子どものSNSトラブルは夏休みに急増!「スマホルール」を決める親の役割をプロに聞いた

今年も子どもたちが待ちに待った夏休みがやってきます。昨年に引き続きおうち時間が長いお休みになるかもしれませんね。しかし、子どもたちの行動範囲が広がる一方、保護者の目が行き届きにくい時間も増えることでしょう。「子どもの安全」にちょっぴり不安を感じているパパママも多いのではないでしょうか。

当記事では「SNSのリスクやトラブル」をテーマに、夏休み中に気を付けたいトラブルの事例や防ぎ方を説明します。子どもたちが安全で楽しい夏休みを過ごせるよう、ぜひ参考にしてください。

子どものインターネット・スマートフォン利用状況は?

まずは、子どもたちのインターネット・SNSの利用状況をみてみましょう。
「青少年のインターネット利用環境実態調査」 によれば、通園中(0歳~6歳)では57.8%小学生低学年(6歳~9歳) では82.4%がインターネットを利用していると回答しています。
予想以上にたくさんのお子さんが利用していることがわかりますね。

 

令和2年度青少年のインターネット利用環境実態調査
https://www8.cao.go.jp/youth/youth-harm/chousa/r02/net-jittai/pdf/kekka_gaiyo.pdf

 スマホの使いすぎによる生活の乱れ、体調不良

夏休み中は子どもの自由時間・遊べる時間がいっぱい!とはいえ、外遊びには熱中症や新型コロナウイルス感染の心配が。今年の夏休みも、涼しい室内で「スマートフォンやタブレットを使いながらひとり遊び」の時間が長くなりそうですね。スマホの使いすぎには注意しましょう。

ゲームや動画、友だちとのトークで夜更かしすると、寝坊したり昼間もぼーっとしたり。さらに、睡眠不足がつづくと体調を崩したり勉強に身が入らなかったりして、生活が乱れてしまいます。

まず、夏休み中の一日のタイムスケジュールを決めよう

時間を確保したい「睡眠」「食事」「入浴」「習い事」「宿題」「自由研究」だけでなく、「ゲーム・SNS」「友だちとトーク」の時間も決めておくのがおすすめです。

<図:一日のタイムスケジュール例>

友だちとトークを終わらせるルールを決めておこう

友だちとのトークを終わらせるのが苦手な子は多いようです。気まずくならずに会話を終わらせるための工夫をしましょう。

「そろそろお風呂に入らなきゃ。ごめんね」「寝る時間になったから、またね」のように、会話を終わらせたい理由+相手を気遣う言葉を送る。

「おやすみ」のスタンプを送ったら終わりの合図にしようね、などあらかじめ友だちとルールを決めておきましょう。

SNS、メッセージアプリでの悪口・仲間外れ

夏休み中は、友だちと会う機会が減り、SNSやメッセージアプリを使った「文字だけのコミュニケーション」が多くなりますね。

文字だけの意思疎通は難しいため、大人同士でもささいな言葉遣いがきっかけで誤解したり、されたりします。まして、語彙も人生経験も少ない子ども同士ならなおさら。ちょっとした言葉や言い回しがきっかけでケンカになったり、いじめに発展したりするケースがとても多いのです。

LINEグループで1人の子をみんなで追い詰めたり、無視したり、グループから外したり、といった、わかりやすいいじめもあります。一方で、ターゲットにされた子以外全員が別のグループに移動して会話をつづけるような、見つけにくいいじめも見られます。

こうした「仲間外れ」「いじめ」のきっかけは、ちょっとした言葉づかいによる誤解から、という場合も多いようです。

誤解をされない工夫をし気持ちを伝える

誤解をされないように記号や顔文字、スタンプなども積極的に使って、自分の「気持ち」も一緒に伝えられるよう工夫してみましょう。

誰かの言葉に「ムカッ」「イラッ」とした時や傷ついた時は、冷静になれるまで少し時間を置く・パパママに話してみる・電話や直接会って自分の気持ちを伝えてみましょう

著作権・肖像権などの権利侵害

漫画、テレビ番組、動画、音楽、人気キャラクターなど、子どもたちのまわりは「著作物」にあふれています。著作物は「著作権」で守られており、第三者が勝手に使ってはいけません。しかし最近は、子どもがうっかり著作権や肖像権を侵害してしまうケースが目立っているんです。

