いつからはじめる?赤ちゃんの習い事。ママに人気の習い事ランキングも

子どもの習い事に低年齢化が起きていると、いろいろな場所で言われています。さすがに「0歳は早いんじゃない?」と感じる人も多いとは思うのですが、実際に0歳児に習い事(親子で参加)を用意するスクールも少なくありません。確かに筆者も、0歳の子どもと一緒に習い事に通う親を身近に知っていますので、一概に早すぎるとは言えないのかもしれませんね。そこで今回は国内外の情報を基に、赤ちゃんの習い事について整理してみました。

赤ちゃんの習い事はいつから?

まず「赤ちゃん」と言っても、「赤ちゃん」とは何歳から何歳までを指すのでしょうか。辞書で調べると、

<赤ん坊を親しみをこめていう語>(『大辞泉』(小学館)より引用)

とあります。文中の「赤ん坊」については、

<生まれて間のない子供。胎児や乳児期の子供をもいう>(同上)

と書かれています。「乳児」とは児童福祉法の定義で言えば「1歳未満の者」を言います。その意味で赤ちゃんとは、0歳児を意味すると言えそうですね。

赤ちゃんの習い事はみんないつからやっているの?

では、0歳の赤ちゃんに習い事を始めさせる人の割合は、全体でどの程度なのでしょうか? ベネッセ教育総合研究所が5年ごとに行う『幼児の生活アンケート』最新版(第5回)を見ると、子どもの年齢ごとに習い事をさせている世帯の割合が数字として出ています。

同アンケートは、0歳6カ月~6歳の子ども(就学前)を首都圏で育てる保護者4,034名に行った調査です。その中で、1歳6カ月~1歳11カ月の子どもを持つ世帯の中で、習い事をさせている家庭の割合は17.0%と出ています。

子どもの年齢が上がるにつれて、習い事をさせる世帯の割合も正比例で高まっていきます。その事実を考えると、子どもが1歳5カ月になる前の「習い事率」は17%以下、0歳児だと月数が低くなるほどに、その割合も下がっていくと考えられます。ちなみに17.0%という数字は、過去の調査(2010年)と比較しても大きな違いはありませんでした。

本当に必要なの!? ママも一緒にできる習い事の選び方

ただ、0歳児は月齢によって成長の度合いが大きく異なります。習い事と言っても、1人で自立してできる活動には制限があります。もちろん、親子で参加する形態が基本。文部科学省は乳児の成長過程について、

<保護者など特定の大人との継続的な関わりにおいて、愛されること、大切にされることで、情緒的な絆(愛着)が深まり情緒が安定し、人への信頼感をはぐくんでいくが、特にスキンシップは大きな役割を果たすと言われている>(文部科学省のホームページより引用)

と書いています。赤ちゃんへの習い事を提供するスクールのレッスン内容をざっと眺めてみても、習い事を通じてスキンシップを図るプログラムが主流の様子。例えば年齢に関係なく人気のスイミングには、0歳から始められるスキンシップ中心のベビースイミングがあります。音やリズムで基礎を養うリトミックでも、0歳の子どもと親でスキンシップを図りながら進めるプログラムが開発されています。

ノーベル経済学賞を受賞したアメリカの経済学者ジェームス・ヘックマンの論文『Policies to Foster Human Capital』を読むと、IQテストや学力テストなどでは数値化できない、人間としての支えとなる自己肯定感や社会性、社会規範のような力の育成は、成人してからの子どもの社会的な成功に大きく影響すると言います。また同氏は、教育の「費用対効果」は子どもが0歳を頂点に、未就学児、就学児、社会人と成長していくに従って、落ちていくと同論文で指摘しています。

文部科学省によれば、乳児の年代は、

<特に、視覚、聴覚、嗅覚などの感覚は鋭敏>(文部科学省のホームページより引用)

だと言います。習い事という形を選ぶかどうかは別として、親子のスキンシップを主体としながら、子どもの視覚、聴覚、嗅覚を刺激する活動には、決して少なくない意義があると言えるのかもしれませんね。

赤ちゃんとママに人気の習い事ランキング

0歳児に何かを習わせるとしたら、どのような活動が人気なのでしょうか? 乳児に習い事をさせている家庭が少ないせいか、0歳児の習い事に関する信ぴょう性の高いデータは容易に見当たりませんでした。しかし、先ほどのベネッセ教育総合研究所『第5回 幼児の生活アンケート』では、1歳6カ月〜3歳11カ月の子ども(未就園児)の習い事について、数字が出ています。

