親が気になる子どものクセの1つに「爪噛み」があげられます。爪の形がなくなるほど噛み続けてしまう、手に留まらず足の爪まで噛んでしまう、何度も注意したけれど本人もどうしてもやめられないようだ、など親の悩みはつきません。爪には雑菌がいっぱいなので、いくら念入りに手洗いさせても、病気の感染の心配もつきません。HugKumでは子どもの爪噛みについて、現在子育て中のママ120人にアンケートをとってみました。実は原因もさまざま。治し方のヒントもご紹介します。
子どもの爪噛みの原因は?
子どもがいる全国のママ120人にアンケートをとり、自分の子どもに爪噛みの習慣があるか聞いてみました。約7割の子どもは「ない」という回答であるものの、約3割は「ある」もしくは「以前あった」という回答。3歳を過ぎてから始まる子が多い爪噛みは大人になっても治らないことも多く、できれば小さいうちに対処することが望ましいようです。
爪噛みは「咬爪症(こうそうしょう)」といわれ、子どもから大人まで年齢を問いません。手持無沙汰のとき、イライラしているとき、不安感・緊張感があるときなどにその症状は無意識に表れるようです。その原因はどのようなものがあるでしょう?
環境の変化によるストレス
入園入学、引っ越し、弟妹の誕生などといった環境の変化で、子どもは気づかぬうちに大きなストレスを抱えます。本人すら気づかない理由でストレスを感じることも多々あり、気づかないうちに爪噛みが始まるというケースも。
リラックス効果としての爪噛み
子どもがどんなときに爪噛みをしているか、注意深く見てみることが大切です。例えば親に怒られたあとに爪を噛んでいるのであれば、それは緊張や不安からの解消のためといえるでしょう。テレビを見ながらボーッと爪を噛んでいるなら、それはリラックスの表れですから、原因は一概にストレスとは言いにくくなります。
爪噛みは「愛情不足」ではない!
少し上の世代の方々に「愛情不足なんじゃないの?」「子どもにストレスやプレッシャーばかりかけるような生活をしているんじゃないの?」などと言われて落ち込んだ、という話をよく聞きます。でもそれは本当でしょうか?爪噛みの行為は子どもからの「自分の心のバランス保ち、落ち着く必要がある」というサインのひとつです。そんなサインが見えたら、親は今までの言動を振り返りつつ、関わり方を考えればよいのです。
爪を噛む癖を治すには?ママが実践した方法
爪の変形や菌の感染を恐れ、一刻も早く治してもらいたいと思う親は多いようです。爪噛みのクセを実際に治したママに、どんな方法が効果的だったか聞いてみました。
爪を噛んでいるときに声をかけ注意する
本人も無意識のうちに爪噛みをしていることが多いので、頭ごなしに「やめなさい!」と怒鳴ったりするのは、かえって恐怖心やストレスを与えてしまい逆効果に。爪を噛んでいるのを目撃したら、その場でやさしく声をかけるところから始めてみては?
「たまに噛んでるよと声掛けする程度。自分自身も小学2年まで同じ癖があったが自然に治ったため、あまり気にしていなかった」 (30代・神奈川県・子ども2人)
爪噛みが良くない理由を説明する
爪噛みをすると爪が変形したり、爪の中の雑菌が口の中に入ってしまう恐れがあります。小さな子どもに分かりやすく説明すると「汚いのかな」「いけないことなのかな」と、手を口に入れることに抵抗が生まれるかもしれません。あくまで子どものペースに任せながら、大事なことを伝えることが大切です。
「爪にはバイキンがいっぱいいるから、噛むとお口の中に入って体によくないよ、と説明していた」 (30代・埼玉県・子ども2人)
「爪がなくなると物を掴めなくなると説明した」 (40代・愛知県・子ども1人)
爪に優しい苦いマニキュアを塗って対策
爪を噛むのはよくない、と頭では分かっていても、ついつい無意識に手を口に入れてしまう場合が多い爪噛みには、爪噛み防止専用のマニキュアがおすすめです。こちらは舐めて体内に入っても安全な成分で作られています。苦い味がするので、自然と爪を噛むのが嫌になる効果が期待できます。
「わさびを塗ったり、マニキュアをしたりした」 (40代・大阪府・子ども2人)
子どもの爪噛みを治すときの注意点
子どもの癖は、爪噛み以外にも色々なものがありますが、「やめなさい」と言っただけで治ったケースはほぼないに等しいと言えます。それは、その癖は何かしらのサインであることが多いからです。ならば「なぜこんな癖がはじまったかな?」と立ち止まって考えて、子どもを含む家族の生活を一度見直してみるのもひとつです。
一方的に注意しない
「やめなさい」「やめないと〇〇になるよ」と一方的に言い続けると、かえって子どもに大きなストレスを与えてしまいます。また注意し続ける側もヘトヘトになり、お互いの関係が悪化する原因にもなります。子どもも「どうして爪を噛んでしまうのか分からない」という場合が多く、やめられない=親の期待にこたえられないストレスはますます膨らんでゆきます。
子どもの生活を注意深く見てみる
小さなストレスで爪噛みが始まることもあります。悩みや不満があるのか、友だち・兄弟関係で不安があるのか、何かうまくいかないことがあるのか、親に言いにくいことがあるのかなど、子どもの話に耳を傾けてみることから始めることも大切です。意外と取るに足らないきっかけで、爪噛みが始まったというケースも多いのです。
別の行動で置きかえる
爪噛みに限らずいえることですが、どんなときに癖が出やすいかが分かってきたら、アメやガムを噛んでみる、お気に入りのぬいぐるみを撫でてみるなど、何かホッとできるような「代用品」を探すのもひとつです。あくまでも「心のバランスを求めている行動」なのだから、自分にとって何か別の行動もあり得るはずです。親子で宝探しをするように、そんな行動や代用品を探すのは前向きな一歩となるはずです。
焦って治そうとせず、子どもの気持ちに寄り添って
1度始まったらなかなか治らないのが癖。特に爪噛みの癖は衛生面での問題もあるため、つい焦って治したくなりがちです。ここで紹介した方法を試しつつ、まずは原因がどこにあるのかを親子で探し、別のリラックス法にたどり着けるとよいですね。アンケート結果からも、一過性の癖である場合も多いことが分かるため、あまり過敏になりすぎずに子どもに接するとよいのでしょう。いつのまにか始まっていたのだから、気づかないうちに治っていたというケースもあります。大事なのは「急いで治そう」よりも「この子ちょっとがんばりすぎていたのかな」というサインに気づいて、ちょっと立ち止まって生活を見直すことなのかもしれません。
文・構成/HugKum編集部