こども園の給食に学ぶ!子どもの心とからだにいい食事って?【栄養士監修】

食事は毎日のことだからこそ、「野菜をもっと食べてほしい」「小食なのが気になる」など、あれこれ悩んでしまうもの。園で給食をつくっている先生方は、どんな工夫をしているのでしょうか。子どもが食べたくなる雰囲気づくりや調理のコツを教えていただきました。

「全部食べられた!」という自信を

子どもが食べる量は体格などにより個人差があるのに加え、どのくらい外で体を動かして遊んだかによっても違います。そのため、一律に「たくさん食べさせなければ」と思わずに、それぞれの子が自分に合った量を楽しく食べられることを第一に考えましょう。食べる楽しさを感じるには、「全部食べられた!」と自信がもてる体験を積み重ねることが大切です。食が細い場合は無理なく食べられる量だけを盛りつけ、完食できたらたくさんほめると自信につながります。

栄養バランスは数日単位で考えて

野菜や魚を食べる機会を増やすコツは、和食のメニューを多めにすること。メインのおかずに副菜と汁物を添えた「一汁二菜」を基本に、汁物に野菜やわかめなどの海藻類を入れるようにすると、おうちの方の負担をあまり増やさずに、さまざまな食材をとり入れやすくなります。栄養バランスについてはあまり厳密に考えすぎずに、外食などで栄養が偏ってしまった日があれば、次の日は野菜を多めにとれるメニューにするなど、数日単位でバランスを整えることを心がけましょう。

1~3歳の食事で大切なこと

1)食事の時間は規則正しく

「この時間になるとおなかが空く」という規則正しいリズムをつくることが、よく食べることにつながります。おうちの方が忙しいときは市販のおそうざいなども活用しつつ、三食を毎日できるだけ同じ時間に食べるようにしましょう。

2)おやつは食事の2時間前までに

おやつをダラダラ食べるのを習慣にしてしまうと、食事のときにおなかが空かない原因に。食事に影響が出ないように、おやつは食事の2時間前までを目安として、食べる時間を区切って与えましょう。ジュースの飲みすぎにも注意を。

3)子どもが食べきれる量だけを盛りつける

たくさん食べてほしいからといって多めに盛りつけると、食の細い子にはプレッシャーになることも。まずは食べ切れる量だけを盛りつけ、足りなかったらおかわりするようにすると、子どもは「食べられた!」という達成感を得られます。

4)おうちの方も一緒に楽しく食べる

子どもたちにとっていちばん大切なのは「食べることは楽しい」と感じる経験をたくさんすることです。食事のマナーは少しずつ身についていくものなのであまり神経質にならず、家族で一緒に食卓を囲む時間を楽しみましょう。

めざせ完食!食事を楽しくするためのポイント

ほんのひと口だけ出して食べたらたくさんほめる

苦手なものがある場合は、ほんのごくわずかな量だけをお皿に乗せて、「ひと口だけ食べてみよう」と声をかけてみましょう。子どもが本当にひと口だけで食べられる量を出すのがポイントです。完食できたら、「ピーマン食べられたね!」「がんばったね!」とほめるようにすると、「嫌いだったピーマンも食べられるんだ!」と自信がついて苦手を克服するきっかけになります。

おうちの方がおいしそうに食べる様子を見せる

どうしても食べられないものがあるときは無理強いせずに、まずはおうちの方がその食材をおいしそうに食べる様子を見せるだけでかまいません。おうちの方の「おいしいな」「こんな味がするよ」という話を聞いているうちに、食材への興味が芽生え、「自分も食べてみようかな」と思えるようになるものです。

食材のストーリーを伝える

園庭で育てた野菜を給食に出すとき、「みんなが育てた野菜だよ」と言うと、その野菜が嫌いな子もよく食べることが多いので、おうちで野菜を育ててみるのはおすすめです。また、「チーズは牧場にいる牛さんのお乳からつくるんだよ。食べると丈夫な体になれるよ」など、食材のストーリーがわかるように説明すると、食べてみようという意欲につながります。

食事づくりのお手伝いをお願いする

調理の段階から参加すると、苦手な食材にも親しみがもちやすくなります。1歳なら葉物野菜をちぎる、2歳なら野菜を洗う・型ぬきをする、3歳ならお皿に盛りつける、ラップを使っておにぎりを握るなど、それぞれの年齢でできることに少しずつ挑戦を。食材のにおいをかぐ、切る音を聞くなど、五感に訴える経験をしていくことで食への関心が高まります。

食べやすい食器やイスを選ぶ

スプーンやフォークは握る部分が太いものを選びましょう。スプーンはすくう部分が浅めのほうが子どもには使いやすいです。イスは足が床につく高さに調節するか、足を置くステップがついているものを選ぶと体を支えやすくなります。

こんな時はどうする?対処法

好きなものばかり食べるときは…

1品ずつ出すフレンチ方式で

 

さまざまな料理をワンプレートでまとめて出すのではなく、おかず→ごはん→汁物→デザートの順で、フランス料理のように1品ずつ出すようにしてみましょう。苦手なものはごく少量にして、「これを食べれば最後にデザートが食べられる」というお楽しみを用意しておくと、食べる意欲も高まります。

 

小食なのが気になるときは…

おやつで栄養補給をしっかりと

 

1~3歳の子どもにとって、おやつは食事だけではとりきれない栄養を補うものでもあります。食が細くて一度にたくさん食べられないようであれば、おやつのときに、おにぎりなど炭水化物を補えるものや、ゆでたとうもろこし、きゅうりスティックなどの野菜のメニューを用意するのがおすすめです。

 

おそうざいを利用するときは…

塩分や油を減らすひと手間を

 

市販のおそうざいは塩分・油分が多めです。大人が味見をして「塩気が強い」「油っぽい」と感じる場合は、水でさっと洗ったり、湯通しをしたりして塩や油を落としてから子どもに食べさせましょう。プラスチック容器のままではなく、お皿に移し替えてから出すと食卓の雰囲気もよくなるはずです。

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