梅雨が明ければ本格的な夏。気象庁の3か月予報によると、この夏の平均気温は平年よりも「高い」とのこと。全国的に厳しい暑さになりそうです。今回は、この暑い夏を安全に過ごすために知っておいていただきたい「3つのこと」についてお話しします。
ぬいぐるみがお留守番 車内置き去り事故を防ぐために
みなさんすでに実行されていると思いますが、あらためて。たとえ数分であっても、子どもをクルマの中に残して買い物をしたりATMに寄ったりすることはやめましょう。「うっかりして子どもをクルマの中に置き忘れる」ということも起きています。そのような事態を予防するためにはどうしたらいいのでしょう。こちらのイラストをご覧ください。
車内置き去り予防リーフレット https://safekidsjapan.org/project/20200705/
Avoid Heatstroke 熱中症を予防するために
熱中症による傷害や死亡を防ぐため、数分であっても子どもを車の中に残さないようにします。また、保護者が車外にいるときは、子どもが勝手に乗り込んでしまわないよう、車はロックしておきましょう。
Create Reminders 置き去り予防のためのヒント
子どもがチャイルドシートから降りたら、そこに子どものお気に入りのぬいぐるみを置いてお留守番をしてもらいましょう。子どもがチャイルドシートに座ったら、ぬいぐるみは助手席に置いてもいいですね。また、あなたの大切なもの、たとえばスマートフォンやお財布、バッグなどを後部座席に置いておくと、車から降りる時に子どもに気づくはずです。
Take Action 車内置き去りを見かけたら
もし車の中に子どもだけでいるのを見かけたら、それは一刻を争う事態。迷わず救急車と警察を呼んでください。救急隊員はこのような状況に対応するための訓練を重ねています。
サンダル?マリンシューズ?脱げにくく、やけどをしにくいシューズとは?
「川にサンダルを流され、それを取りに行って溺れた」・・・このような報道を目にされた方も多いのではないでしょうか。
子どもに「サンダルが流されても取りに行かない」と約束しておくのも大事ですが、そもそも「脱げにくい」「滑りにくい」シューズをはかせておくことも大切。
シューズ選びのポイントはこちら。
・かかと部分があって脱げにくい
・底面に厚みがあり、海岸の熱い砂やゴツゴツした岩場から足を守ることができる
・甲を覆う部分があり、花火の火種が落ちても足の甲にやけどをしにくい
そのおもちゃ箱、空気は通る?
最後は熱中症と窒息予防のお話です。みなさんはどのような「おもちゃ箱」を使っているでしょうか?キャラクター付きのかわいいおもちゃ箱、きちんとふたを閉めれば重ねて収納することもできる「衣装ケース」、段ボール箱をリユースしたオリジナルのおもちゃ箱・・・さまざまだと思います。
どんなおもちゃ箱でもいいのですが、ひとつチェックしていただきたいのは、そのおもちゃ箱に「空気が通る穴が空いているか」です。おもちゃをすべて取り出して空になったおもちゃ箱に子どもが入り込み、何かの拍子にそのおもちゃ箱がひっくり返ると、そのおもちゃ箱は密閉された空間になります。しばらくの間は問題ないですが、それが数十分、数時間続くと、熱中症になったり、窒息したりします。静かに遊んでいるなぁと思っていたら実は熱中症を起こしかけていた・・・という事態になりかねません。
このような事故を予防するためには、あらかじめおもちゃ箱に空気の通る穴を開けておくこと。プラスチック製のおもちゃ箱はなかなか難しいかもしれませんが、段ボールを利用した手づくりおもちゃ箱なら可能ですね。ぜひトライしてみてください。
Safe Kids Japanとは
私たちSafe Kids Japanは、事故による子どもの傷害を予防することを目的として活動しているNPO法人です。2018年6月からこのHugKumで、子どもの傷害予防に関する記事を配信しています。基本的に毎月1回、季節や年中行事などに関連した内容の記事をお送りしたいと考えています。
さて、「事故による傷害」、「傷害予防」という言葉、あまり聞き慣れないかもしれません。私たちがなぜ「事故」ではなく「傷害」という言葉にこだわっているのか、について、少し説明させてください。
事故?傷害?その違いは?
「事故」という言葉を辞書で調べてみると、「思いがけなく起こった良くないできごと」とあります。英語で言うとaccidentですね。accidentは「意図しない不幸なできごと」という意味で、「避けることができない運命的なもの」という意味も含まれています。海外でもかつてはaccidentを使っていましたが、最近ではinjuryという言葉が使用されるようになりました。injuryは「ケガ」「負傷」という意味です。「事故」は科学的に分析し、きちんと対策すれば「予防することが可能」という考え方が一般的になり、「運命的な」という意味を含むaccidentではなく、injuryという言葉を使用することが勧められるようになったのです。今ではaccidentという言葉の使用を禁止している医学誌もあるくらいです。
そのinjuryに対応する日本語として、Safe Kids Japanでは「傷害」という言葉を使っています。よく「事故予防」と言われますね。もちろん事故そのものが起きないことがいちばんなのですが、たとえ事故が起きたとしても、(重大な)ケガはしないように備えよう、そんな思いも込めて、「傷害予防」と言っています。