自己ベスト100メートル11.32!超瞬足の髙橋萌木子さんに、「子どもが速く走るコツ」を聞いてみた!

速く走れるようになれば、スポーツももっと楽しく、前向きになれますね。速く走りたいという子どもたちのために、オリンピアンの髙橋萌木子さんに速く走れるようになるコツや練習法を教えてもらいました。すぐ取り入れることができる実践的ハウツーをご紹介します!

教えてくれたのは 100メートル自己ベスト11.32の髙橋 萌木子さん


髙橋 萌木子さん (たかはし ももこさん)

1988年11月16日生まれ(33歳)埼玉県三郷市出身。元陸上選手。高校3年間、インターハイ100mで史上初となる三連覇を達成。大学時代は関東インカレ・日本インカレともに100m4連覇、日本選手権も制し、世界陸上に出場。日本短距離界を圧倒的な強さで牽引してきた。ユニバーシアードの100mで銀メダル、ユニバーシアードの個人短距離種目 (ハードル種目を除く)において日本人女子初のメダリストとなる。現在は、走り方教室やメンタルトレーナーなどで活躍し、育成にも力を入れている。

【自己記録】
100m 11秒32(2009年)日本歴代3位
200m23秒15(2009年)日本歴代2位
4×100mリレー43秒39(2011年)日本歴代2位(前日本記録)

https://www.instagram.com/takahashi_momoko_official/

実際に小学生4人が走って課題を発見


今回レッスンに参加したのは、さいもんさん(5年生)、だいちさん(4年生)、つむぎさん(4年生)、れなさん(3年生)の小学生4名。はじめに、普段の走り方でタイムを計ります!参加者4名が50メートルを走っている姿を動画で撮影し、フォームをチェック!

自分が走っているときのフォームを動画で確認。スタート時の姿勢、走っているときの姿勢や足の動かし方、手の振り方を見て、髙橋さんがそれぞれのいいところと、課題を見つけアドバイスをしてくれました。子どもたちは自分のいいところに気づけたことで自信が生まれ「もっと練習したい!」と前向きに。アドバイスを元に真剣に練習に取り組みました。

徒競走で少しでも早く走りたい!走るときにおすすめの靴の選び方は?

まずはじめに、走るときに用意する靴の選び方について教えてもらいました。

髙橋さん走るときに靴の中で指が開いた状態になるのがベストなので、靴の中で指が曲がってしまうような小さなサイズの靴はNG。サイズが大きすぎても、靴の中で足が動いてしまうので、ちょうどいいサイズの靴を選んであげてください。

スポーツシューズで軽いタイプのものがおすすめですが、子どもが自分が履いていてテンションが上がる靴を選ぶのが一番です。

その方が、走りたい!という力になると思います。靴ひもは、足が包まれる程度にして、緩すぎず締め付けすぎないようにしましょう。

今すぐ改善できる!子どもにもわかりやすいチェックポイントは3つ

4人の走り方から見えてきた改善ポイントをご紹介します。ご自身のお子さんともチェックしてみてください。

ポイント①スタートの時の姿勢

右足と左手、左足と右手など,1歩目が出しやすい自分の形を探してみてください。手は自然に下ろしておいても、しっかり構えてもOK!両足はつま先からかかとまで、まっすぐ走る方向を向けて。つま先が外側や、内側に向きすぎないようにしてください。

スタートのフォームがわかりやすい練習方

重たい荷物を押すイメージで、体をたおします。上の写真のように親御さんやごきょうだいでサポートしてあげるとわかりやすくなります。

ポイント②走り出したら 腕の振りやフォームを意識!

最後まで目線は落とさずゴールの先をしっかり見る。腕は折りたたんだ形で前後に振る。出来るだけ速く振るのがポイント。腕を伸ばして振らないように気を付けましょう。

ポイント③足の着地面が大切!


