インフラとは
私たちの生活の中でも、たびたび耳にする「インフラ」という言葉の意味をご存じでしょうか。インフラの言葉の意味と、その由来を説明します。
基盤となる設備施設
インフラとは、「生活や産業の基盤となる設備」を指す言葉です。
水道や電気などの日常生活に欠かせないサービスは、「ライフライン」とも呼ばれており、これらが機能しないと生活が成り立たなくなってしまいます。
設備面だけでなく、学校や病院などの公共施設もまたインフラの一部です。このように、個人ではなく、社会全体が共有している構造をインフラと呼びます。
インフラは一度完成させれば終わりではなく、その後も機能が損なわれることがないよう維持しなければなりません。社会のデジタル化が進んでいる現在では、「ネットワーク」も重要なインフラの一つです。
英語の「infrastructure」が由来
インフラの語源は「infrastructure」という英単語です。構造という意味を持つ「structure」と、下に・下部に、という意味を持つ「infra」を組み合わせた単語で、土台や基礎構造などを意味しています。
日本では、生活や産業の中での基礎構造と捉えており、インフラは日常生活に欠かせない存在を表す言葉として使われることがほとんどです。本来の意味とは、微妙に異なったニュアンスが含まれていることに注意しましょう。
インフラ整備は、何に役立つ?
インフラ設備には、定期的な整備が欠かせません。インフラ整備によって得られるメリットを確認していきましょう。
住みよい環境づくりに不可欠
水道や電気などのインフラ整備は、生活を豊かにするためにも重要です。開発途上国では水道がないため、1日かけて水をくみに行く人々も存在します。
こうした国では、水くみや手伝いに時間がかかり、満足に教育を受けられない子どもたちも多いのです。
産業の基盤となるインフラを整備することで、生活水準は大きく向上します。多くの人が公共サービスを利用できるようになれば、より安定した生活が送れるようになるのです。
また近年は、地球温暖化の影響もあり、世界中で自然災害が増えています。災害に負けない強じんなインフラを構築するためにも、定期的な整備が必要です。
経済が成長し、雇用が安定
インフラを整備することは、経済的な発展とも大きく関係しています。財務省のデータによれば、港湾や鉄道などのインフラ整備を行ったタイの東部臨海地域は、15年間で4倍近いGDP成長を実現しました。
産業が発展して雇用が生まれ、収入が増えることで、子どもたちが教育を受けられるようになります。インフラ整備によって日々の生活が安定することで生産性が上がり、経済も豊かになっていくのです。
インフラには人々の生活環境をよくするだけではなく、経済を発展させる力もあります。そのため、特に開発途上国ではインフラの開発支援が必要なのです。
ビジネスでのインフラ業界は、4種類
インフラを取り扱う企業には、大きく分けて四つの種類があります。それぞれの業界の仕事や特徴をチェックしていきましょう。
ガス・電気・石油など「エネルギーインフラ」
発電やガスの供給などを行うエネルギーインフラ業界は、私たちの生活に不可欠なライフラインを扱っています。エネルギー産業の代表的な例としては、火力・原子力・水力などの発電にかかわる企業が一般的です。
発電施設だけではなく、電気をそれぞれの家庭に届ける変電所や電線、パイプラインも含めてインフラの一部と考えられます。日本はエネルギー自給率が低いため、ガスを供給する会社もインフラに該当するのです。
電力などのエネルギーは、日常生活と密接に関係しています。そのため、安定した企業が多いのが、エネルギーインフラ業界の特徴です。
公共交通機関など「交通インフラ」
交通インフラには、電車やバスといった交通機関だけでなく、道路やトンネルなどの設備そのものも含まれています。道路に信号や道路照明灯などを設置して安全を守るのも、交通インフラ業界の仕事です。
鉄道会社やバス会社のほか、高速道路を管理する会社なども交通インフラ業界に含まれます。公共交通機関については、歴史の長い伝統企業が市場の中心になっているのが特徴です。