0歳児は、1歳6カ月〜3歳11カ月の子どもと生活パターンも似ています。1歳6カ月〜3歳11カ月の子どもと、習い事も似てくるはず。さらに1歳6カ月〜3歳11カ月の子ども(未就園児)に人気の習い事から、0歳児には不可能な活動を除けば、ある程度赤ちゃんに人気の習い事も見えてくるはずです。

1歳半から3歳11カ月の子ども(とその家庭)では、「習い事をしていない」(70.1%)という回答が圧倒的に多いです。一方、「習わせている」という家庭で人気の習い事は、以下の通り。


「ベネッセ教育総合研究所『第5回 幼児の生活アンケート』」をもとに作成1位:バレエ・リトミック(8.6%)
2位:通信教育(7.5%)
3位:スイミング(6.3%)
4位:体操(5.0%)
5位:英会話(4.2%)
このなかから0歳児に不可能な習い事をピックアップするとなれば、一般的にはバレエ、通信教育、体操、英会話が挙げられるでしょうか。

しかし、バレエにもベビー用のクラスを開講しているケースがありますし、バレエとリトミックを合体させたバレエリトミックも出てきています。通信教育については、0歳児を対象とした七田式など早期教育の教材も通信で申し込みできますし、絵本の定期購読も存在します。体操については親子で楽しむベビー体操があります。英会話の「習い事」も、英語CD(聞き流し用)を使うレベルであれば物理的に可能です。そうした事実を受けて、上位の回答をベビー用に分解したり合体させたりとまとめ直して、赤ちゃんに人気の習い事をリストアップしてみました。

その1:ベビー運動(ベビー体操やベビーバレエなど)

0歳児は自分で立ち上がってバレエを踊るなどは不可能です。しかし親子のスキンシップを軸にしたベビー体操や、ベビー体操とバレエを組み合わせたベビーバレエであれば、十分に習い事の選択肢に入ってくるはず。親子で触れ合いながら、家とは異なる環境で体を動かす時間は、子どもにはもちろん親にもいい影響がありそうですね。

その2:リトミック

リトミックとは、音やリズムを中心とした教育法です。もちろん0歳児向けのクラスも各地で展開されています。先ほど紹介した文部科学省の言葉によれば、乳児の視覚、聴覚は鋭いと言います。それらの感覚に心地よい音楽や声の刺激を与えながら親子で触れ合う時間は、好ましい効果が期待できそうですね。

その3:通信教育(七田式など早期教育の通信教材や、読み聞かせ絵本の定期購読、英語のCDなどを含む)

七田式など早期教育の分野で評価されている習い事にも、通信教材が用意されています。例えば七田式の場合、知恵、文字、数、右脳、生活力を高める通信教育プログラムと教材が、0歳児向けに開発されています。小学館を筆頭に各出版社には、定期的に読み聞かせ用の絵本が読者の自宅に届く定期購読サービスがありますし、英語のCDをかけ流す「英語レッスン」も世の中にはたくさん存在しています。

その4:ベビースイミング

水の特性を最大限に利用しながら、水中で親子のスキンシップを図る0歳児向けベビースイミングも全国で展開されています。主にスポーツクラブやスイミングスクールが会場になります。同じ0歳児でも生後6カ月など、参加可能な年齢に制限を加えているケースが一般的ですが、子どものみならず親も大いにリフレッシュできそうですね。

以上が、ベネッセ教育総合研究所『第5回 幼児の生活アンケート』をベースに、0歳児にも人気だと予想できる習い事になります。子育て真っ最中である筆者の身の回りを見て考えても、それほど現実からかけ離れたランキング結果ではないはず。0歳から習い事を始めさせたいと考える人は、親子のスキンシップを重視しながら、視覚・聴覚・嗅覚などを大いに刺激する習い事を始めて見ると、何らかの「効果」を得られるかもしれませんね。

【参考】

第5回 幼児の生活アンケート – ベネッセ教育総合研究所

習い事は0歳から?子どもの習い事に関するアンケート調査!【2017年】 – cozre

Policies to Foster Human Capital – James J. Heckman

Inequality in America: What role for human capital policies? – University of Wisconsin

基本的モラルと社会的成功 – 独立行政法人経済産業研究所

第6回21世紀出生児縦断調査結果の概況 – 厚生労働省

文/坂本正敬 写真/山本彩乃

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