HugKum編集部では、片付けに迷走している読者に向けて、思考の整理を促す片付けのスペシャリスト、ライフオーガナイザー鈴木尚子さんに「片付け」術を連載で教えて頂いてます。第1回目では、利き脳を参考に片付けの手がかりを見つけ出すことをご紹介しました。
利き脳による片付けのクセは、しまい方にも影響するそう。そこで今回は、片付けられない理由について。代表的なものは、「モノが多い」、「収納が少ない」、「しまう場所が決められていない」などですが、意外とみなさんが分かっていないことは、〝収納方法が自分に合っていない〟と言うことだそう。誰かがおすすめする収納の仕方は、とても美しく魅力的に見えるかもしれませんが、そうすることで逆に出し入れが難しくなったり、自分の行動のクセとあっていなかったりして、元に戻すことが億劫に感じることが多いよう。今回は自分にあったしまい方を見極めるヒントを伝授してもらいました。
「ライフオーガナイズ」とは
筆者が提案する「ライフオーガナイズ」とは、アメリカ発祥の片付け術のことです。それは〝モノ〟だけではなく、あなた自身と家族を主役にして、生活や人生、空間やモノ、「暮らしを最適化」する片付け術のことです。
つまり、単にモノを捨てたり、収納グッズを揃えたりするのではなく、思考や行動の傾向、時間の使い方や家族との関係性など多方面から整える手法です。
利き脳によって異なる、しまい方のクセとは
我が家の息子と娘の部屋を作る時に、しまい方のクセが大きく現れましたので、それを例にとってご紹介します。
小学校に上がるタイミングで〝左右脳タイプ〟の娘と、〝右右脳タイプ〟の息子とで部屋を分けたのですが、娘に文房具のしまい方について尋ねてみると、娘は
「鉛筆は鉛筆の、ハサミはハサミのお部屋に戻せるようにしてほしい! えんぴつ、ハサミと書いてあるといいと思う」と主張しました。
娘の引き出しはこちら!
彼女は〝左右脳タイプですが、とても左脳的な子と感じます。というのも、理論的であることや機能的であることを好むからです。
それを見た息子が、
「俺もそんな風にしてみたい!」
と言いました。右右脳タイプの息子は感覚的でざっくり! 何よりも使ったものを戻すことが苦手な彼にとって「鉛筆はこの箱に」「ペンはここに」と分けながら戻すことは本人が思っている以上に難しいことなのでは?と承知していましたが、やりたい気持ちを尊重して同じように箱を用意しました。
すると、
「ママ、俺にはこのしまい方は難しいみたい」
と。私も
「そうだよね、きっとあなたには面倒くさいよね。だから、この引き出しには文房具を入れる! としまうときはそれだけを守れればママは十分だと思うよ!」
と言うと、できなくて恥ずかしい気持ちから安心に変わったような表情をしました。
息子の引き出しはこちら!
モノを〝出す時〟と〝しまう時〟どっち重要視派?
片付けには、モノは使うときに出す、モノを片付けるときにしまうの2回の動作が入ります。みなさんは、出す時の出しやすさを重要視しますか? それとも、しまう時に簡単であることを望みますか?
片付けは、視点によって違う
収納方法を雑誌などで見ていると、娘のようなやり方が正解だと思ってしまいがちですが、家の中の隅から隅まできっちりバッチリ整っている必要はないのです。
片付けの正解は自分にとって出し入れがラクである、ということ!
筆者が、ある家庭に片付けの作業に伺った時の話しを元に、モノを〝出す時〟と〝しまう時〟人によってどっちを重要視するかについて説明します。
Aさん宅
【相談内容:「息子が使ったレゴを戻せないのです」】
その時の収納方法を見せてもらいました。それは、このように色ごとに収める方法で、筆者自身が驚きました。
Aさん宅のお母さまのレゴの片付け方はこちら
「私もこのようにレゴをしまうように言われてもできません……」
と申しますと、そのお母様は
「使う時に、使いやすいようにしまった方がいいのではありませんか?」
と驚かれていました。(筆者は、実は〝元片付けられない女子〟ですので……)
「それはお母さまにとってやりやすい方法かもしれませんが、私はしまう時に簡単でなければ、戻すことが面倒でできません。ざっくりとボックスにしまうくらいでないと……」
自分のやり方が面倒くさいと思ったことのないお母様にとっては、同じ大人の、それも片付けのプロができない!といったことは驚きだったようですが、事実を知ってお子さんにとって難しい方法だったと気がづいたようです。
極端なお話かもしれませんが、家の中ではこのようなちょっとした違いが片付けづらさを生んでいるのかもしれません。
小さなお子さんや究極の面倒くさがり屋さんにオススメのレゴの片付け方
①レゴは敷物の上で遊んでもらう
②終わったら敷物を風呂敷がわりに(!)そのままクルッと絞ってボックスへ
③レゴの片付けは、これで終了!
お子さんの利き脳によって、片付け方をアレンジしてあげると良いですね。
自分の、しまう時のクセを理解することが大切!
大人も同様に、人それぞれしまうときのクセを理解することが大切です。Bさん宅での例でさらに説明します。
Bさん宅
【相談内容:「使ったバッグをつい置きっぱなしにしてしまいます」とお悩み】
Bさんは、バッグを買った時に付いてくる布袋にバッグを入れてしまう方法。これはバッグが汚れず、機能的な方法で左脳的な人に好まれます。
ですが、右脳的なBさんの場合は「見えないと忘れてしまう、分からなくなってしまう」または、「いちいち袋に入れることが面倒くさくて置きっ放しにしてしまう」ということに陥りやすいんです。
忘れない、カンタンな片付け方とは
袋にしまうことなく中身が分かりやすいようにしまうこと
いかがでしたか。片付けに難しさや、面倒くささを感じたら、何が原因なのかを知ることが重要です。誰かの正解にとらわれることなく、自分のやりやすさを重視して再考してみてくださいね。
記事執筆
片付けに悩む中、独学で生活を改善し、片づけとパーソナルスタイリングの仕事を開始。
メソッドを公開したブログが人気を呼びパワーブロガーに。2011年にSMART STORAGE!を創業し、現在は株式会社となる。日本初のクローゼットオーガナイザー認定講師として人材育成にも携わっている。
また、義母を看取った経験をもとに、人生折り返し地点からのライフマネジメント術AgeWellLiving を立ち上げ、活動の場を広げている