交通インフラは、都市部を中心に利便性の高い交通サービスを提供しています。人や物を全国各地に運ぶ物流面においても、欠かせない役割といえるでしょう。
安全な暮らしを守る「空間インフラ」
空間インフラは、公共施設や建物の管理を取り扱っています。こうした施設の中には、河川に見られる橋や堤防、沿岸部にある水門など、災害時に重要な役割を果たすものも含まれています。
老朽化した建物への対応や、音声ガイドの導入など、空間インフラ業界の業務はさまざまです。近年では高齢化が進んでいるため、幅広い年代の人が使いやすいよう公共施設のバリアフリー化が急がれています。
災害時にも役立つ空間インフラもまた生活に欠かせないものです。人々の安全を守ることにつながる、やりがいのある仕事といえるでしょう。
暮らしを便利にする「生活インフラ」
生活インフラは、ゴミや上下水道の処理・通信・放送など多岐にわたっています。携帯電話やスマートフォンが普及したことで、通信環境も重要なインフラの一部として考えられるようになりました。
学校や病院なども、代表的な生活インフラの一部です。スーパーやコンビニなどの身近な仕事も、生活インフラに当てはまります。
小売店であるスーパーやコンビニのように、インフラ以外の業界と重なる部分が見られるのも、生活インフラ業界の特徴です。生活インフラは、私たちの生活を便利にするなじみ深い存在ともいえるでしょう。
インフラ企業で働く魅力
インフラを取り扱っている企業の業務内容はさまざまです。インフラ関係の企業で働くメリットを、いくつか紹介します。
景気に左右されにくい
インフラ企業の最大の特徴は、景気に左右されることが少ない点です。実際にインフラ企業を選んだ人、212名を対象としたアンケートでも、19.8%の人が「業界の安定感」を魅力として挙げています。
インフラは、常に需要が安定しており、仕事がなくなることは考えにくい業種です。老朽化したインフラの整備やデジタル化などの課題があるため、今後も対応すべき仕事はいくつもあります。
たとえ利用者が減少しても、インフラの需要がゼロになることはありません。経営が安定していることで得られる安心感も、インフラ企業が持つ魅力の一つです。
地域への貢献度を実感
交通機関の管理や電力の供給など、インフラ企業には、地域に根ざした仕事が多くあります。そのため、自分が生まれ育った地域の役に立ちたいと思っている人がインフラ企業を志望するケースも珍しくありません。
社会全体への貢献度が高いのも、インフラ業界ならではの特徴です。普段は意識していなくても、ガスや水道などのインフラがなければ、「普段通りの生活」を送ることは不可能なのです。
アンケートでも「社会への貢献度」を魅力に挙げている人は、全体の12.7%にのぼります。自分の仕事が人の役に立っていると感じたい人や、やりがいを実感したい人に適した仕事といえるでしょう。
手厚い福利厚生
福利厚生の手厚さも、インフラ企業で働くメリットの一つです。インフラ企業は経営が安定しているため、住宅手当などの制度が充実している場合が多く、いわゆる「ホワイト企業」の代表とされています。
社員を大切にしていて収入面も比較的よいため、離職率が低いのが特徴です。実際に働く人の声でも「福利厚生の充実」を魅力的だと感じる人は、全体の13.7%を占めています。
働きやすさを重視する企業も多く、テレワークを積極的に導入しているのもポイントです。インフラ企業は、他業種に比べて定着率が高いため、長く同じ職場で働きたい人に適しています。
参考:インフラ業界の一番の魅力と想定外は? | 就職ジャーナル
インフラは、私たちの生活を支えている
世の中の基盤となるインフラは、私たちの生活と直結する重要なものです。電力などのエネルギーはもちろん、物流などのインフラ設備が整っていなければ、安定した生活が送れなくなってしまいます。
インフラを取り扱う企業は数多く存在し、業務の内容もさまざまです。常に需要が安定していることから、経営が安定している企業が多いのがインフラ業界のメリットといえます。
社会への貢献度が高いのもインフラ業界の特徴です。世の中の役に立つやりがいを感じたいなら、インフラ企業で働いてみるのもおすすめです。
構成・文/HugKum編集部