Q:暴力的なアニメや動画を見せると、どうなりますか?
先日、私が夕飯の支度をしていたところ、息子がタブレットで人がバッサリと切られて血がほとばしるアニメを見ていたのです。
私はびっくりして「なんてもの見てるの!」と慌てて動画を消しました。すると、息子は「学童の3年生の○○君がおもしろいよって、教えてくれたんだよ」と言うのです。今どきの小学生はこういうものも見るのかと驚きました。
このような暴力的なアニメを1 年生のうちから見せてもよいのでしょうか。私は暴力的な人間になるのではないかと怖くなりました。(N・O さん)
A:わが子がどう感じているか、まずは話を聞きましょう。
7、8歳までの子どもは、現実の世界とバーチャルな世界の区別がつきにくく、だからこそ怖い番組を見たりすると素直に怖がります。ですから、暴力的な子どもになってしまうと考える以前に、トラウマを受ける可能性のほうが心配です。
このお母さんは、わが子が暴力的な映像を見ていることに気づけてよかったと思います。慌てて消してしまったことはあまりいい対応とはいえませんが、可能でしたら、子どもにこのアニメのどこがおもしろいと感じたのかたずねてみましょう。
「この前、あなたが見ていたアニメ、お母さんびっくりしちゃった! 慌てて消しちゃってごめんね」と気持ちと謝罪を伝え、「今度はお母さんも一緒に見たいな。でも怖いから、そばにいてね」などと話を進めましょう。
そして一緒に見ながら、「お母さんはこの場面は怖くて見られない」「あなたはここのどのあたりがおもしろいと思うの?」などと、会話の糸口にするといいと思います。
その会話のなかで、この子が何を感じているのかを見いだしましょう。子どもが人の生死や暴力で、痛い思いをすることを理解していないと感じたら、しっかり伝える必要があります。
日常のなかで子どもがイメージしやすいことを取り上げると伝わりやすいでしょう。例えば「アイロンのスイッチを入れるとものすごく熱いよね」「もし触ったら、ものすごく熱いしヤケドするよね」と説明すれば、子どもも想像しやすいですよね。日頃から子どもが転んで痛い経験をしたときにも、あえて「痛いよね」と言葉に出して伝えていくことが大切です。
映像を見て、親が感じたことを子どもと共有すること。そのためには親子で一緒に、できればタブレットではなく、テレビなどの大きい画面で見てほしいなと思います。
私がお答えしました
1925年創刊の児童学習雑誌『小学一年生』。コンセプトは「未来をつくる“好き”を育む」。毎号、各界の第一線で活躍する有識者・クリエイターとともに、子ども達各々が自身の無限の可能性を伸ばす誌面作りを心掛けています。時代に即した上質な知育学習記事・付録を掲載し、HugKumの監修もつとめています。
『小学一年生』2022年9月号別冊『HugKum』
イラスト/かまたいくよ 構成/天辰陽子