『ルパン三世 THE FIRST』シリーズ初の3DCGアニメ映画がクール！【親子で観たい映画】

令和元年も残りわずかとなった今、遂に「ルパン三世」も次世代フォーマットへ。今年、惜しまれながらも天に召された原作者モンキー・パンチの悲願でもあった3DCGアニメーション映画『ルパン三世 THE FIRST』が、12月6日（金）より公開されました。

監督・脚本を務めたのは、「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズや『STAND BY ME ドラえもん』などで知られるヒットメーカーの山崎貴。毎回最新テクノロジーを駆使した映像美にスポットが当たりがちですが、常に人間ドラマのハート部分に重きを置く一流のストーリーテラーで、原作者へのリスペクトの念や愛情をきっちりと入れ込む作風に定評があります。

今回描かれるのは、ルパン一世が唯一盗みに失敗したとされる伝説のお宝「ブレッソン・ダイアリー」の略奪大作戦。これは第2次世界大戦時に、ナチスも狙っていた秘宝であり、ルパンたちもかなり苦戦を強いられます。銭形のとっつぁんのハイエナのようなしぶとさも健在で、最後の最後まで予断を許さないスリリングな展開にうなりますよ！

広瀬すず演じるヒロイン、レティシアがルパンたちをかき乱す

栗田貫一たちレギュラーの声優陣はもちろん、ゲスト声優の広瀬すずや、吉田鋼太郎、藤原竜也たちが、CGのキャラクターに命を吹き込んでいます。特に今回は、アフレコではなく、声優陣が台詞を先行収録するというプレスコで制作された点がポイント高し！キャラクターの繊細な表情とのマッチング具合がすばらしい。

特に広瀬さん演じるレティシアは、宮崎駿監督の名作『ルパン三世　カリオストロの城』のクラリスを思わせるヒロイン的なポジションですが、かなりのじゃじゃ馬ぶりで、ルパンとの駆け引きも見どころの一部となっています。

また、シェイクスピア俳優としても知られる吉田さんと藤原さんの力強い大芝居にもご注目。すべての声優陣とキャラクターとが一体化しているのが、プレスコの強みだと実感させられます。

「ルパン三世」ならではのお約束のシーンが満載！

とにかくアニメファン垂涎のシーンが満載な本作。まずは、アニメシリーズでおなじみのタイプライター音でタイトルが紹介された瞬間、テンションがアップ。また、女子にはめっぽう甘いルパンや、銃撃戦中も常にニヒルな次元大介、斬鉄剣のキレキレな殺陣がたまらない石川五エ門、CGでよりグラマラスになった不～二子ちゃんと、それぞれのキャラクターが冴えています。

ルパンがシャンデリアにぶらさがってアクロバティックなアクションを見せるというクラシックな逃走劇も、3DCGで見ると、迫力が数倍アップ。劇中では、地上戦だけではなく、ダイナミックな空中戦も繰り広げられ、まさにスクリーンで観るに値する作品となっています。

そして、「ルパン三世」映画の最大の醍醐味は、観終わったあとの清々しい余韻。ルパンは大泥棒であっても、決して人の道を踏み外さないし、常に温かいハートでか弱き者を守っていきます。まさに、男の中の男であり、だからこそ親子で観ていただきたい。ちなみに、もちろん今回も映画を観たら、ルパンにハートを盗まれること、間違いナシです。

文／山崎伸子