視聴者から大反響の『正直不動産』は見逃し配信も大盛況
山下智久主演のNHKドラマ「正直不動産」(総合毎週火曜22時~)が絶好調です。お仕事コメディというジャンル自体、業界の知られざる舞台裏を掘り起こすという面白さがありますが、本作では容赦なく不動産業界の舞台裏を暴きまくっていて、毎回驚きの連続です。
正直、原作はここまで手の内を明かしてしまって大丈夫!?と心配になるほど、痛快にぶちまけていますが、ドラマも笑って感動できて、しかも学びもあるという3拍子揃った内容となっているので、大手を振るって応援していきたいです。
宇佐川隆史プロデューサーが4月15日時点で発表したコメントでは「お手紙による感想や激励は600通を超え、NHKプラス(見逃し配信)では、記録的な視聴回数(朝ドラ・大河をのぞくドラマの歴代最高値)をマーク、入門編となる「5分で分かる見どころPR(YouTube)」も、1週間で50万再生を突破しました」とあり、データも大いに反響の高さを物語っています。今回も第4回の放送前に、前回の見どころを振り返ってみましょう。
月下が永瀬に語った、良い家の価値観に納得
(以下、ネタバレを含みます)
たたりに遭って、ウソがつけなくなった不動産屋の営業マン・永瀬財地(山下智久)。売買契約がかかった肝心な時にかぎって、風がぴゅーっと吹き、口にしてはいけない本音を洗いざらい吐いてしまう永瀬ですが、毎回お客様第一の“カスタマーファースト”を突き通していくおかげで、ビジネスにおいては追い風も吹いてきました。
そんな永瀬の相棒が、後輩で同僚の月下咲良(福原遥)です。第3回は月下が、初めて自分の境遇を明かしつつ、家の価値観について、自分自身の想いを語りました。
月下の両親はマイホームを購入しましたが、リーマンショックによってローン返済が厳しくなり、離婚してしまったようです。そして母親と月下が新たに入居したのが、かなり年季が入ったボロアパートでした。でも、その部屋からは桜が見え、その景色を母親と見て、とても幸せな気分になれたのだとか。
その時、月下はこう思ったそうです。「家なんてただの箱でしかないんだなと。住む人が幸せだなって思える場所。それこそがいい家なんだなって」
なるほど、確かにそうかもしれません。住む人あっての家であり、そこは一番忘れてはいけない価値観なのかなと。そして、この言葉は永瀬だけではなく、売上至上主義者である永瀬のライバル・桐山貴久(市原隼人)の心をも動かしたようです。
永瀬はもちろん月下も、バカ正直にカスタマーファーストを念頭に仕事をしていきますが、そんな正直者が報われていく展開が、毎回希望を与えてくれます。
夫婦がお互いに信じられるパートナーでいられる秘訣とは?
この回の副題は「信じられるパートナーとは」ということで、3組の夫婦が登場しました。1組は離婚が決まり、高額マンションのローン返済でもめている夫婦、もう1組は妻が主導権を握っている新婚のラブラブカップル、残りの1組はすでにご主人がリタイアしている仲のいい老夫婦です。
この3組の夫婦のエピソードと並走して、永瀬が勤める登坂不動産の提携銀行の融資担当である榎本美波(泉里香)が、永瀬に猛アプローチをするという流れでしたが、今回は信じられるパートナー選びについても考えさせられる回でした。
月下がバックアップする、第二の人生を踏み出した老夫婦は見ていて応援したくなりました。その一方で、マンションの内見に立ち会った離婚間近の夫婦の妻は、マンションの名義などを含め、結婚当初にいろいろなことを話し合ってなかったことへの後悔を口にします。それを受けて、新婚カップルの2人も、きちんとお互いを見つめ合うことを決意する、という流れが感慨深かったです。
夫婦としてのキャリアの違いはあれど、何事においても腹を割って話しあえる信頼関係が大事だなと。そこがまた「信じられるパートナー」のポイントかなと痛感した次第です。
そして、結婚願望が強すぎる美波と、なさすぎる永瀬のやりとりは笑えました。永瀬が彼女を食事に誘った際に「結婚は人生の墓場だな」と身も蓋もない言葉をお見舞いします。さらに「人生最良の日は結婚式の日。では最悪の日は?」と問われると「それ以降の毎日」と大笑い。とどめを刺された美波が激昂して帰ってしまったのは言うまでもありませんね(笑)。
さて、第4回では、次回は「事故物件」が絡む物語ということで、またよからぬトラブルが起こりそう。そして、登坂不動産のライバル会社・ミネルヴァ不動産の社員・花澤(倉科カナ)が本格的に登場し、永瀬に宣戦布告をしますので、乞うご期待。
文/山崎伸子
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本書は、大人気漫画『正直不動産』で取り上げてきたテーマのうちの24テーマを、宅建業者のTwitter集団・「全宅ツイ」の各専門クラスターが数人ずつトーク形式で語る本です。