一日の大半を寝て過ごす、生まれて間もない赤ちゃん。そんな新生児に枕は必要なのでしょうか? タオルを枕の代用とする方も多いかもしれませんが、危ないことはないのでしょうか?ここでは新生児の枕についてご紹介します。ベビー枕はいつからいつまで使うといいのか、ベビー枕で新生児を寝かせるときの注意点やタオル枕の作り方、新生児向けベビー枕のおすすめもチェックしてみましょう。
新生児にベビー枕は必要?
「赤ちゃんには枕は必要ない」という言葉を耳にしたことがある方もいるかもしれませんが、新生児にベビー枕は必要なのでしょうか?
大人は、枕を使わないで眠ると寝苦しく感じたり、肩が凝ったりしてしまいます。人の背骨は横から見るとS字状にゆるやかにカーブしていて、S字の基点となる頸椎を無理なく支えてくれるのが枕の役割です。ただ、成人とは違って生まれたばかりの赤ちゃんの場合、ママのお腹の中で丸まった体勢で長い間いたこともあり、新生児の背骨はC型に曲がっています。そのため、赤ちゃんには枕は不要と考えられているのです。
また、新生児の場合は、睡眠中の窒息や突然死などの危険性を鑑みて、枕を使用しないでもいいとされているようです。米国小児科学会では、「乳幼児突然死症候群(SIDS)などによる睡眠中の乳児死亡を予防するための安全な睡眠環境に関するガイドライン」で、生後4ヶ月未満の乳児だけでなく、生後4か月以上の乳児でも、ベッドに毛布や枕などの柔らかいものがあると、SIDSのリスクが高まると発表しています。
ベビー枕はいつからいつまで使う?
では、赤ちゃんの枕の使用は、いつ頃から考えたらよいのでしょうか。
生後3~4カ月になると赤ちゃんの首が座ってくるようになり、それに伴って首の周辺の背骨や筋肉も少しずつ発達します。首が座り、やがて腰も座るようになると、腰の周辺の背骨が反り返ってくるようになります。背骨が頭よりも後ろに出るくらい反り返ってくると、枕を使い始める目安と言ってもいいでしょう。
ベビー枕を使い始める目安は1歳前後とされていますが、背骨の反り具合は個人差が大きいため、赤ちゃんが寝ているときに首元が苦しそうではないか、よく注意して観察するようにしましょう。寝ているときの赤ちゃんの首元が苦しそうだったら、様子を見ながら枕を試してみるのがいいでしょう。
ベビー枕卒業の時期も、「●●歳以降は使用してはならない」という決まりがあるわけではありません。ベビー枕の取扱説明書を確認したり、かかりつけのお医者さんにいつまで使えばいいのかを聞いてみるのもいいでしょう。子供の背骨は、10歳程度で大人と同じくらい反ることができようになると言われています。ですので、10歳までは、大人よりも高さの低い枕で寝せてあげましょう。
新生児のタオル枕は危ない?
新生児は、寝ているときに布団や枕に吐き戻しをしてしまうこともあります。そのため、枕元を清潔に保つためにも、タオルを折って枕代わりとして使うケースもあるでしょう。
タオル枕だけではなく、新生児にとっての枕は、基本的には必要ないとされています。もし使用するのであれば、慎重に様子を見ながら使ってあげるべきものです。タオル枕で新生児を寝かせるときには、注意をして行いましょう。
タオル枕の作り方
タオルでベビー枕を作る場合、新生児の赤ちゃんの肌はとてもデリケートなため、肌にやさしい天然素材のものやオーガニックコットンのタオルを使うのがよいでしょう。たくさん汗をかいたり、よだれを垂らす赤ちゃんには、吸収性のいい生地を選ぶこともポイントです。また、ふわふわし過ぎる厚めのタオルだと、赤ちゃんが横を向いたときに顔が埋もれてしまって、呼吸しにくくなる可能性もあるため、薄めの生地のものを折って使用するのがおすすめです。
タオルの折り方
新生児の赤ちゃん用にタオルで枕を作るときは、フェイスタオルをそのまま広げて使うか、2つ折りくらいがちょうどいいでしょう。無理に高さをつけないように気を付けてください。生後3か月~4カ月頃になって、首がすわってきてしっかりしてきたら、タオルを3つ折り程度にして少し高さを調整してみてもいいでしょう。
タオルの高さ
タオルで枕を作るときは、枕の高さに十分注意が必要です。あまりにも高すぎる枕だと、赤ちゃんが息苦しさを感じるかもしれません。タオル自体の厚みや赤ちゃんによって状況は異なりますから、赤ちゃんが呼吸しやすい高さになっているかどうか、よく赤ちゃんを観察して調整するようにしましょう。
ベビー枕で新生児を寝かせる場合
新生児には基本的に枕は不要とお伝えしていますが、赤ちゃんによってはベビー枕を使った方がいい場合もあるでしょう。
ベビー枕は、赤ちゃんの吐き戻しを予防したり、頭の形のゆがみや絶壁などを防いだりする機能を持つものもあります。使用する場合は、医師に相談しましょう。
吐き戻しの防止
おっぱいやミルクを飲んだあと、すぐに吐き戻してしまう赤ちゃんもいます。赤ちゃんの胃と食道はまだ境界がゆるいため、横に寝かせるとミルクが逆流してしまうことで、吐き戻しが起きます。吐き戻しが心配な場合は、少し傾斜のあるベビー枕を使って、ミルクの逆流を防ぐという方法があります。赤ちゃんの上半身を少し起こした状態で保つことができるので、吐き戻しを防ぐことができます。
