ったら応援しようねという話をしていましたね。
その子どもはもう高校生ですが、把握していないこともたくさんあるので、この本を読んでほしいなと思います。お父さんの話はもうあまり聞いてくれないからね(笑)。
――そうなんですね(笑)。アメリカではパックンさんのように、家庭でお金のことを教えていますか?
パックンさん 家によって違いますし、学区によって違うので一概には言えませんが、日本よりはその率が高いと感じます。
僕の場合はお金がないという少し特別な家庭で、お母さんに予算をしっかり立てることを教わり、どこにお金を使っているかをメモして、予算内でお金を使えていたかをチェックされていました。みんなの前でメモするのが嫌で、そもそもの出費を減らすとお母さんに怒られないので、そこで節約筋がついたのもあります。10歳から自分で仕事をし、稼ぎ方も学びました。

中学校でやった「リアル人生ゲーム」の経験が今も濃く残っている
――日本では2022年4月から小学校・中学校・高校での金融教育が義務化されましたが、アメリカの学校ではどんなことを学びましたか?
パックンさん 僕の中学校では、社会科の一環で「リアル人生ゲーム」をやったのを覚えています。
それぞれがやりたい仕事を決めて、サイコロを振って3~6が出た人はそれになれたとする。それ以外はデフォルト的なサラリーマンになるんです。
給料をもらい、毎月の経費を考え、家を買うか、車を買おうか、それを分割払いしているといつのまにか首が回らなくなっていたりね。そこでサイコロを振って、出た目によっては「失職~! 残念……」となります。遊びながらお金の貴重さ、正しい使い方を学びました。この経験が今も濃く残っています。
――すごくいいですね!
パックンさん はい。そのなかには投資の項目もあって、すごく良かったです。
以前、ニュージャージー州の中学校を取材した際はウォールストリートのトレーダーが、投資の先生をやっていたこともありました。投資の基礎を教えて、「台風でトウモロコシ畑が被害を受けました」というニュースを読みながら、このニュースは投資の何を動かすのか、トウモロコシの先物価格が上がるとしたらどうすればいいかを考えていました。
――どれも活きた学習ですね。
パックンさん そうですね。「リアル人生ゲーム」はいつか作りたいなと思っていますよ。

2027年には「こどもNISA」スタート! まずは大人が自分のライフプランを考えよう
――2027年からは「こどもNISA」がスタートします。興味がありながらもなにをどうすればいいかわからないパパママは、どんな備えをしておくといいですか?
パックンさん まずは、大人が自分のライフプランを考える必要があります。自分の稼ぎ方を考えて、どの段階でどのぐらいの投資ができるかの予算を立て、それらを一枚の紙にまとめると心強いです。
そして僕はなるべく早く子どもにはお金を渡した方がいいという考えです。「こどもNISA」の年間投資枠は60万円、非課税保有限度額600万円。最短で満タンにするには月5万円で、頑張って10歳の時点で満額の600万円を入れておくと、年利7.2%の複利なら、倍々ゲームで60年後の70歳には3億8400万円になります。
子どもが幼いうちに親がどのぐらい我慢できるか挑戦して、それができたら以降は全収入を自分のために使えるかもしれません。
――勉強になります。最後にHugKum読者にメッセージをお願いします。
パックンさん お金は怖いものでも汚いものでも嫌らしいものでもなく、あくまでもツールです。そのツールの使い方がわからないのはもったいないと思う。
将来に向けての投資は子どもを自由にし、子どもを解放することにもなると思っています。心配、不安、恐怖から解放されて自由になるために、子どもと楽しく学べればうれしいですね。
ぜひ前作と合わせてセットで読んでいただき、読んだあとは、ぜひニュースを見てほしいです。より理解度が深まり、社会との関わり方も変わって楽しくなると思いますよ。
パックンさんの新刊
累計発行5万部を突破したヒット作『パックンの森のお金塾 こども投資』(2025年4月刊行)の続編。
約60問のクイズと丁寧な解説を通して、子どもが自分ひとりで読み進めながら、お金と投資の知識を楽しく身につけられる構成になっています。これ1冊ではもちろん、前作と併せて読むことで、より理解が深まる内容です。
前作でも好評だった「親向けページ」を本書にも収録し、
・子どものうちから投資をするメリットとは
・「こどもNISA」に対して、親はどのような対応をするべきなのか
・これからの子どもの未来を考えるためのAIに代替されない力
・大切にしたい経験。体を使った体験について
など、2児の父親であるパックンが実体験に基づいた「子育て×お金教育」との向き合い方について、親が知りたい情報を語っています。
この記事を書いたのは
子育てや教育、エンタメにまつわる方々への人物インタビューを多く取材・執筆。大人はもちろん、子どもたちから話を聞くのも好きです。3兄弟を育てる母でもあり、同じように子育てに向き合っている方たちが共感できたり、悩みや困りごとに寄り添えるような記事を発信しています。