大きな災害に対しての備えはできていますか? 防災への必要は年々増し、全国各地で安心できる場所はありません。
今回は命の綱となる備蓄用の飲料水について、万全の備えを考えていきましょう。
水の確保は備蓄の基本
ライフラインが止まった場合、まず必要なのは口にできる飲用の水です。備えるのは3日分を最初の目安にしてください。大規模災害の発生時は1週間分が望ましいとされています。助けがくるまでの間、自力で持ちこたえるために、普段から少しずつ確保しておきましょう。
完璧にできなくても、この意識があれば非常時の助けとなるはずです。
水の保存期限
備蓄水を飲用にできる期間をポイントに、くわしく考えていきましょう。
水道水の場合
水道水をペットボトルに詰めて保存した場合、飲用できる期限は常温で3日、冷蔵で10日が目安です。
水道水の備蓄は2〜3日おきに詰め替えながら行います。
水道水は残留塩素が含まれ、微生物の繁殖を抑える役割を担っています。しかし、温度の上昇や、時間が経つことで少しずつ減っていきます。この残留塩素がなくなるまでの期限が、水道水の保存期限ということです。
もしも煮沸してしまうと、この塩素はなくなり、雑菌が増えます。そのため、保存をする際に煮沸をしてはいけません。
水道水から保存水を作る方法で大切なことは、もうひとつ。水道の口から直接容器に貯めることです。移し替える際に雑菌を入れないための配慮となります。
ミネラルウォーターの場合
ペットボトルに詰められたミネラルウォーターには賞味期限が書かれています。
2リットルの大きいペットボトルで2年程度、500ミリリットルで1年程度。容量が小さいほうが短いのは、ペットボトルの使用期限が影響しているからです。大きい容量の方が水の量に対して割合が少なくなるので、ペットボトルが変質しても影響が少なく、結果として水の保存期間が長くなります。
水は、基本的に腐るということがありません。水素と酸素だけのものなので、雑菌が入らなければそのまま飲むことに問題はありません。ただし、ペットボトルが変質してしまうと匂いや味に影響することから、保存期限が設けられています。もちろん開封後は賞味期限に関わらず、次の日には使い切るようにして、直接口をつけたものは、その日のうちに飲みきるようにしてください。
そしてウォーターサーバーの水は容量が大きいので保存期限が長くなり、未開封で6ヶ月、開封後は2週間です。
長期保存用水の場合
市販されている水には、防災用の「長期保存用水」という商品があります。これはペットボトルの耐性を長くすることで、長期保存を可能にしています。加熱処理や添加物をいれているわけではありません。飲むと体に悪い…? という心配はありませんので、どうかご安心を。
おすすめの長期保存水
ペットボトルの頑丈さによって5年、7年、10年、12年と保存期間に選択肢があります。容量も500ミリリットルから2リットル程度まで選択できます。商品をご紹介しましょう。
イザメシ 7年保存水 2リットル
非常食が豊富にそろうお店「イザメシ」の保存水です。水の他にも食品の種類が多く、備蓄用品全般への参考になるので、水から試してみてはいかがでしょうか。
サントリー 南アルプスの天然水 備蓄用ボトル 2リットル 12本
スーパーでも見かける商品の防災用です。飲んだことがある方も多いのではないでしょうか。味も商品名も馴染み深く、選ばれやすい商品です。
保存水の備蓄 豆知識
備蓄用の保存水を用意するときには、どれくらいの量が必要なのでしょうか。
備蓄の必要量
大人が一日に必要とする水は、3リットルと考えるのが一般的。2リットルが飲用、手洗いなどに1リットルです。これを4人家族なら12リットル、そして3日分なら、48リットルもの量が必要!2リットルのペットボトルで24本分にもなります。
500ml、2lどっちがおすすめ?
大きなペットボトルの方がまとまりよく、保存期間も長いのでおすすめです。500ミリリットルは自治体の配給用として大量購入される機会は多いですが、各家庭では持ち運び用として、少量あるだけで足ります。
あまり目にしませんがガロンサイズ(約4リットル)の大きなペットボトルも販売されていますよ。一度開けてしまうと、早めに使う必要がある点はどのサイズも同じなので、人数が多い想定ならば良いでしょう。
実践!水の備蓄方法
具体的に備蓄する方法を確認しましょう。
常に新鮮な水を常備しよう
新しい水での備蓄を考える時、参考になるのは「ローリングストック」です。期限が近づいてきた水を生活に使用し、減った分を新しく補充していくことで、常に新鮮な水が常備し続けられます。
たとえばキャンプの際に必要分を持ち出して使用し、随時減った分を補充していくことで、無理なく常備できますね。車中泊用でも同じです。防災用に特別なものを用意するのではなく、できるだけ普段の生活の中に取り入れることが備蓄のコツです。せっかく購入した水なので、みすみす期限切れにせず、調理にも利用しながら更新していきましょう。
それでも保存期限を過ぎた水は、災害下で身体を清潔に保つために使えるほか、使用方法には困りません。期限切れでも生活用水へ回しつつ、備蓄量を多く確保していきましょう。
保管場所
直射日光の当たらない、温度、湿度の低い場所が最適です。近くに強い匂いのある石鹸などを置くと、ペットボトルを通過して匂いが移ります。また高い場所や奥深い場所では定期的な点検もできません。すぐに手に取れる必要はありませんが、低くて取り出しやすく、目に止まる場所を選ぶといいです。
購入のポイント
水とはいえ、好きな銘柄がある方もいらっしゃるでしょう。ストックする場所も各ご家庭で違います。購入する際は、ミネラル分の有無や価格、容量など、優先したいポイントによって選びますよね。
またホームセンターから車載して大量購入する方や、インターネットからの購入や配達を使う場合もあります。重くてかさばる災害用品に労力をかけるので、つい先延ばしになりがちです。家族で協力しながら備蓄を心がける事は、防災への意識の高まりにもつながります。ぜひ重い腰を上げて、家族を守る手段を講じてくださいね。
普段の備えで安心に
「備えあれば憂いなし」という言葉のとおり、備蓄、特に水の保存は災害時の助けになります。そうしていつも心の隅で気にかけることは、地震も多い日本に住む私達には、必要な心がけなのかもしれませんね。
構成・文/もぱ(京都メディアライン)