吐き戻し予防のためにベビー枕を使う場合は、親が見ていられる時間に使うようにして、夜の就寝中は使用しないでください。赤ちゃんの姿勢が崩れて、呼吸を妨げてしまう可能性があります。
赤ちゃんの頭の形(絶壁・斜頭)の予防・矯正
生まれて間もない新生児の頭は、とってもやわらか。そのため、いつも仰向けで同じ姿勢のまま寝かせていると、頭の形がゆがんでしまったり、寝ハゲができたりすることがあります。また、左右のどちらかばかりを向いてしまう「向き癖」があると、頭の片側だけが平たくなったりする可能性も。
軽い変形であれば、首がすわるようになると自然に改善するものですが、気になる場合は、ドーナツ型のベビー枕を検討してみるのも一案です。ドーナツの真ん中部分がへこんでいる枕なので、赤ちゃんの絶壁や斜頭、寝ハゲなどの予防になります。この場合も、吐き戻し予防と同様、ドーナツ枕の厚みがあると、赤ちゃんの首に傾斜がついて呼吸を妨げる可能性があります。親がこまめに赤ちゃんの様子を確認できるような時間帯に使用するようにしましょう。
記事監修
看護師・助産師の免許取得後、大学病院、市民病院、個人病院等に勤務。様々な診療科を経験し、看護師教育や思春期教育にも関わる。青年海外協力隊として海外に赴任後、国際保健を学ぶために兵庫県立大学看護学研究科修士課程に進学・修了。現在はシンガポールの産婦人科に勤務、日本人の妊産婦をサポートをしている。また、助産師25年以上の経験を活かし、オンラインサービス「エミリオット助産院」を開設、様々な相談を受け付けている。
編集部が選んだ!新生児向けベビー枕のおすすめ
新生児にベビー枕を用意する場合、医師が薦めているものや、たくさんのママパパが使っていて、安心して自分の子供にも使えるものがいいですね。ここでは、編集部が選んだ人気のベビー枕をご紹介します。
医師監修の「ベビー用ドーナツ枕」(西川)
さつきが丘病院院長で医学博士の奥山先生がすすめるベビー枕。やわらかな赤ちゃんの後頭部をやさしく支えるドーナツ型で、肌に優しいパイル生地が使われています。新生児から生後3か月向きです。
「ベビーまくら」(adokoo)
赤ちゃんの頭に合わせて中央に丸いくぼみが作られているので、赤ちゃんの柔らかい頭を変形から守り、向き癖の改善や絶壁頭矯正に役立ちます。表面は肌にやさしいパイル生地、裏面は通気性のよいメッシュ素材を使用しています。新生児から6歳まで使えます。
「ベビー枕」(ジェルトロン)
宇宙船内用衝撃緩衝材の研究開発から生まれたジェルを進化させ、柔軟性や伸縮性に富んだ独自の素材ジェルトロンの人気の枕。ウォーターベッドのような不思議なフィット感があり、赤ちゃんの未発達の首や頭をやさしく支えます。枕本体ごと丸ごと水洗いが可能で清潔に保てます。
ドーナツ枕「ベビーまくら」(西松屋)
赤ちゃんの肌にやさしい綿100%のベビー枕。ほどよいクッション性があり、赤ちゃんの眠りをやさしくサポートします。
「ドーナツ枕」(バンビノ)
赤ちゃんの頭にかかる圧力を自然に分散させ、両側にある突起が寝返りによる目覚めやうつぶせを防止する、ドーナツ枕。
国内の機関でホルムアルデヒド検査も実施済みのため、安心して赤ちゃんに使うことができます。
「The Pillow Baby(ザ・ピロー ベビー)」(サンデシカ×まくら株式会社)
ベビー用品のサンデシカと、枕の専門メーカーであるまくら株式会社が、赤ちゃんのために共同開発した一品。赤ちゃんがぐっすりと眠れるように頭部をやさしく支え、頭の歪みと体の歪みを予防します。オーガニックコットン100%のカバー付き。
「洗えるごきげんスリーピングピロー(吐き戻し防止ベビー枕)」(サンデシカ)
10度の傾斜がついた枕で、吐き戻しや鼻づまりを防いでくれます。枕の裏面には滑り止め加工がついているため、シーツの上でもズレにくい仕様。本体はまるごと水洗い可能で、カバーはやわらかな6重織りのガーゼ素材です。織布から縫製まで日本の工場で生産された、安心の国内生産の商品です。
「ベビー枕」(Plaisiureux)
授乳後の吐き戻しや逆流を抑制する、傾斜付きの低反発素材のベビー枕です。アレル物質検査など高い検査基準を設けているため、安心して赤ちゃんに使えます。カバーは、かわいい刺繍入りの上質コットン素材を採用。
赤ちゃんの様子を見ながら枕を調整しよう
新生児の赤ちゃんに枕は使わないことが基本ですが、吐き戻しが多い赤ちゃんや頭のゆがみなどに心配がある場合は、ベビー枕を使うことを検討してもいいでしょう。
枕の高さや好みも、赤ちゃんによってそれぞれ違います。一日のほとんどの時間を眠って過ごす赤ちゃんだからこそ、快適に気持ちよく赤ちゃんが眠れるように、ママとパパがよく観察して判断するようにしましょう。
文・構成/HugKum編集部