子育て不安の原因は「過干渉ママ」?精神科医・水島広子先生が教える不安解消法

過干渉ママというと“自分とは無縁!”と思う方もいるでしょうが、実はは子育て不安から過干渉ママになっていくケースが少なくないことをご存じですか。
また過干渉が続くと、子どもの心の成長や親子関係にマイナスの影響を与えることも。

国内における対人関係療法の第一人者で精神科医の水島広子先生の著作・『そのイライラは手放せます 怒らないですむ子育て』から、過干渉ママにならないために必要なことを学びたいと思います。

 子育ての不安感、その原因は?

マイナス面が目につくと、不安が深まり悪循環に

“子育てには、まったく不安がない!”と言うママはいないと思います。例えば、公共の場で子どもが言うことを聞かずに騒いだとき“自分は親として、まわりの人たちからどう見られているのだろうか!?”と不安を抱いたり、友だちトラブルが続いたりすると“うちの子、大丈夫かしら…””私の育て方が悪かったのかしら!?“と真剣に悩む方もいるでしょう。

そうした子育ての不安から”子どものことを、もっとよく見よう!“と思い、過干渉になっていくママは、じつは少なくないのです。また過干渉になると、さらに子どものことがいろいろ目について、子育て不安を深める――という悪循環に陥りやすくなります。

水島広子先生が教える!子育て不安解消法

”私、過干渉かな!?“と心配なときは、子育ての不安を解消していくことがカギ! といっても子育ての不安はすぐに解決できないことが多いので、まずはママの考え方を変えてみませんか。それだけで子育ての不安が払拭できることもあります。

1子どもに、無理な理想や期待を押し付けない

思い描くような子育てができないときは、子どもの年齢や性格をよく見て、無理な理想や期待を子どもに押し付けていないか確認を。

 2ママの“当たり前”を基準にしない

ママからすると“できて当たり前!”“わかって当然!”と思うことでも、子どもは人生経験がまだ短いので、わからないことやできないことがたくさんあります。そのためママの“当たり前”を基準にして考えないこと。

3“足りないところ探し”はNG

幼稚園や小学校などでほかの子と比べたりして“うちの子は○○ができない!”“××が苦手!”と足りないところ探しを始めると、子育て不安は募る一方。ほかの子とは比べずに、わが子の日々の成長や長所に目を向ける習慣をつけましょう。

4完璧主義の子育てはやめる

完璧主義のママは、子どもを追い詰めてしまう傾向があります。そのため子どもの前でも素直に「ママも失敗しちゃった。これから直すね」と言える勇気をもちましょう。子育てで大切なのは“完璧な人になりなさい”と教えることではなく、失敗から学べる子を育てることです。

 5煮詰まったときは、専門家に相談する

子育て不安が一向に減らないときは一度、専門家に相談を。過度に不安を抱く場合は、不安障害などの病気も考えられます。

過干渉が続くと、子どもはどうなる!? 実録エピソード

過干渉は習慣になってしまうと、なかなかやめられないもの。また幼稚園、小学校などの集団生活が始まると、干渉するターゲットがわが子だけでなく友だちなどに移ることも。親の過干渉が続くと、子どもはどうなってしまうのでしょうか!? ママたちから寄せられた実録エピソードを紹介します。

親の“知りたい欲”を満たすために、子どもが報告魔に

小学校で同じクラスのBくんのママと、先日、おしゃべりをしたら「○○くんと××ちゃんが授業中、ケンカして先生に怒られた」とか「△△くんは、キレやすい性格で口が悪い」とか、クラスの情報をいろいろ知っていてビックリ!「なんで、そんなに知っているの?」と聞いたら、「だって“今日は、学校で何があったの?”って、毎日Bに聞くから」って。”学校のことをいろいろ知りたい!“と思う親の気持ちを察して、Bくんもクラスで起きた事件などを逐一伝えるんでしょうね。ママが過干渉でなかったら、Bくんの性格も違っていたのかも…。(小1・男の子のママ)

小6なのに、友だちトラブルが起きるたびにママにSOSを!

Aちゃんのママは、幼稚園の頃から過干渉で有名。友だちトラブルが起きるたびに、わが子から話を聞くだけでは満足せずに「本当のことが知りたいから!」と相手の子にもケンカの原因やどちらが先に手を出した、どんな悪口を言ったかなど根ほり葉ほり聞きます。そしてAちゃんのママが仲裁役に。それが幼稚園時代から、ずっと続いているのでAちゃんは小6になってもケンカのたびにママを頼る始末。小6だと、友だちとの小さなケンカなどはママに報告しない子が多いのに、Aちゃんの幼さはママの過干渉が原因では!? と思います。(小6・女の子のママ)

 

水島広子先生

精神科医。医学博士。慶応義塾大学医学部卒業・同大学院修了。慶応義塾大学医学部精神神経科勤務を経て、2000年6月~2005年8月、衆議院議員として児童虐待防止法の抜本的改正などを実現。現在は、対人関係療法専門クリニック「水島広子こころの健康クリニック」院長を務める。著書に『そのイライラは手放せます 怒らないですむ子育て』(小学館)、『自己肯定感、持っていますか? あなたの世界をガラリと変える、たったひとつの方法』(大和出版)など多数。

『そのイライラは手放せます 怒らないですむ子育て』水島広子・著(小学館) 

構成/麻生珠恵 写真/石川厚志

 

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