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目次
外あそびの判断目安に「暑さ指数(WBGT)」をチェックしよう
――熱中症対策の目安としてよく耳にする「暑さ指数(WBGT)」は、気温とどのような違いがあるのでしょうか?
前橋先生:暑さ指数(WBGT)とは、熱中症の危険度を判断するための世界基準の指標です。気温だけでなく、湿度や日差し、風などの影響も踏まえ、どのくらい熱中症になりやすいかを総合的に示しています。
【暑さ指数(WBGT)による外あそびの判断基準】
◆WBGT31以上:「運動は原則中止」
特別な場合を除き、外あそびや運動は中止してください。とくに子どもは体温調節機能が未熟なため、外での活動を控えるべきレベルです。
◆WBGT28以上31未満:「厳重警戒」
熱中症の危険性が高いため、激しい運動や、長時間にわたる外あそびは避けましょう。外で遊ぶ場合は短時間にとどめ、10~20分おきに日陰や涼しい場所で休憩をとりながら、水分や塩分を補給することが大切です。
暑さ指数は「時間」と「場所」で変わる
――外へ出る前に、その日の暑さ指数を確認することが大切なのですね。
前橋先生: はい。ただし、暑さ指数は時間帯や場所によって変わります。朝の時点でWBGTが31を超えていても、夕方になると下がることがありますし、日差しの強いアスファルトの上では高くなることもあります。そのため、「今日は1日外で遊べない」と決めつけず、その時間、その場所の状況を見ながら判断することが大切です。
暑さ指数は、保育園での情報のほか、天気予報アプリや環境省の熱中症予防情報などでも確認できます。こまめにチェックする習慣をつけておくと安心です。

狙い目はここ! 真夏でも比較的あそびやすい「時間帯」と「場所」
外あそびは「朝」と「夕方」がおすすめ
――夏に外あそびをする場合、おすすめの時間帯や遊ぶ時間の目安を教えてください。
前橋先生: 朝の6~9時ごろや、日差しが和らぐ夕方がおすすめです。日中に比べて気温が低く、暑さの影響を受けにくいため、比較的安全にあそびやすいでしょう。乳幼児の場合は、まず10~20分程度の短い時間から始めてください。
ただし、時間だけで一律に判断せず、子どもの表情や顔色、汗のかき方などを見ながら、無理のない範囲で調整することが大切です。

真夏の外あそびは「場所選び」がカギ! おすすめスポットを紹介
――暑い日に子どもを連れて行くなら、どんな場所がおすすめですか。
前橋先生: おすすめなのは、大きな木陰のある公園や屋根付きの広場、ミストや噴水のある施設、じゃぶじゃぶ池などです。また、川や海も、夏ならではの自然を満喫できる場所です。こうした場所であれば、体への負担を抑えながら、外の空気や自然に触れることができます。
ただし、「涼しそうだから安心」とは限りません。場所によって気をつけたいポイントが異なるため、それぞれの特徴を知ったうえで利用することが大切です。
【遊ぶ場所ごとの特徴と注意点】
● 公園
大きな木陰や屋根のある公園は、暑さを避けながら外あそびができるおすすめの場所です。ただし、木陰があっても遊具やアスファルトは高温になっています。遊ぶ前に大人が手で熱さを確認し、やけどに注意しましょう。
● 川
水辺ならではの涼しさを感じられ、自然と触れ合えるのが魅力です。一方で、急な増水や深み、流れの速い場所があるため注意が必要です。子どもだけで水辺に近づかせず、大人が必ずそばで見守りましょう。
● 海
水あそびや砂あそびなど、夏ならではの体験が楽しめる場所ですが、日陰が少なく、砂浜や海面からの照り返しも強くなります。また、水の事故にも十分注意が必要です。
● じゃぶじゃぶ池・水あそび広場
小さな子どもでも気軽に水あそびを楽しめる人気のスポットです。ただし、濡れた床は滑りやすく、転倒事故につながることがあります。混雑時は子ども同士の衝突にも気を配り、施設のルールや衛生管理状況も確認しながら利用しましょう。

