「自分の気持ちは言えない…」病気の兄弟を持つ「きょうだい児」の心のSOSを救う新たな支援『ヒーロー集まれ!スマイルきょうだいフェスティバル』が東京都立小児総合医療センターにて開催

2026年8月10日(月)、長期入院や長期通院をしている病気児の兄弟姉妹「きょうだい児」を応援する『ヒーロー集まれ!スマイルきょうだいフェスティバル』が、東京都立小児総合医療センター(東京都府中市)にて開催されました。

このイベントは、シリアルでおなじみの食品メーカー「日本ケロッグ」と、入院中の子どもと付き添う家族に寄り添う活動を行っている「認定NPO法人キープ・スマイリング」、「NPO法人しぶたね」の協働によって開催されたものです。病気で入院中の兄弟姉妹がいる「きょうだい児」が主役になって思い切り楽しめる時間を作るとともに、お手紙制作などを通じて離れて過ごす家族をつなぐ機会を提供することを目的に行われました。

ヒーローメダルを授与されて「きょうだい児」が入場。手紙制作や縁日コンテンツを堪能!

今回のイベントは2部制で、前半は病院内の講堂「フォレスト」にて、夏祭りの縁日をテーマにしたさまざまなコンテンツとマジックショーを展開して、「きょうだい児」たちに楽しんでもらいました。

会場を訪れた「きょうだい児」は、まず入口でケロッグのキャラクター「トニー・ザ・タイガー」(以下トニー)や、しぶたねのキャラクター「シブレッド」、東京都立小児総合医療センターのキャラクター「どんぐりくん」、クリニクラウン(臨床道化師)のきゃしーさんやファンキーさんらの歓迎を受けながら、日ごろの頑張りを讃える「ヒーローメダル」をプレゼントされて入場。

その後は、会場内に設置された「お手紙コーナー」で、入院中のきょうだいへ向けてメッセージや絵を描いたり、「ヨーヨー釣り」や「キャラクター釣り」「わなげ」などの縁日コンテンツで思い思いに遊びました。「お手紙コーナー」で書いた手紙は、保護者を通じて、後日、入院中のきょうだいへ届けられるそうで、どの子もとても熱心に取り組んでいました。

「お手紙コーナー」では、文章だけでなく、絵を描いたり、シールを貼ったりして作成する子も。どのお子さんも心を込めて作成していました。
これが「お手紙コーナー」で使われていたオリジナルの便箋と封筒です。
会場内に設けられていた縁日コンテンツの「ヨーヨー釣り」と「わなげ」。「わなげ」のコーナーでは、トニーのお面とシリアルがプレゼント。ほかのコーナーでも、子どもたちにさまざまなプレゼントが渡されました。
クリニクラウンさんとのふれあいコーナー。ファンキーさんと一緒に皿回しを体験する子どももいました。

参加型のマジックショーではお手伝い志願者が続出! 会場全体が笑顔に

縁日コンテンツやお手紙コーナーを満喫したあとは、ステージでプロのマジシャン、アンディ先生による参加型のマジックショーが開催されました。アンディ先生がマジックのお手伝いをしてくれる子どもを募ると、志願者が続出。キャラクターや観覧者が「グゥ~レイト!」の掛け声に合わせて魔法をかける演出をはじめ、子どもも保護者も一体となって楽しみました。

マジックショーの模様。箱の中から次から次にいろんなものが登場して、みんなビックリ!

マジックショーのあとは、キャラクターたちとともに、都立小児総合医療センターの院長、山岸敬幸先生がステージに登場。参加者の子どもたちに「楽しかったですか? いつも頑張っていますね。応援しています。一緒に頑張りましょう!」とメッセージも。

参加した「きょうだい児」からは、「トニーやシブレンジャーに会えて、写真が撮れてうれしかった」「縁日の一つひとつが楽しかった」「会場のお友達の浮遊のマジックがおもしろかった」など笑顔があふれるメッセージが多数聞かれ、会場全体が和やかで温かな雰囲気に包まれて、イベント前半が終了しました。

↑写真左から右にどんぐりくん、ファンキーさん、シブレッド、山岸敬幸院長、トニー、きゃしーさん。

イベント後半はキャラクターたちが病棟を訪問。入院中の子どもやご家族に笑顔をプレゼント

その後、イベントはトニー、シブレッド、きゃしーさん、ファンキーさんらが病棟を訪問。縁日会場に訪れることが難しい子どもたちや入院中の子どもに付き添われているご家族と触れ合い、夏休みの思い出とエールを届けて終了となりました。その際、「日本ケロッグ」からは、食支援としてシリアルをはじめ自由帳やお手紙セットを、「キープ・スマイリング」からは、ボディミルクやウエットシートなどが入った「スペシャルサマーパック」を子どもの入院に付き添われているご家族を通じて渡されました。

いつも頑張っている「きょうだい児」へエールを送るフェスティバル

イベント主催者によれば、今回のイベントが開催された背景には「病気のある子どもへの支援は進む一方で、『きょうだい児』への支援が見落とされがちな現実」があるそうです。

「きょうだい児」は、家族の状況を思いやりながら日々を過ごす中で、自分の気持ちや希望を後回しにしながら生活しているケースも少なくなく、そうした不安や葛藤を抱えながらもふだん通りに振る舞っている実態も報告されているとのこと。また、頑張っているにも関わらず、感染対策の観点から面会に制限が合って、入院中の兄弟姉妹に面会できない病院も多く存在しているそうです。そこで、「きょうだい児」が主役となって思い切り楽しめる今回のイベント開催を思い立ったそうです。

