今回のお話を伺ったのは、テレビ東京『シナぷしゅ』プロデューサーの飯田佳奈子さんと、GUキッズMDチーム 統括リーダーの平松修吉さんです。
シナぷしゅ×GU babyコラボ服の制作秘話
ー6月に発売したシナぷしゅ×GU babyのコラボ服は一瞬で完売でした。反響はいかがでしたか?
飯田さん 正直、売れなかったらどうしようと発売前は怖かったです。全然売れなかったら自分で何枚買おうって(笑)。『シナぷしゅ』のコンテンツのパワーがどこまで成長しているのか、テレビだけではつかみにくい部分もありましたから。発売してからは、たくさんのお客様が購入してくださって本当にうれしかったですね。
平松さん 予想を上回る反響で、発売初日でほぼなくなる状態でした。「欲しかったのに買えなくて残念」という声もたくさんいただいて、大変申し訳なかったです。多くの要望をいただいて、8月にいくつかのアイテムを再販させていただきました。
飯田さん 今回の第二弾はさらにパワーアップして、季節感も含めて楽しめるデザインになっています。私も発売日に買うと決めていますよ。今回はちゃんとみなさんに届くといいなと思います。
ーどういう経緯でコラボをすることになったのですか?
平松さん GU babyがスタートしたのは2021年2月です。私たちは世の中でどんなベビー服が求められているのか知るため、ママやパパの声をたくさん聞き、「セパオール」や「サマナルパンツ」など親が着せやすくてデザイン性の高いベビー服を発信しています。ただ、私たちは服づくりのプロではあるけど、赤ちゃんのプロではありません。赤ちゃんのことを本当にわかっている目線は、ママ・パパ以外にはどこにあるんだろうと考えるようになりました。
そんなときに、テレビ東京の『シナぷしゅ』を制作している飯田さんとお話する機会があったんです。まずは飯田さんの熱量に圧倒されましたね!仕事とプライベートを合わせても、こんなに熱量のある人に出会ったことがないと思うくらい“赤ちゃんのために”ということを考えていて、一気に惹き込まれました。ちょっと話すだけでアイディアが溢れてくるんですよ。自分たちも学ぶことでお客様にとって良い服がつくれるんじゃないかとすぐに感じて、一緒にやらせていただくことになりました。
ー実際の服づくりはどんな風に進んでいるのですか?
平松さん まずは終わりのない意見交換から始まります。製品化が可能か不可能かと言った現実的な制約は初めに考えず、赤ちゃんの感性を育てる服について、一緒に話して話して話し尽くします。次にそこで出たアイディアを形にしていきます。絵型にして、色を決め、素材を選び、サンプルチェックなのですが、すべての企画に『シナぷしゅ』のスタッフに入っていただいています。いわゆるライセンスビジネスとはまったく違うやり方ですね。膨大なやりとりがあって、試行錯誤の繰り返しでした。
飯田さん GUさんとのやりとりが多すぎて、PCがバグっちゃうくらい(笑)。すごく丁寧にモノづくりに取り組んでいるGUの企業努力には本当に頭が下がります。すっかりGUのファンになって、私も全身GUでコーディネートする日があるくらいです。
平松さん GUはファッションブランドなので、洋服として着てかっこいいとかかわいいというファッション性もすごく大事。そこにプラスして、『シナぷしゅ』とのコラボは、着てくれる赤ちゃんが何か刺激を得たり、喜んだりする仕掛けも大切にしています。親子でコミュニケーションを楽しめる服ってなかなかありません。今回もぜひ多くの人に楽しんでもらいたいですね。
11月1日(月)発売決定!絶対欲しい3アイテムを徹底解説
ーいよいよシナぷしゅ×GUの秋冬のコラボ服が発売です。新作アイテムについて教えてください。
たからものをいれてね!どんぐりポッケパンツ
飯田さん 11月発売のコラボ服は全部で3つ。まずはこのパンツですが、おむつのラインが響きにくい優秀なシルエットなんですが、ポイントはポケット。普通のポケットより小さくて、前についていますよね。
飯田さん 実はこのポケット、どんぐり専用のポケットなんです。子どもって、外を歩いているとどんぐりや小石を拾ってポケットに入れますよね。親は「また拾って〜」と思いますけど、子どもにとっては宝物を見つけて最高にワクワクする瞬間です。そんな気持ちを受け止めてあげたかった。100個持ち帰るわけにはいかないけど、このポケットがあるから、1〜2個ならOK。お気に入りを決めるという決断も子どもにはひとつの体験で成長にもつながりますよね。
平松さん 周りの人に聞いても「子どもはすぐどんぐりをポケットに入れる」って言うんですよね。ダメというのは簡単だけど、このポケットがあれば「1〜2個ならいいよ」と親も言ってあげられます。否定しないことも大事にしたいよねって話がアイディアのベースにあります。夏のコラボでTシャツは前後どちらで着てもOKなデザインにしたのも、子どもの間違いを否定したくないという理由からなんです。
飯田さん パンツのウエスト部分は腹巻になっていて、ぷしゅぷしゅが付いているんです。これからの寒い時期、お腹をしっかりしまって元気に遊ぼうねというメッセージを込めました。
平松さん ポケットや腹巻の機能性もあるけど、パンツは脱ぎ着しやすくてシルエットもきれい。そこもGUらしいこだわりです。
さわってみよう!素材がっしゃんトップス
