いももちの基礎知識
いももち、と耳にして浮かぶ料理は、どんなものでしょうか。というのも、いももちは地域ごとに、様々な味があります。
地域性があるいももち
北海道では、じゃがいもを使って作り、醤油とバターの味付けです。岐阜県中濃地方では、米と里芋が定番で、味つけは生姜醤油、生姜味噌です。また、愛媛県今治市では、さつまいもが主流です。中にあんこを包み、きな粉をまぶしていただくそうですよ。このタイプは和歌山県や高知県でも愛されています。
「いももち」と言っても、各地方でこれだけの違いがあります。共通しているのは、加熱した芋類を潰して、丸形に成型していること。その土地で育てやすい芋が、親しまれているようですね。
いももちは冷凍できる?
煮物を冷凍する際に、じゃがいもは水分量が多いことから敬遠されます。解凍後の食感がスカスカになってしまうからです。ですが、いももちは加熱して潰し、さらに片栗粉などの材料が加わることで、解凍後も食感の変化があまりありません。ポイントは、小さめに作るように心がけ、冷凍・解凍の温度変化を素早くすることです。これで、おいしい冷凍ができますよ。
冷凍方法
冷凍方法は成形前、成形後、焼いた後の3つの方法が選べます。一度に作り置きして、日持ちを長くしておくと、おやつやおかずに活躍します。
基本のいももち・材料
まずは、じゃがいもで作る、いももちの材料を確認します。ご参考にしてください。
・材料
じゃがいも 3個分(茹でてなめらかになるまで潰してください。)
片栗粉 大さじ3
牛乳 大さじ1
塩こしょう 適量
【タレ】
醤油、砂糖 各大さじ1
棒状で冷凍
成形する手前で冷凍する方法です。太くすると冷凍の時間がかかりますから、細めに作り、小さく仕上げます。
・作り方と冷凍方法
【1】材料を混ぜ合わせ、直径3センチ程度の棒状にします。
【2】ラップでひとつずつピッチリと包み、冷凍用の保存袋に入れて冷凍してください。
・解凍と焼き方
冷凍庫から出した直後はカチカチで、切ることができません。軽く解凍してから、以下へと進みます。
【1】冷凍庫から常温へ出して1時間ほどで包丁が入ります。または、電子レンジの解凍コースで軽めに解凍します。
【2】解凍が進まないうちに、手早くフライパンでこんがりと焼きます。
【タレ味】
フライパンに醤油、砂糖を入れてひと煮立ちさせ、焼き上がったいももちに刷毛で塗ります。
【チーズ味】
【1】フライパンを温め、冷凍いももちと、ピザ用のチーズ(70g)を同時に入れます。弱火で加熱してください。
【2】チーズが溶けてきたらよく絡めながら、弱火〜中火でゆっくりと焼きます。
【3】中心部まで火が通るようにしっかりと焼いてください。
・保存期限
棒状に成形して冷凍したいももちは、2〜3か月を目安に保存してください。
成型後に冷凍する
形を作り、焼く前に冷凍する方法です。
・作り方
【1】基本のいももちの材料を混ぜ合わせ、手のひらで成形します。
【2】チーズ味にしたい場合は、ここでピザ用のチーズを中に包んでおきます。
・冷凍の手順
【1】成形した、いももちを1つずつラップに包みます。
【2】冷凍用の保存袋に入れて、冷凍庫へ入れてください。
【3】3時間後には冷凍が完了しますので、トレイははずして保存します。
・調理方法
【焼く】
フライパンで焼く場合は、解凍せずに冷凍のまま焼きます。
【1】少量の水を入れて蓋をし、蒸し焼きにします。
【2】蓋を取り、表面に香ばしい焦げ目がつくまで焼いてください。
【揚げる】
解凍せずに、180℃の油にソッと入れて3〜4分加熱してください。
・保存期限
1か月を目安に、食べるようにしてください。
焼いてから冷凍する
焼いたいももちを、冷凍する場合の手順です。食べ残した時の保存方法としても。タレはつけずに冷凍へ進んでください。
・冷凍の手順
【1】焼いたいももちを冷まします。
【2】ひとつずつラップに包み、冷凍用の保存袋に入れ、トレイに乗せて冷凍庫へ入れます。
【3】3時間ほどで冷凍が完了しますから、トレイをはずしてください。
・解凍方法
電子レンジで解凍していただきます。
【タレ】
フライパンに醤油、砂糖(各同量)を入れてひと煮立ちさせ、温まったいももちに刷毛で塗ります。
・保存期限
2~3か月を目安に食べるようにしてください。
冷凍食品のいももち
冷凍食品で販売されているいももちも大人気です。よく見かけるのは、潰したジャガイモにチーズが入った商品です。
フライパンで焼くのはもちろん、揚げたり、スープに加えていただく調理法が紹介されていますよ。
北海道プチいももち 300g(約18個入り)
ニチレイ 北海道産じゃがもち 1kg【冷凍】
業務スーパーでも、たくさん入った商品がお値打ちで手にはいります。この商品はアマゾンでも買うことができます。
いももちレシピ
いももちに具材を混ぜて焼くと、簡単にアレンジの幅が広がります。定番のチーズの他には、しらす干し、干しエビ、ひじきの煮物、コーン、青のりなどが挙げられます。ストックできる具材を使うと、さらに便利に。
しらすとエビのいももち
乾物を使いピンク色がかわいい、ヘルシーないももちを作ります。
・材料
じゃがいも 3個分(茹でてなめらかになるまで潰してください。)
片栗粉 大さじ3
牛乳 大さじ1
塩こしょう 適量
しらす干し 10g
干しエビ 5g
・作り方
【1】いももちの材料(じゃがいも、片栗粉、牛乳、塩こしょう)に、しらす干しと干しエビを混ぜ合わせます。
【2】手のひらで成形し、フライパンでこんがりと焼き上げます。
里いももち
のりに挟んで手で食べましょう。みたらしだんご風のおやつもち。
◆材料
(8~10個分)
里いも 300g
片栗粉 大さじ2
塩 少々
サラダ油 大さじ2
しょうゆ、砂糖 各大さじ1
焼きのり 適宜
◆作り方
【1】里いもはよく洗い、皮つきのまま耐熱皿にのせてラップをかけ、電子レンジで3~4分(600Wの場合)加熱する。柔らかくなったら皮をむき、つぶしてなめらかにする。片栗粉、塩を混ぜてこね、8~10等分にして平らな円形に整える。
【2】フライパンにサラダ油を熱して【1】を並べ、中火で両面を2~3分ずつこんがりと焼いて取り出す。
【3】フライパンにしょうゆ、砂糖を入れてひと煮立ちさせ、【2】に塗る。焼きのりを添える。
教えてくれたのは
コウ ケンテツさん
料理研究家。旬の素材を生かした簡単&おいしい&ヘルシーな家庭料理が人気。テレビや雑誌、講演会など幅広く活躍し、著書も多数。1男2女のパパでもあり、食育や食を通してのコミュニケーション活動にも力を入れている。
『めばえ』2018年3月号
しっかりと中まで加熱
通常のいももちは、加熱した芋を潰して作りますから、軽めの焼き加減でも食べることができます。一方で、冷凍、解凍をすると水分が出るので、しっかりと中まで加熱することが必要になります。それさえ守れば、いつでも取り出せる冷凍保存は、とても役立ちます。あまった時だけでなく、積極的に冷凍保存を活用してください。
構成・文・写真(一部を除く)/もぱ(京都メディアライン)