「監察医 朝顔」第5話は前半のターニングポイント。母の死と向き合うヒロインの気になる今後を予想

10月にスタートした連続ドラマ「監察医 朝顔」(フジテレビ系)。好評を博した2019年の第1シーズンの続編で、しかも、通常の連ドラの倍に当たる半年間放送されるということでも注目を集めています。優秀な監察医であり、妻であり、母であるヒロイン・朝顔を始め、その家族や周囲の心優しい人たちが織りなす人間ドラマ。その魅力を紹介し、今後の展開を予想します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■あらすじ

主人公の朝顔(上野樹里)は大学の法医学室に勤める法医学者。殺人事件などで死体が見つかったとき、死因究明のために解剖を行なったり警察に協力してその現場に赴いたりするのが仕事だ。父親の平(時任三郎)はベテラン刑事で、夫の桑原(風間俊平)も平と同じ野毛山署にいた刑事。現在、桑原は神奈川県警捜査一課に栄転し、忙しい日々を送っている。朝顔はそんな夫と父と幼い娘のつぐみ(加藤柚凪)と一緒に暮らしている。母親の里子(石田ひかり)は東日本大震災のとき、東北にある実家の近くで津波に襲われ行方不明になっており、平と朝顔は定期的にそこに通っては、遺品や遺骨を探している。

 

子役もかわいい! 朝顔ファミリーのほっこり感が最大の魅力

古き良きホームドラマに出てくるような木造一軒家で暮らす朝顔たち。ごちゃごちゃとした庶民的な居間で朝は出勤前の慌ただしい様子が描かれます。夜には朝顔や桑原、父の平がそれぞれの職場から帰ってきて、仕事の進捗状況を報告。“お茶の間捜査会議”が開かれる様子は、捜査ドラマでもありホームドラマでもあるこの作品のイメージそのものです。朝顔の4歳の娘であるつぐみ役もかわいらしいと評判。ママが仕事でいないとふくれてしまったり、桃が送られてくるとじっとしていられず見たがったりと、“女児あるある”な場面も満載です。つぐみを演じている加藤柚凪ちゃんは2015年生まれの5歳で、連続ドラマのレギュラーは本作が初めて。今回の続編が始まるときは、上野樹里さんから直接、決定を知らされ、大喜びする動画も公開されました。

共働きということもあって、朝顔と桑原は子育てを平等に分担している様子。桑原が弁当を作ることも、つぐみをひとりで遊びに連れていくこともあります。義理の父である平ともうまくやりながら朝顔の実家で暮らせる桑原は、かなりコミュ力の高いタイプ。夫としては理想的で、マイナスポイントがありません。つぐみから“じいじ”と呼ばれる平も育児に全面協力。朝顔は理想的な環境で育児をしていると言えるでしょう。

 

震災の傷と向き合う真摯なドラマ作り。行方不明の母がついに見つかる?

1シーズンが高く評価されたポイントは、それまで連続ドラマがほとんど描いてこなかった東日本大震災の被害者遺族の気持ちを丁寧に描いたこと。震災が起こって数年は、ドラマで地震や津波の瞬間や避難所の様子を映像化するのは避けられ、ましてやフィクションでも遺体を映すのはタブーとする風潮がありましたが、このドラマはそれらを全て真正面から描いてみせたところがすばらしく、挑戦的でした。描くからにはきちんと作らなければという意気込みも見え、美術セットや小道具で被災の様子をリアルに再現。キャラクターの心理面でも、被災地で母と生き別れになってしまった朝顔の悲しみやトラウマを丁寧に描き、朝顔はそこから徐々に立ち直っていきました。しかし、祖父の浩之(柄本明)が朝顔ファミリーの訪問を受け、「どうしてここに(娘の)里子がいないんだ」と泣き叫ぶなど、何かひとつのきっかけがあれば悲しみでいっぱいになってしまう遺族をも描き、その様子が見ていて苦しいほどにリアルでした。震災の犠牲者・行方不明者が2万人として、それぞれひとりにつき10人の家族がいると計算したら、この悲しみは少なくとも20万もの人が実際に抱えているものなのです。

5話以降の気になる展開は? “桑原くん”が不倫? 本当に“お母さん”の歯?

11月30日放送の第5話は、早くも前半のターニングポイントとなりそうです。第4話のラストで衝撃的な事実が明かされました。祖父の浩之が持っていた1本の歯は、震災で行方不明になった朝顔の母のものだというのです。歯が見つかったとすれば、遺体も見つかったということに? これまでほとんど手がかりがなかっただけに、どうやって発見されたのかは謎です。そして、朝顔が母を捜索するため東京から通ってきていたのに、浩之はなぜその事実を隠していたのかということも気になります(電話で告白しようとした場面はありましたが)。もしかすると、第5話から登場する浩之の知人らしき女性(大竹しのぶ)が歯の発見に関わっているのでしょうか?

さらに、結婚後も「桑原くん」「朝顔」と呼び合うラブラブな朝顔夫婦にもひと波乱が起きそう。桑原のスマートフォンに聖奈という女性からメッセージが来て、「桑原さんに会いたい」という言葉に「今日は無理。明日なら会える」と返した桑原。すると、「嬉しい!やくそく!」という女子力満点の返事が来ていました。これはイクメンがまさかの不倫!?  文面の親しげな感じからすると、仕事関係の知人などではなく、浮気相手かまたは元カノかという予想も。第5話ではその聖奈(中村里帆)という女性と桑原が会う場面がありますが、それまではドキドキさせられそうです。

 

心優しい朝顔の理解者たちに新たな局面が!?

朝顔の恩師で上司である法医学室の主任教授・茶子(山口智子)も、謎の年下男性(「逃げるは恥だが役に立つ」の大谷亮平)から言い寄られている様子。こちらは思わせぶりな分、ミスリードで、実は仕事のヘッドハンティングかもしれません。もしかすると後半、茶子が研究室を去り、朝顔が主任になるなどの展開も?

他に、伏線らしきところは第4話、平が往年の刑事ドラマ「太陽にほえろ!」の話をしたこと。好きだと言っていたマカロニ刑事(萩原健一)は通り魔に刺されて死んだ若手刑事で、悪い方に予想すれば、平がそういう危険な目にあうとも、マカロニの話をされた桑原が殉職してしまうという展開も考えられます。平は転出届や辞表を用意しており、何かを決意している様子。おそらく仕事を辞めて東北に行き、妻の捜索に集中したいのでしょうが……。さらに、刑事となり平の同僚になった桑原の姉・忍(ともさかりえ)がどんなふうに一家に絡んでくるのかも気になります。

さまざまな要素があるこのドラマで、見る人の共感を集めているのは、朝顔の真面目なキャラクターとそれを演じる上野樹里さんのナチュラルかつ深みのある演技ではないでしょうか。日本社会が震災や疫病に苦しめられたこの10年、死と向き合いながら家族と力を合わせて日常を大切に生きる朝顔は、生まれるべくして生まれたヒロインなのかもしれません。

文/小田慶子

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