熱中症・やけど・虫…真夏の「3大トラブル」を防ぐには?
――熱中症を防ぐために、水分補給はどのタイミングで行うのがよいのでしょうか。
前橋先生: 水分は、まず外へ出る前に飲んでおくことが大切です。あそび始めたら、10〜15分ほどを目安に休憩をとり、その都度こまめに水分を補給しましょう。「のどが渇いた」と感じる前に飲むことを意識してほしいですね。
休憩を嫌がる子には、声かけを工夫するのもおすすめです。「からだを冷やす作戦タイムにしよう」「水を飲んだら、次は日陰で作戦会議だよ」など、あそびの延長として休憩を取り入れると、子どもも自然と応じやすくなります。
――外あそび中、どのような様子が見られたら、子どもを休ませたほうがよいのでしょうか。
前橋先生:顔が赤い、または青白い、汗をかきすぎている、あるいはまったく汗をかいていない、ぼんやりしている、機嫌が悪い、ふらつく、頭痛や吐き気、腹痛を訴える――このような様子が見られたら、早めにあそびを切りあげてください。無理をさせずに早めに様子を見ることが大切です。

遊具や地面の熱さは「手の甲」でチェック!
――公園の遊具や地面によるやけどを防ぐために、気をつけたいことはありますか?
前橋先生: 夏のすべり台や手すり、ブランコなどは、とても熱くなります。遊ぶ前に、大人が手の甲で熱さを確認してあげてください。手のひらよりも手の甲のほうが皮膚が薄く、熱さを感じ取りやすいのです。
また、砂場も熱くなりやすいため、遊ぶ前に少し砂を掘り返しておきましょう。表面は熱くても、下のほうは水分を含んでひんやりしていることがあります。水を加えながら砂あそびを楽しむのもおすすめですね。
――熱中症や、やけどなど、夏ならではの注意点も多くありますね。
前橋先生:そうですね。熱中症や、やけどのほか、夏は蚊などの虫も増えてきます。長袖や長ズボンを着るなど肌の露出を減らし、虫よけ剤を適切に使いましょう。また、草むらや水たまりの近く、夕方のやぶなどは虫が集まりやすいため、できるだけ避けるようにしてください。帰宅後は虫に刺されていないかを確認し、刺されていた場合は早めにケアしてあげてください。
顔色・尿の色・機嫌もチェック! 帰宅後に見守りたい体調サイン
――外あそびから帰ったあとは、どのようなケアをするとよいのでしょうか。
前橋先生:まずは涼しい場所で体を休ませ、水分をしっかり補給しましょう。汗をかいていたら、シャワーで汗や砂、虫よけ剤、日焼け止めなどを洗い流します。その後は着替えをして、軽く補食をとるのもおすすめです。
チェックしたいのは、顔色や尿の色、食欲、機嫌、眠気など。「いつもと違うな」と感じたときは、ゆっくり休ませてあげてください。
――尿の色や機嫌など、普段との違いも大切なサインになるのですね。
前橋先生:はい。疲れや水分不足があると、尿の色が変わることがあります。ただ、それだけで心配しすぎる必要はありません。大切なのは、「いつもと違う様子」が続いていないかを見てあげることです。普段と違う状態が続くようであれば、医療機関への受診も検討してもらえたらと思います。
猛暑の夏も、子どもの「育ち」を支える外あそびを

――最後に、保護者のみなさんへメッセージをお願いします!
前橋先生:猛暑のニュースを目にすると、「外で遊ばせるのは危険なのでは…」と心配になることもあるかもしれません。しかし、大切なのは暑さを正しく知り、その日に合った過ごし方を選ぶことです。
暑さ指数(WBGT)を確認したり、時間帯や場所を工夫したり、子どもの様子をよく見ながら休憩や水分補給を取り入れたり…。そうしたひとつひとつの積み重ねが、子どもの安全を守ることにつながります。
外あそびは、短時間でも十分です。無理をせず、その日にできる工夫を重ねながら、親子で安心して夏ならではのひとときを楽しんでいただけたらと思います。
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お話を伺ったのは
子どもの健康福祉研究所所長。医学博士。早稲田大学名誉教授。「子どもの健全な成長のための外あそびを推進する会」代表理事。子どもの生活習慣や体力、運動、心身の健康を専門に研究し、外あそびの重要性を広く発信している。著書に『子どもの健全な成長のための 外あそび推進ガイド』(ミネルヴァ書房)など。
◆NPO法人子どもの健全な成長のための外あそびを推進する会HPはこちら
この記事を書いたのは
子育てや教育分野を中心に取材・執筆。また、認定NPO法人で、不登校やさまざまな困難を抱える子どもたちと関わっています。2児の母としての子育ての実感も重ねながら、日々の悩みや、子育てのリアルな声を丁寧にすくい上げ、やさしく伝える記事づくりを心がけています。