アタマジラミってどんな虫?卵の見分け方、防止策や駆除、対処法を小児科医が解説!

ここ最近、保育園や幼稚園でアタマジラミが流行しているという話をよく耳にします。子供の頭にいるかどうかすぐわかるもの? 見つけたら、どう対処するといいですか?など、ママたちの疑問に、小児科医の粂川好男先生が答えてくださいました。

Q.アタマジラミはどんな虫?どうやってうつるの?

人の頭と頭の接触によって、季節に関係なく流行

寄生昆虫であるシラミのなかで、人間に寄生するのはアタマジラミ、ケジラミ、コロモジラミの3種類ですが、子どもたちの間で集団発生するのはアタマジラミです。昔から世界中に蔓延し、現在でも流行を繰り返しています。日本でも、保育園や幼稚園などの集団生活の場で、季節に関係なく周期的に流行を繰り返し、最近は増加傾向にあるようです。

清潔ならばうつらない、はウソ!

髪の毛に寄生します。飛んだり跳ねたりはせず、人の頭と頭の接触によってうつるため、頭をくっつけ合って遊ぶことが多い幼児の感染率が高いのです。不潔だから寄生したり、うつるのではありません。増加傾向の原因は不明ですが、衛生状態のよい日本にシラミがいるはずがないとか、清潔ならばうつらないと誤解する人が増えていることが、対策を遅らせているのでは、とも考えられます。

人間がいる限り、アタマジラミを撲滅することは不可能だと思いますが、正しい知識を持ち、しっかり対策をして、被害を最小限に抑えましょう。

 

アタマジラミに感染したときの症状は?

子どもが頻繁に頭をかいている時は要注意!

アタマジラミは人の頭皮から吸血します。その時に出す唾液に対する一種のアレルギー反応で、かゆみが起こります。アタマジラミの数や咬まれた場所、子どもの体質などによって、かゆみの程度は個人差が大きいようです。

かくと、湿疹やとびひなどの原因にも。ただ、頭皮以外に症状が出ることはなく、重大な病気も引き起こしません。

成虫が産む卵の数は1ヶ月に100個!

1匹の成虫は1日に5個ほど卵を産みます。卵は1週間ほどでかえり、幼虫に。幼虫は成虫より小さいですが、吸血します。3週間ほどで成虫になり、成虫は生息期間の1か月に、100個以上もの卵を産むので、早い段階での対策が大切です。ちゃんと洗髪しているのに、子どもが頻繁に頭を掻いている時は、注意深く頭皮や髪の毛を見てあげてください。

アタマジラミってどんな形?見つけ方は?

卵は0.5‌㎜くらいで白っぽく、成虫は2㎜くらいで細長い灰褐色

卵は0.5‌㎜くらいで白っぽく、側頭部や後頭部、耳の後ろ側の髪の毛に付着します。卵を見つけるのは、比較的容易です。ふけと間違いやすいのですが、ふけは手で簡単に落とせるのに、卵は指で触ってもなかなか取り除けません。

成虫は2㎜くらいで細長く、灰褐色です。肉眼でも見ることができますが、動き回っているため、数が少ないうちは見つけるのは困難でしょう。

 

 

アタマジラミの正しい駆除法は?

10日程度は大人がシャンプーをして、櫛でといてあげましょう

周囲でアタマジラミが流行してきたり、うつった時は、大人がきちんと洗ってあげましょう。普通のシャンプーでも、成虫と幼虫を洗い流すことは可能です。毛根付近、頭皮を念入りに洗ってください。

しかし卵は、とても強く付いているので、洗い流すことはできません。卵がかえって幼虫になってから洗い流すと考えて、10日程度は毎日シャンプーで親が洗ってあげたり、目の細かい専用の梳き櫛を10日程度、毎日使い、髪の毛に付着した卵を取り除きましょう。

普通のシャンプーで駆除できない時は、市販の殺虫成分入りシャンプー(スミスリンシャンプーなど)を、使用上の注意をよく読んで使用してもいいでしょう。

以上の対策を徹底すれば、駆除のしやすさのために無理に髪を短く切る必要はありません。かゆいと掻いてしまうので、市販のかゆみ止め軟膏を塗ったり、保冷剤などで冷やしても。爪を切り、しっかりと手洗いをさせることも大切です。

 

《先生からママ・パパへひと言アドバイス》

防止策と対処法は適切に

アタマジラミが付いた可能性のあるタオルや寝具は、毎日洗濯してください。できれば洗う前に、60℃以上のお湯に5分以上漬けて。衣類乾燥機も効果があります。人から離れたアタマジラミは、3日ほどで死滅するので、掃除機をこまめにかければ、室内の消毒は不要です。また、プールでうつることはまずありません。ただし帽子、タオル、ヘアーブラシ、脱衣かごの共用はやめましょう。

 

 

お話を伺ったのは
粂川好男 先生

杉並堀ノ内クリニック院長
立教大卒業後、出版社に勤務した後、信州大医学部入学。国立国際医療センター、愛和病院で小児科全般の臨床経験を積む。安心と笑顔を持ち帰れるクリニックを目指す。小児科専門医。

 

イラスト/松木祐子 出典/『めばえ』

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