愛読している漫画を撮影してSNSに投稿したり、アニメのキャラクターや有名人の顔写真をSNSのプロフィール画像につかったりするのは、著作権侵害や肖像権侵害の危険があります。


海賊版サイト(違法な配信サイト)から漫画・音楽・雑誌・書籍・映像などをダウンロ―ドするのは、著作権侵害にあたります。

正規版の配信サービスであることを確認しましょう。下記のマークを確認すると安心です。
ABJマーク https://aebs.or.jp/ABJ_mark.html
エルマーク https://www.riaj.or.jp/leg/lmark/

子どもをSNSのリスクやトラブルから守るために

子どもをSNSのリスクやトラブルから守るには、子どもに注意するだけでなく、パパママが手を尽くして子どもたちを守りたいものです。

子どものスマホに「フィルタリング」を設定するのは法律上の義務

子どもの安全のために保護者がインターネット利用環境を適切に制限することをペアレンタルコントロールといいます。よく聞く「フィルタリング」「時間設定」サービスもペアレンタルコントロールのひとつです。

以下に、無料で使えるペアレンタルコントロールサービスを紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

あんしんフィルター

月額無料のサービス「あんしんフィルター」は保護者のスマホやパソコンから子どものスマホの設定変更が行えます。

・あんしんフィルター for docomo https://www.nttdocomo.co.jp/service/anshin_filter/

・あんしんフィルター for au https://www.au.com/mobile/service/anshin-filter/

・あんしんフィルター  for SortBank https://www.softbank.jp/mobile/service/filtering/anshin-filter/

※端末がiPhone、iPad、iPod touchの場合、アプリ関連の制限もかけたい場合は以下に説明する「スクリーンタイム」も使うのがおすすめです。(Android端末の場合は、「あんしんフィルター」だけで大丈夫です)

スクリーンタイム

iPhone、iPad、iPod touch で利用することができるペアレンタルコントロールサービスです。アプリのインストール不要で、端末から設定できます。

・「スクリーンタイム(iOS12以上)」https://support.apple.com/ja-jp/HT201304

子どもと一緒に家庭内ルールをつくろう

内閣府の調査によれば、低年齢層の子どもをもつ保護者のうち「ルールを決めている」との回答は82.1%に上りますが、低年齢層の子どもがインターネットに関する啓発や学習を受けた経験がある割合は19.1%にすぎません。ルールだけを押し付けるのではなく、インターネットやスマホの使い方や危険性について家庭で教えつつ、子どもと一緒に「家庭内ルール」をつくっていきましょう。

家庭内ルールを決める時のポイントを紹介します。

「なぜルールを決めるのか」を伝える

スマートフォンを使う時間帯や時間など、具体的なルールを決める

子どもが無理なく守れるルールを決める

「ルールを守れなかった時はどうするか」を決める

・「迷うときやトラブルに巻き込まれたときは、パパママに相談する」よう約束する

夏休みを前に、子どもたちをSNSのリスクやトラブルから守るためにできることをご紹介しました。当記事を参考に夏休みを安全に過ごしていただき、楽しい思い出を家族でたくさん作っていきましょう。

参考:https://www.soumu.go.jp/main_content/000707803.pdf

校正・文/後藤真理恵 イラスト/秋岡美絵子

お話をうかがったのは

株式会社コムニコ SNSマーケティングラボ シニアアナリスト
一般社団法人SNSエキスパート協会 代表理事
後藤真理恵(ごとうまりえ)

東京大学 文学部卒。一般社団法人SNSエキスパート協会代表理事に就任。「SNSエキスパート検定(初級・上級)」講座/認定試験の実施を通してSNSマーケティングの正しい知識を持つ人材育成に努めている。著書に『ファンを獲得! Facebook投稿ノウハウ』(翔泳社・共著)『デジタル時代の実践スキル SNS戦略』(翔泳社)。

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