2022年の干支は「寅」。読書アドバイザーで子どもの絵本のプロの児玉ひろ美さんに、トラがが活躍する絵本をセレクトいただきました。猛獣であるトラは怖いイメージですが、やさしくて、ユーモラスな存在として描かれている作品に、ほっこり。お子さんと楽しんでください。
目次
『とらのこ とらこ』 1歳から
きくちちき/作 小学館
ちいさな「とらこ」は大好きなお母さんみたいになりたくて、真似をしますが失敗ばかり。そんなとらこをお母さんは優しく、「とらこ、とらこ」と名前を呼んで見守ります。読み終えたら、そっとお子さんの名前を呼んであげましょう。親子で幸せな気持ちになる1冊。
『とらたとおおゆき』なかがわそうや 2歳から
なかがわりえこ 福音館書店
とらの子とらたは、雪山をお尻で滑って遊んでいます。すると、お父さんがそりを作り、サンタさんからもらった鈴もつけてくれました。「りんりんりん」。鈴の音に魅かれ、友だちがどんどん集まり、ひゅーん。そり遊びが始まります。30年近く読み継がれている、冬の定番絵本です。
『とらさんおねがいおきないで 』 2歳から
ブリッタ・テッケントラップ/作 木坂 涼 /訳 ひさかたチャイルド
道をふさいでいるのは、ぐっすり眠った大きなトラ。ねずみやかめやキツネたちは、トラを起こさないよう、風船に捕まって飛び越えます。手伝ってあげましょう。絵本をなでたり、息を吹きかけたり、揺らしたり…言葉使って遊べるしかけ絵本です。
『おしょうがつのかみさま』 3歳から
おくはらゆめ/作 大日本図書
家中をお掃除し、お正月飾りをして、さあ、お正月。みんなが集まり、賑やかになりました。おや、最後にきたトラは、背中に鏡もちを乗せていますね。その時やってきたのは、今年の神様。神様はどんなお姿なのでしょう?幼い子も大きな子も一緒に楽しめます。
『おちゃのじかんにきたとら』 3歳から
ジュディス・カー/作 晴美耕平/訳 童話館出版
ソフィーとお母さんがお茶を楽しんでいる時、大きなトラがやってきて、「ごいっしょさせていただけませんか」。トラは台所にある物を全部たいらげ、水道水まで飲み干し、お礼を言って帰っていきました。1968年からイギリスで親しまれている、明るく優しいほら話です。
『トラのじゅうたんになりたかったトラ』 4歳から
ジェラルド・ローズ ふしみみさを 岩波書店
インドのジャングルに住む、年とった痩せトラが憧れたのは、宮殿で楽しそうにごはんを食べる王さま一家。ある日、宮殿の庭に干されているじゅうたんに自分そっくりな物を見つけると…。小学校高学年のお子さんでも十分楽しめる、インドに伝わる昔話です。
『たまごからうま ベンガルの民話』 4歳から
酒井公子/作 織茂恭子/絵 偕成社
主人公のダーは「楽がしたい、歩きたくない」と、歩かないですむように市場へ馬を買いに出かけます。市場では「特別足の速い馬の卵」が売られていました。…あれっ? タイトルはベンガルのことわざで、「ぜったにあり得ない話」の意。その由来となった、とびっきりゆかいな昔話です
『おばあさんとトラ』 5歳から
ヤン・ユッテ/作 西村由美/絵 徳間書店
森の中で出会ったおばあさんとトラは、一緒に仲良く暮らすようになります。町の人々も最初はトラを怖がっていましたが、次第に仲良くなります。ところがある日、トラは元気がなく、身体の縞模様も消えはじめ…。作者はオランダ最高の絵本作家に贈られる「金の絵筆」賞を3回受賞した作家。
『とらとほしがき 韓国のむかしばなし』 5歳から
パク・ジェヒョン おおたけきよみ 光村教育図書
トラと泥棒が鉢合わせをして大騒ぎになる韓国の昔話ですが、オオカミと泥棒が鉢合わせをする日本の『ふるやのもり』にとてもよく似ています。韓国ではトラが身近な存在で、昔話の冒頭でも「虎がタバコを吸っていたころ (ほらんい たむべ もぐる ちょげ)」と言うものがあるそうです。面白いですね。
『トラといっしょに』 4歳から
ダイアン・ホフマイアー ジェシー・ホジスン さくまゆみこ 徳間書店
美術館でトラの絵を見たトム。家に帰り大きなトラの絵を描きました。その夜、壁の向こうからトラがやってきて、トムを夜の散歩に誘います。「ぼく、ちょっとこわいんだ」トムが小さな声で言うと、トラは必ず「こわくなんてない。しっかりつかまって」と、トムを励まします。フランスの画家アンリ・ルソーの実際にある絵から生まれた作品。
教えてくれたのは
JPIC読書アドバイザー 台東区立中央図書館非常勤司書。日本全国を飛び回って、絵本や読み聞かせのすばらしさと上手な読み聞かせのアドバイスを、保育者はじめ親子に広めている。鎌倉女子大学短期大学部非常勤講師など、幅広く活躍。近著に『0~5歳 子どもを育てる「読み聞かせ」実践ガイド』(小学館)。