プーチン大統領が北方領土を初訪問。そもそもなぜ日本とロシアは争っているの? 【親子で語る国際政治】

今知っておくべき国際問題を国際政治先生が分かりやすく解説してくれる「親子で語る国際問題」。今回は、北方領土を巡る日本とロシアについて、小学生にも分かるように解説します。

プーチン大統領が北方領土を訪問

2026年8月13日、ロシアのプーチン大統領が北方領土と呼ばれる島々のひとつである択捉島(えとろふとう)を初めて訪問しました。日本の首相や外務大臣は「北方領土は日本の領土だ」として抗議しましたが、ロシア側は「ロシアの領土だから問題ない」という姿勢をとっています。

ロシアのプーチン大統領 写真:wikimedia commons CC BY 4.0

ニュースを見て、「どうして日本とロシアは同じ島をめぐってずっと争っているのだろう?」と疑問に思った人も多いかもしれません。なぜこの争いが起きているのか、両方の主張を見ながらわかりやすく解説します。

北方領土はどんな場所?

まず、北方領土とは、北海道のすぐ近くにある択捉島、国後島(くなしりとう)、色丹島(しこたんとう)、歯舞群島(はぼまいぐんとう)の四つの島々を指します。四つの島を合わせると福岡県と同じくらいの広さがあり、周りの海は美味しい魚がたくさんとれることで知られています。

画像:wikimedia commons

この四つの島について、日本は「もともと日本の領土である」と主張しています。江戸時代から日本人が探検したり暮らしたりして町をつくってきた歴史があり、一度も外国の領土になったことがなかったからです。

しかし、第二次世界大戦が終わる直前の1945年8月、当時のソ連(今のロシア)が突然島に攻め込んできて、そこに住んでいた約1万7000人の日本人を無理やり追い出してしまいました。日本は「これは国際法上認められない不法な占領であり、早く日本に返すべきだ」と考えています。

ロシアの立場

一方で、ロシアにはロシアの立場があります。ロシアは、第二次世界大戦でソ連が多くの犠牲を出しながら連合国(アメリカやイギリスなど)と一緒に勝利した結果として、これらの島々を手に入れたと考えています。

戦時中、アメリカやイギリスとの間で「ソ連が日本との戦争に参加する代わりに、これらの島々をソ連のものにする」という取り決めがあったため、正式な手続きを経て自国の土地になったという考え方です。そのため、戦争の結果を日本は受け入れるべきであり、自分たちの領土をどのように使っても自由であると主張しています。

日本とロシア間では、今も平和条約が結ばれていない

このように、日本とロシアの間では、「歴史的に一度も外国のものになったことがない日本の土地だ」という考え方と、「第二次世界大戦で勝利した結果として得たロシアの土地だ」という考え方が真っ向からぶつかり合っています。

戦争が終わってから80年以上が過ぎましたが、お互いの意見の違いが埋まらないため、日本とロシアの間では今でも正式に戦争を終わらせるための平和条約が結ばれていません。  

現在はロシアが島々を実際に管理している状態が続いており、話し合いは行われてきたものの解決には至っていません。 今回プーチン大統領が島を訪れたのは、ロシアが「この島々はロシアのものであり、日本に譲るつもりはない」という強い姿勢を世界に示すためだったと見られています。

領土の問題は、双方の歴史や国の誇りが深く関わっているため、解決がとても難しいテーマです。双方の立場や歴史を正しく理解することが、この問題を考えていく大切な一歩となります。

この記事を書いたのは

国際政治先生 国際政治学者

国際政治学者として米中対立やグローバルサウスの研究に取り組む。大学で教壇に立つ一方、民間シンクタンクの外部有識者、学術雑誌の査読委員、中央省庁向けの助言や講演などを行う。

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