こんにちは。離乳食インストラクターの中田馨です。大人は鍋の後、病気や胃が疲れたときなどに食べることの多い「雑炊」。実は、普段の離乳食メニューとして手軽に作れるメニューのひとつです。私も息子たちの離乳食の時期には雑炊にとってもお世話になりました。今回は、離乳食に雑炊を取り入れるときの方法や注意点、レシピを紹介します。
離乳食で雑炊はいつからOK?
雑炊は、離乳食初期の後半頃からメニューに取り入れることができます。赤ちゃんによって、ご飯と混ぜることでよく食べる子と、混ぜると嫌がって食べない子もいます。その子その子の食べっぷりを見ながら、雑炊を取り入れてみましょう。
おかゆとの違いは?
おかゆは生の米を、普段よりも多い水で軟らかく炊いたもの。炊くときに他の具材を一緒に炊きませんし味付けがされていません。雑炊は、ご飯(おかゆ)から炊かれて、水ではなくだしや具材を入れて炊きます。大人の雑炊は、炊いた米を洗ってごはんのぬめりを取ってから炊くこともありますが、赤ちゃん用の雑炊にはおかゆを使うので、洗うことなくそのまま使います。
時期別、雑炊の量の目安
雑炊を離乳食に取り入れるときの献立の目安量です。参考にしてみましょう。
離乳食初期の目安量
離乳食初期の場合、それぞれの食材の量が少ないので、雑炊だけを1食のメニューとして作ってもOKです。
雑炊
10倍かゆ 30~40g
野菜 15~20g
*豆腐 25g
*魚 5~10g
*たんぱく質の豆腐、魚はどちらか1つでOK。両方使う場合は、それぞれの目安量を少しずつ減らします
離乳食中期の目安量
離乳食中期の場合も、それぞれの食材の量が少ないので、雑炊だけを1食のメニューとして作ってもOKです。副菜をつける場合は、( )の目安量を参考にしましょう。
雑炊
7倍かゆ 50~80g
野菜 20~30g(15g)
*豆腐 30~40g
*魚、肉 10~15g (10g)
*たんぱく質の豆腐、魚、肉はどちらか1つでOK。両方使う場合は、それぞれの目安量を少しずつ減らします
副菜
豆腐(15g)と野菜(15g)の煮物
離乳食後期以降の目安量
離乳食後期以降は、おかゆ以外の食材の量が増えてくるので、余裕があれば、雑炊+副菜をつけてみましょう。例えば、下は魚の雑炊をした場合の目安量です。
雑炊
5倍かゆ 90g
野菜 20g
魚10g
副菜
湯豆腐(15g)と野菜(20g)のおひたし
離乳食完了期の量の目安
離乳食完了期の量の目安はこちら。
雑炊
軟飯 80g
野菜 20g
魚10g
副菜
湯豆腐(28g)と野菜(30g)のおひたし
雑炊ばかりになってしまっても大丈夫?
雑炊は、手軽に作れて赤ちゃんの食べっぷりも良いメニューのひとつです。たくさん具材を入れれば1品で完了なので、ママとしてもラクに離乳食が作れます。なので「毎日、雑炊でもいいかも?」と思うと思います。もちろん雑炊は、美味しい離乳食メニューですが、毎日雑炊にしない方がいいかな?と私は思っています。理由は2つ。
1.噛まずに飲み込める
トロトロに煮ている雑炊。食べやすさは抜群なのですが、あまり噛まずに飲み込めるメニューでもあります。特に離乳食後期以降になると、ある程度形のある食材を奥の歯茎で「噛む」練習が始まります。ですので、噛む経験ができる離乳食メニューも取り入れてほしいなと思います。
2.食材一つ一つの味が分かりにくい
色々な食材をゴチャ!と煮込んでいるのが雑炊です。それぞれの食材のうま味がミックスして美味しいのですが、一つ一つの食材の味が分かりにくいとも言えます。いろいろな食材の味を経験してほしい離乳食期ですので、ぜひ「単品の食材の味」も知ってほしいと思います。
離乳食の雑炊の作り方
離乳食の雑炊の作り方とポイントをお伝えします。
作り方のポイント
離乳食に雑炊を作る時のポイントは3つです。
1.月齢、発達に合った食材を使う
おかゆ、だし、その他食材を月齢、発達に合ったものを使います。
2.月齢に合った切り方、調理方法にする
離乳食中期の雑炊なら具材はみじん切り。離乳食後期なら5㎜と、赤ちゃんの月齢、発達に合った切り方にします。
3.大人の雑炊よりもトロトロに炊く
普段のおかゆよりも水分が多く、トロトロに炊きます。大人の雑炊は、だしに具材、ご飯を入れたら少しして卵を溶き入れて出来上がりですが、赤ちゃんの雑炊はトロトロになるまで火を入れます。溶き卵を入れる場合は、ふたをして中までしっかり火を通します。半熟はNG!
