【人気保育士 てぃ先生連載エッセイvol.1】 「子育てを楽しくするには、考え方をちょっと変えるだけ」

前回の初登場記事「twitterフォロワー40万人! 保育士“てぃ先生”に聞く魅力的な伝え方」が大人気だった、現役保育士のてぃ先生の連載が今日からスタート!
毎日、保育園でたくさんの子どもたちに触れているからこその気づきや悩みを、等身大の目線で発信していただきます。

ママたちの子育てが楽しくなるようなエッセンスが、きっと見つかるはず!

みなさま、こんにちは!
てぃ先生です。

この度、連載をさせていただくことになりました。よろしくお願いします!

さて、第1回目は「子育てを楽しくするには、考え方をちょっと変えるだけ」をテーマにしたいと思います。
僕は保育士になってから10年ほど経つのですが、新卒として働きはじめた頃、子どもの気持ちや行動が理解できず苦しんでいました。

「なぜこんなことをするのだろう」「なぜあんなことを言うのだろう」自分の考えや期待から離れる子どもの姿にイライラしたこともあります。

しかし、この「なぜ」をポジティブに考えるようになってからは、とにかく子どもを見るのが、接するのが、どんな時でも楽しくなりました。

ポジティブに考える。

これを伝えることに適した出来事があったので、それをご紹介したいと思います。

僕が、とあるファミレスで食事をしている時のことです。

横の席にママとおばあちゃんと1歳半〜2歳くらいの女の子が座っていました。女の子は子ども用の椅子に固定されています。

途中、ママがドリンクバーを取りにいこうと席を立ちました。おばあちゃんへは「何がいい?」と声をかけましたが、女の子へは特に声をかけずに、そのまま歩いていきました。

女の子は、歩いていくママの方をじっと見つめています。多分、どこかへ行っちゃうのではないかと不安だったのではないかな。しかし、視界からは消えない位置にママがいたので安心している表情にも見えました。

視界からは消えない位置。

だからこそだと思いますが、女の子はママの方へ行きたがっていました。ママの方を指差しながら、おばあちゃんの顔を見て訴えています。おばあちゃんは「ママいるねー」なんて言っていました。意図が伝わっていなさそうな受け答え。

いよいよ女の子は我慢の限界です。子ども用の椅子から脱しようと、なんとか座面の上で立ち上がりました。と、その時、ちょうどママがドリンクバーの方から戻ってきました。そして、立ち上がっている女の子へ不機嫌そうな顔をしながらこう言ったのです。

「危ないから、ちゃんと座ってなさい」

女の子が寂しそうな顔をしたように見えました。

ママが大好きで、ママがどこかへ行っちゃうのではないかと不安で、ママのそばに行きたくて、だから立ち上がっていたのに。

きっと、こういった気持ちのすれ違いが、お互いのストレスになっているのではないかと思うのです。しかし、子どもにそれを理解してもらうのは難しい。だから大人が歩み寄る。それが子育ての一つだと思います。

このエピソードで言うと、ママは「この子は、なぜ立ち上がっていたのだろう?」と考えるだけでハッピーになれた可能性が高いです。

何の理由もなく子どもは立ち上がりません。何かが見たい、どこかへ行きたい、そんな理由が隠れています。

だから、ポジティブに考えてみませんか?

「なぜ立ち上がっていたのだろう?何か見たかったのかな?あれかな?」

「いやいや、私が遠くにいたから、こっちに来たかったのかな?」

こう考えたら、子どもの行動が愛おしく感じられませんか?
想像だっていい。ポジティブに捉えることで、子育てが色鮮やかなものに変わるのです。

僕はこう考えることで保育がとても楽しくなりました。

それまで思い悩んでいた、子どもの意地悪な言動や思ってもみない行動の一つ一つが愛おしく・微笑ましく感じるようになったのです。

子育てを楽しくするには、考え方をちょっと変えるだけ。

いきなりガラリと変えなくたって良いです。少しずつ、気が向いた時に、参考にしてみてください。

 

てぃ先生
都内保育園保育士。2012年に始めたTwitter(アカウントは@_HappyBoy)がブレークし、現在フォロワー41万人。それをまとめた『ほぉ…、ここがちきゅうのほいくえんか』、『ハンバーガグー』(共にベストセラーズ)や、そのコミック版など、著書もベストセラーに。

写真/黒石あみ

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