これからの季節、特に注意したいのが熱中症です。特に乳幼児は体温調節機能が十分に発達しておらず、症状を訴えにくいため、知らず知らずのうちに症状が進行してしまいがち。予防するために普段からどのようなことに気をつければよいのでしょうか。気象予報士が教えます。
梅雨時でも油断大敵
熱中症といえば、真夏のカンカン照りのもとでの外出時が危険、というイメージが多いのではないでしょうか。もちろんその状況も危険なのですが、意外と侮れないのが室内や曇り・雨の日です。熱中症は、気温だけではなく、湿度や輻射熱(日射、地面や壁などからの放熱)の要素も大きいため、たとえ曇っていても湿度が高い場合は油断禁物なのです。特に例年熱中症で救急搬送されるのは、梅雨明け直後が最も多いという傾向があります。
熱中症予防のために知っておきたい「暑さ指数」
「今日は熱中症の危険度はどのくらいなのだろうか」ということを知るには、「暑さ指数(WGBT)」の存在を知っておくとよいでしょう。こちらは先ほど挙げた気温だけではなく、湿度や輻射熱の要素も含めて算出した指数で、単位は℃となりますが、気温とは違う数字になります。この暑さ指数をもとにその日の行動の予定を決めるとよいでしょう。環境省の熱中症予防情報サイトを見れば、近くの観測地点での暑さ指数を見ることができますし、天気予報アプリの中にも暑さ指数を表示してくれるものがあります。
ただし、これらの暑さ指数の情報はあくまで近くの観測点で観測した結果のものです。日当たりや風向き、路面の材質などによって暑さ指数は違ってきますので、できれば携帯型の熱中症計を持ってこまめに数値をチェックすることをおすすめします。
(出典)環境省熱中症予防情報サイト/「日常生活に関する指針」
子どもの熱中症、こんな状況が危険です
それでは、子どもの熱中症で特に注意するポイントはどこでしょうか。
ひとつめは、子どもは大人よりも背が低いため、地面の熱を大人よりも受けやすいという点です。ベビーカーで長時間外出する場合は特に気を付けたほうがよいでしょう。
車の中も危険です。毎年子どもを車の中に置きっぱなしにして、熱中症で亡くしてしまうという悲しいニュースが報道されます。車の中は温室効果でエアコンを切るとあっという間に気温が上昇します。JAFが2012年8月に行った実験では、エアコンを停止してから15分後に暑さ指数が「危険」の段階まで達しました。子どもが寝ているからと車に置いたまま、コンビニでちょっと買い物……という状況でも非常に危険なことがわかります。
そしてこの夏、気をつけたいこと
さらに、今年は新型コロナウイルスの感染予防のため、マスク着用を推奨されています。しかし、マスクの着用は熱中症のリスクを高める可能性が指摘されています。厚生労働省は「野外で人と十分な距離(少なくとも2m以上)が取れる場合はマスクははずすようにしましょう」と注意喚起をしています。子どもが「みんながマスクをしているから…」「先生がマスクをしなさいと言ったから」といって苦しいのを我慢してマスクを着用するのは危険です。大人がこまめに状況に気を配り、適宜マスクを外すようにしてあげてください。
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