各時期の雑炊の作り方の基本は以下です。
離乳食初期
材料
昆布だし、10倍かゆ、その他の具材
作り方
1.昆布だしで具材を軟らかくなるまで煮て、裏ごしする。
2.1に10倍かゆを加えて煮る。
離乳食中期
材料
かつお昆布だし(または昆布だし)、7倍かゆ、その他具材
作り方
1.かつお昆布だしで具材を軟らかくなるまで煮て、みじん切りにする。
2.1に7倍かゆを加えて煮る。
離乳食後期以降
材料
煮干しだし(またはかつお昆布だし・昆布だし)5倍かゆ~普通飯、その他具材
後期からは煮干しだしも使えるようになります。
作り方
1.お好みのだしに具材を入れて軟らかくなるまで煮て、5㎜から1㎝の大きさに切る
2.1に5倍かゆ(~普通飯)を加えて煮る。調味料(味噌やしょう油)を少量加える
炊飯器でも作れる?
米から作るのであれば、炊飯器でももちろん雑炊を作ることができます。
1.分量の米、だし、具材を炊飯器に入れてスイッチオンするだけ。お粥モードがあるのなら設定します。
炊飯器では少量の雑炊は作りにくいので、どうしても量が多くなります。大人分も含めて一緒に作るようにしましょう。
作り置き・冷凍はできる?
多めに作った雑炊は、冷蔵、冷凍保存して次の離乳食に食べさせることもできます。冷蔵、冷凍保存するときは、衛生面に配慮しましょう。
・清潔な容器に入れて、冷えてから冷蔵庫(冷凍庫)に入れる
・食べる前に再度、加熱して全体に火を入れる
・冷蔵は2日以内、冷凍は1週間以内に食べきる
また、食べさせてみたけどあまり食べなかった!という雑炊の食べ残しは保存せずに、潔く破棄することも大切。もし「あまり食べないかもしれない」と思ったら、食べる分の少量だけ器に盛りつけて食べさせれば、食べ残しの「もったいない!」という気持ちが軽減されます。
時期別おすすめ雑炊レシピ中期・後期
離乳食中期 豆腐と小松菜の雑炊
<材料>
7倍かゆ 50~80g
絹ごし豆腐 30g
小松菜(葉) 5g
にんじん 10g
玉ねぎ 10g
かつお昆布だし 200ml
<作り方>
・豆腐はみじん切りに切る
・にんじん、たまねぎはⅠ㎝厚さに切る
1.かつお昆布だしににんじん、たまねぎを入れて煮る。
2.1が軟らかくなってきたら小松菜(葉)を入れる煮る。
3.2をみじん切りにする。
4.2の鍋に3と7倍かゆ、豆腐を入れて煮る。
離乳食後期 マグロとブロッコリーの雑炊
<材料>
5倍かゆ 90g
マグロ 15g
ブロッコリー 10g
しめじ 5g
かつお昆布だし 200ml
味噌 0.5g
<作り方>
・マグロ、ブロッコリーは5㎜に切る。
・しめじはみじん切りにする。
1.かつお昆布だしを沸騰させ、材料を全て入れて煮る。
2.味噌を入れて風味をつける。
雑炊は、汁物の残りからも作れて離乳食づくりにはとっても重宝するメニュー。定番メニューのひとつとして取り入れて見てくださいね!
記事監修
一般社団法人 離乳食インストラクター協会代表理事。中田家庭保育所施設長。現在13歳の息子の離乳食につまづき、離乳食を学び始める。「赤ちゃんもママも50点を目標」をモットーに、20年の保育士としての経験を生かしながら赤ちゃんとママに寄り添う、和食を大切にした「和の離乳食」を伝えている。保育、講演、執筆などの分野で活動中。自身が開催する離乳食インストラクター協会2級・1級・養成講座はこれまで2500人が受講。