飯田さん こちらの「がっしゃんトップス」も楽しい仕掛けがいっぱいです。異素材の組み合わせになったのは、指先を使うことが子どもの成長にすごく良いから。同じ色だけど違う素材になっていて、ここはザラザラ、ここはフワフワ、ここはツルツルと感触の違いを体験できます。「フワフワどーこだ?」「ココ!」って親子でコミュニケーションをとりながらお着替えを楽しんでほしいですね。
飯田さん さらにポケットの中にはぷしゅぷしゅが隠れています。ポケットの口はチャックになっていて、開け閉めすると指先の感覚刺激にもなります。ぷしゅぷしゅはポケットの中にしまえるので、キャラクターものの洋服に抵抗のある親御さんでも、これなら着せていただけますよね。
自分で袖をまくってみよう!袖まくりトップス
飯田さん 最後は、ワッフル生地の「袖まくりトップス」です。これは使い勝手いいと思いますよ〜。長袖を着ていると、子どもっていろいろなシーンで腕まくりをしますよね。手を洗うとき、ご飯を食べるとき、お絵かきをするときなどなど。これは袖に雫の形のぷしゅぷしゅが刺繍されていて…
飯田さん 「ぷしゅぷしゅひとつぶん折ろうか」と声をかけると、子どもはぷしゅぷしゅを目安に自分で折ってみようとトライしやすいと思います。
飯田さん もっと腕まくりするときは「ぷしゅぷしゅふたつぶん折ろうか」と伝えてみてください!袖を折ると内側の生地の一部が違う色になっていて、子どももまくりがいがあります。
飯田さん さらに、このトップスは、ふわふわのポケットでいないいないばぁもできるんです。ぷしゅぷしゅと一緒という楽しさや安心感も感じてもらえるといいですね。
※GU babyのトップス、パンツのサイズ展開は80-100cmです。
『シナぷしゅ』が支持される理由は?
GU babyとのコラボ服も話題の『シナぷしゅ』は、放送開始以来、着実に人気を集めている民放初の赤ちゃん向け番組です。『シナぷしゅ』の番組づくりについて、飯田さんにお伺いしました。
ー『シナぷしゅ』は2020年からテレビ東京でレギュラー放送が始まりました。飯田さんが番組を立ち上げたきっかけを教えてください。
飯田さん きっかけは、出産して子育てをしたときの体験です。テレビ局に勤めているにも関わらず、テレビは赤ちゃんにとってよくないものとどこかで思い込んでしまって、どうしても子どもをテレビから遠ざけようとしている自分がいました。でも実際は私も周りの保育者の方たちも、メディアのコンテンツの力も借りて育児をしたいという本音があって、それはYouTubeの再生回数にも現れていますよね。
それならば、良質なコンテンツで堂々と見せられるようなものを出してあげたいと思ったんです。コンテンツが溢れている時代に、赤ちゃん向け番組は選択肢が少ないのも窮屈だなと。良質なコンテンツで新しい選択肢を提示してあげたい、そう思って企画しました。
ー番組名の『シナぷしゅ』。由来はなんですか?
飯田さん 低月齢の赤ちゃんだと家という狭い空間で親子で過ごすことが多く、私もその時期は生活がワンパターンになりがちでした。例えば、子どもに歌を歌ってあげようと思っても、そんなに歌の引き出しはたくさんないじゃないですか。だから、テレビの力で親子の世界を広げてあげられて、赤ちゃんに適切な刺激を与えられるような番組にしたいと思いました。赤ちゃんの脳の成長は、シナプスという脳の神経細胞のつなぎ目が増えることで成長していくそうなんです。形もわからないシナプスですが、良い刺激で赤ちゃんの成長を促す番組のイメージに合うなと。
ーシナプスから来ているんですね。「ぷしゅ」だけひらがななのは?
飯田さん 「ぷしゅ」にしたのは、「ぷしゅ」っと子どもたちの中からアイディアが湧き出てくるようなイメージと、育児をがんばっている保育者のみなさんの肩の力が「ぷしゅ〜」っと抜けたらいいなと思って、ひらがなにしたんです。最初、赤ちゃん向けの番組でカタカナを使うことも視聴者の方からは驚かれたりしましたけど(笑)
ー「シナぷしゅ」は赤ちゃんのいるママ・パパからの人気や信頼度がとても高い番組です。その理由はなんだと思いますか
飯田さん 東京大学の赤ちゃんラボの開先生に監修をしていただいているのも信頼感の高い要因のひとつではないでしょうか。ママ・パパも東大の先生の監修ならテレビを見せる罪悪感も拭い去れる部分もあるかなと思います。
『シナぷしゅ』は赤ちゃん向け番組なので、正解は私たちが決めるものではなく、赤ちゃんがどう反応するかが全てなんですよね。大人の思う赤ちゃんの形を押し付けず、受け取る側に委ねるような番組作りを心がけています。そのためにSNSでもファンの方と積極的にコミュニケーションをとらせていただいています。ありがたいことに、見てくださる方がたくさんフィードバックしてくれるんですよ。生の感想をしっかりと聞いて、ファンの声を番組づくりに生かせているおかげで、実際の子育て世代のニーズにあったものを発信できていると思います。これからも、社会の一員として次世代を担う子どもたちのために良いコンテンツを発信していきたいです。
ー飯田さん、平松さん、ありがとうございました。
テレビ東京の赤ちゃん向け番組『シナぷしゅ』は毎週月曜〜金曜あさ 7:35~8:00(テレビ東京系列6局ネット)、 木曜&金曜夕方 5:30~5:55(テレビ東京ローカル)で放送中です。子どもが喜ぶ服でコミュニケーションを楽しみながら、番組もぜひ楽しんでみてくださいね。
文・構成/HugKum編集部