HugKumでは新連載【教えて!保育士さん】シリーズとして『保育士座談会』をスタートしました! 子育て中のみなさんへ現役保育士さんの声をどんどん届けていきます。
第四回は「寝かしつけのコツ」について。多くのパパママが最も苦戦してる育児の1つが寝かしつけではないでしょうか。我が子1人を寝かせるのも大変なのに、クラス全員を一斉に寝かせている保育士さんて、いったいどうやっているの⁉ そんな疑問をぶつけてみました!
【お話を伺った先生】
目次
保育園の先生は、どのように寝かしつけをされているのですか?
筆者:私も我が子の寝かしつけに本当に苦労しています。1人でも大変なのに先生達はクラス全員を寝かせているんですよね。いったいどんなワザがあるのか、興味があります!!
まずはその子のクセをつかむことから
古橋先生:この質問は、お母さん達からも聞かれることが多いんです。特に、0歳児はおっぱいやミルクを飲みながら寝るお子さんが多いので、保育園ではどうやっているんですか?と。
佐原先生:入園したての頃は、その子の習慣をつかむことから始めます。1対1で、どこが好きなのか考えながらあらゆるところを触って探ります。一人一人違うのですが、私の経験上1番ヒットするのは背中をやさしくトントン。あとは胸やお腹を撫でたり、いつもお母様のひじを触って寝ているのかな? という子には触らせてあげると寝ます。先生同士で、「この前はこうやったら寝たよ」と情報交換をして、夏ぐらいまでには全員のツボが分かるようになってきます。
筆者:えー!すごい!
「背中をなでる」は鉄板テクニック!
古橋先生:背骨のラインを撫でてあげると、落ち着いて眠れる傾向はありますね。
自律神経が背骨を通っているからだとか……。特に、発達に遅れがあるなどリズムを作るのが苦手なお子さんは背中を撫でてあげるのが有効と聞いたことがあります。
以前、お昼寝の時間に落ち着くのが苦手なお子さんに、背中を撫でてあげたらスーッと眠りにつくようになったんです。直に肌に触れてあげるとさらに効果が高いそうですよ。
荒木先生:他にはふくらはぎをマッサージ。温めることで全身に温かい血液が回って眠くなると聞きました。くすぐったがる子もいますが、これで寝てしまう子もいますよ。
意外なところでは、耳の中を触ると寝るお子さんがいました。幼児さんだったので、自分から「触って」と来て。音がこもるのでお腹の中に近い感じなのですかね。
【保育士さんから教わった鉄板寝かしつけテク5選】
- 背中をやさしくトントン
- 胸やお腹を撫でる
- 背骨のラインを撫でる
- ふくらはぎをマッサージ
- 耳の中を触る
赤ちゃんが眠くなる、子守唄はなんとあのJ・POPソング⁉
筆者:子ども達が、寝る時間を受け入れるための雰囲気づくりも大事ですよね。そんなときは一般的には、子守唄や絵本の読み聞かせなどの方法もあると思いますが、保育園でも行いますか?
Q.子守唄を歌うことはありますか?
佐原先生:私は、子どもの大好きな曲をゆっくりと小さな声で歌ってあげることがあります。例えば、ジブリ映画『となりのトトロ』の「さんぽ」という曲。お散歩に出かける際は、♪あーるーこー!とテンポよく歌うのですが、寝る時は、♪あ~る~こ~とゆっくり歌います。
荒木先生:ジブリの曲はいいですよね。たまにオルゴールを流します。
佐原先生:園では試したことはありませんが、青山テルマさんの『そばにいるね』は子どもが良く寝る曲として話題になっていました。ママが歌うのではなく、原曲が良いそうですよ!
筆者: そうなんですか!? 確かに検索してみると、テレビ番組で科学的に証明されたという記事を発見しました。やってみたいですね!
寝かしつけに、保育園で読んでいる絵本は?
荒木先生:私は、今2歳児を担当していますが、寝る前に絵本『子どもとお母さんのためのお話』を読んでいます。静かに読める絵本を選び、絵を見せずに想像してねと寝かせています。最初は「なんで絵を見せてくれないの~?」と言われましたが、だんだん慣れてきました。
最近は、おもしろい絵本がたくさんあり、〝昔話〟を読む機会が減っています。お昼寝の前に読んであげると、新鮮なのか聞き入ってくれます。その時は、感情の起伏を表さないように、フラットに読むのがポイントですね。
『子どもとお母さんのためのお話』
荒木先生:ほかにも、日本昔話の本では「さてさて、きょうのおはなしは……」もあります。ほかには、「おやすみなさい コッコさん」、「オレ・ダレ」、「よるくま」などもお昼寝前に、読み聞かせたことがあります。
『さてさて、きょうのおはなしは……』
『おやすみなさい コッコさん』
『オレ・ダレ』
『よるくま』
良く眠る日は雨の日⁉ 寝る前に 何をしたらよく寝てくれる?
筆者:そもそも寝つきの悪い子、寝るまでに時間のかかる子っていると思うのですが、“子ども達が良く寝る日”や、“これをしたらよく寝る”という活動はありますか?
Q.子ども達が良く寝るのは、どんな日が多いですか?
荒木先生:雨の日ですかね。理由はわかりませんが……。今日は良く寝るね、と話していたら、外で雨が降っていることが多いんです。
一同:分かります! 雨の日!
筆者:へー! はじめて聞きました。気圧とか、雨音のせいですかね⁉
荒木先生:あとはお散歩で遠出した日。給食を食べながら、寝ている子もいます(笑)
佐原先生:よく寝るために、日中活動させるのは大前提ですよね。
古橋先生:そうですね。夏だと、水遊びをした日は良く寝ますよね。
荒木先生:他には頭を使った日!! パズルやワークをした日や、紐通しで指先や頭を使った日などは良く寝る傾向にあります。家庭でも、体を使いながら頭も使う遊びをしてみてはいかがでしょうか?
Q.お昼寝で、おすすめのアイテムを教えてください。
古橋先生:小学館アカデミー保育園で使っている『コット』というベッドは寝やすそうです。青いベッド枠の中にネットがはってあり、子どもは軽く沈んで程よく揺れるので、眠りつきやすいよう。
荒木先生:あと、おねしょをしても水分は下に落ちネットは水で拭けるので、片付けもラク。
お昼寝用メッシュマット
佐原先生:ぬいぐるみやお人形は、1人の子に渡すとみんなが欲しがってしまうし、衛生面での心配もあるので使いませんが、お気に入りの毛布があるお子さんには、自宅から持ってきてもらうこともあります。
荒木先生:周りが気になって眠れない子は、小さなパーテーションで囲ってあげることも◎。
筆者:確かに、寝る時におもちゃなどが見えていると落ち着けないことがあります。子どもが落ち着いて寝られる環境をつくってあげるのも大切ですね。
今日は色々なお話をありがとうございました!
寝やすい方法は十人十色。その子に合う方法を見つけてあげて!
それぞれの子が眠れる方法を探り当てる先生達は、まさに保育のプロ! と感心してしまいました。お子さんが保育園に通っているなら、我が子をどうやって寝かせてくれているか先生に聞いてみるとヒントがもらえるかもしれませんね。子どもがなかなか寝てくれない夜はヤキモキすることもあると思いますが、安心して眠りにつけるよう穏やかな気持ちで見守ってあげたいですね。
文・構成/寒河江尚子 協力/小学館アカデミー保育園