『きょうだい児』支援の輪を全国へ

都立小児総合医療センター・院長の山岸先生は、イベント終了後、「きょうだい児」への支援の大切さを次のように語りました。

家族が健やかであることが、入院中の子どもを支える

「ご家族の支援は小児医療の現場において重要であり、その中でも『きょうだい児』へのサポートは大切なテーマです。なぜなら、ご家族が心身とも健やかで一体となって治療に臨まれることが、結果として入院中の子どもを支えることにつながるからです。当院では、これまでにも『きょうだい児』向けのイベントを実施してきましたが、病院全体で大規模に取り組んだ企画は、今回初めての取り組みでした。

日本ケロッグ様、NPO法人の皆様が連携して、このような心温まる機会をつくってくださったことに、心より感謝申し上げます。このイベントを通じて、日頃、病児やご家族を思いやり、時には我慢を強いられてしまうかもしれない『きょうだい児』たちに光があたり、病気と闘う子どもとご家族が皆さんで笑顔になって楽しまれたひとときをとても幸せな気持ちで拝見しました。」

「きょうだい児」支援の空白を埋めるためにできること

なお、今回のイベントを共催した「日本ケロッグ」では、今後も同じ思いを持つ団体と連携して、こうした支援やイベントに取り組んでいくとのこと。同社のPRマネージャー、山路真由さんは今後の抱負を次のように述べています。

「弊社では、グローバルで展開する社会貢献プログラムの一環として、これまで『キープ・スマイリング』さんと連携し、シリアルの食支援や季節行事に合わせたオリジナルグッズの寄贈などを通じて、入院中のお子さんだけでなく、付き添いのご家族、医療従事者の方々への支援に取り組んで参りました。手軽で栄養バランスの優れたシリアルは、食事が不規則になりがちな付き添いご家族や医療従事者の方たちからご好評をいただいています。

そうした中で新たに着目したのが、入院中のお子さんの兄弟姉妹である「きょうだい児」の存在です。名古屋大学の新家一輝教授らの研究(*1)では、「きょうだい児」の多くが病気のごきょうだいや親を優先するあまり、自分の気持ちや希望を抑えながら生活していることや、一見「ふだん通り」に過ごしているように見えても、不安や葛藤を抱えていることが報告されています。それにもかかわらず、新家教授らの全国調査(*2)では、日本の小児医療施設207施設のうち、病棟全体で体系的にきょうだい支援を実施している施設は、25.1%にとどまることを知りました。

今回のイベントは、そのような背景のもと開催させていただいたものです。これまで自社工場のある群馬県の「JCHO群馬中央病院」においては、「スペシャル応援パック」の贈呈や、小児病棟へのシリアルディスペンサー設置をはじめ、小規模な催しを行ってきましたが、「きょうだい児」をテーマにしたこのような大規模イベントは今回が初めてです。これを機に、大阪や福岡などでも開催して、少しずつ全国へ展開していきたいと考えています」

*1 Kikudome K, et al. Experiences during childhood and adolescence among siblings of children with childhood-onset chronic illness. Journal of Pediatric Nursing. 2026.

*2 Niinomi K, et al. Support for siblings of children with illness in Japan’s hospitals. Frontiers in Pediatrics. 2022.

75%が経験した付き添い入院。支援先を頼ってみませんか

「キープ・スマイリング」の調査データによれば、子どもが入院した際に「病院から付き添いを要請された」人は75%にも上ります。このデータを見る限り、子どもの入院時は家族の付き添いが多くの病院で行われているようです。

筆者自身も過去に、生後8か月の子どもが風邪を引いたのをきっかけに入院し、付き添い看護をした経験があります。当時は子どもと同じベッドに寝起きをすることで、ほとんど眠れず胃腸炎を発症して倒れてしまい、とてもつらかったことを今でも覚えています。私の場合は、約2週間の付き添いでしたが、長期入院・治療を受けなければならないお子さんの付き添い看護をしているご家族のご苦労は、心身ともに想像を絶する大変さがあると思います。

今回の記事をご覧になって、今回のイベントや付き添い看護の支援などについて、より詳しく知りたい方は、以下までお問い合わせいただけましたら幸いです。

◆日本ケロッグ合同会社お客様相談室 
フリーダイヤル:0120-500209(受付:月~金9:00~17:00、土・日・祝日を除く)

◆認定NPO法人 キープ・スマイリング
「Keep Smiling~子どもが入院しても、子どもと家族のみんなが笑顔を失わないでいられる社会のために。」をビジョンに掲げ、子どもの入院に付き添う家族を支援する活動を全国で展開中。
https://momsmile.jp

◆NPO法人 しぶたね
小児がんや心臓病など重い病気のある子どもの「きょうだい」のための団体。きょうだいが仲間と過ごせるイベントや病院内での活動、周りの大人の想いを伝える冊子の制作、支援者向けの「シブリングサポーター研修」、啓発活動などを通してきょうだいを支える人の輪を広げている。
https://sibtane.com

◆認定NPO法人 日本クリニクラウン協会
赤い鼻がトレードマークのクリニクラウン(臨床道化師)を小児病棟へ定期的に派遣し、入院中の子どもが子どもらしく過ごせる「こども時間」を届けている。
https://www.cliniclowns.jp

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この記事を書いたのは

山津京子 エディター&ライター

大学卒業後、出版社勤務を経てフリーランスに。主に子育て、食・旅・美術関連の取材記事を担当。これまで手がけた小学館での単行本には、『ひとり親でも子どもは健全に育ちます』(佐々木正美:著)、『自分の番を生きるということ』(佐々木正美:著、相田みつを:書)、『池波正太郎の愛した味』(佐藤隆介:著)、『楽しく脳活 クイズで学ぶ浮世絵入門』(監修:藤澤紫)などがある。

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