髙橋さん:走っているときに、かかとから着地している子どもが何人かいました。

縄跳びをしているときに着地するところ、つま先あたりで着地するように足を動かしましょう。また、走っているときに腰が曲がらないように姿勢を意識することも大切です。

この3つのポイントに注目し、お子さんの走りをチェックして、いいところや改善点を伝えてあげてください。全部を一気にやるのは難しくても、「スタートの腕と足の出し方」だけ「走るときは前を見る」だけ、などアドバイスは絞って伝えていくと、小さなお子さんでも取り組みやすいでしょう。

自分でできるおすすめトレーニング方法

髙橋さんから走り方のアドバイスをもらい、みんなでもっと速く走れるように、おうちでもできるトレーニング法を教えてもらいました。

片足けんけん


片足立ちをして、反対側の足はつま先をまっすぐにしてしっかり上げます。体を支えている足がぐらつかないように、体がまっすぐな棒になっているようなイメージで膝を伸ばしたまま、けんけんしましょう。

慣れてきたら、今度は手の動きも加えて前に進むようにけんけんします。両手で小さく前ならえのかたちをつくり、おへそはまっすぐ前を向いたまま両腕を早く振りながら片足けんけんをします。足が床に着地するとき、縄跳びの着地を意識しながらトレーニングします。

※マンションなど集合住宅にお住まいの方は、階下への騒音に気を付けてください。


走るときは片足で体を支えているので、足首、ふくらはぎを鍛えることがポイントです。前に進もうとすると腰がまがったり、姿勢が崩れやすくなるので姿勢を保ち目線もまっすぐ先を見るようにしましょう。

それぞれ、アドバイスをもらってから練習して走ってみたら好記録に!

さいもんさん:自分では気が付けなかった欠点を教えてもらって、これからはそこを気を付けてもっと速く走れそうです!

だいちさん:スタートのときや走っているときの姿勢を教えてもらった後に走ったら、速く走れるようになって嬉しいです。

つむぎさん:走っているときに無意識に下をむいていたけれど、前を向くように意識したら速く走れるようになりました。

れなさん:1年生のときより走るのが遅くなってたけど、今日教えてもらって練習したら速く走れたので練習頑張ります。

教えてくれた髙橋萌木子さんにインタビュー


髙橋萌木子さんは、小学生時代どれくらい足が速かったのでしょうか。

髙橋さん:子どもの頃から走るのは好きでした。小学1年生から少年野球をやっていて、その中で足が速いから市内大会に参加してみない?と声を掛けられ、出場したら1番になり、そのときはじめて自分の足が速いことを知りました。

走ることの楽しさに気づいたエピソードや、短距離を専門にしようと思ったきっかけなどもぜひ教えてください。

髙橋さん:走るのが好きだったので、好きなことで1等賞になれるのは嬉しかったです。

短距離走に専念しようと思ったのは、楽しいからではなく悔しい思いをしたことがきっかけです。

中学生の頃はソフトボールでオリンピックを目指していたのですが、陸上選手として国体に参加したときに負けたことを機に短距離で勝負したいという気持ちになり、競技を転換しました。

小学生の頃よくやっていたこと。習い事や、好きだった遊びなども教えてください。

髙橋さん:私には、歳が離れた双子の兄がいてサッカーと野球を習っていました。

親が高校野球が好きで、私も野球を習うようになりました。休み時間や放課後は、サッカーや卓球、バトミントンなど体を動かす遊びが好きでしたね。運動全般が好きな訳ではなく、持久走、水泳は苦手でしたが負けず嫌いなので意地で1位を狙って頑張ってました(笑)。

スポーツに取り組む髙橋さんに、親御さんや周囲の方はどんなふうに声がけをしてくれていたのでしょうか。

髙橋さん:母はいつも、好きなことをやりなさいと背中を押してくれました。スポーツに取り組んでいるときは、叱られるより褒められることが多かったですね。できているところを褒めてから、できないところのアドバイスをしてくれるので、自分の気持ちが保った状態で改善点に目を向けられました。

もしそれが、頭ごなしに怒られてから改善点を指摘されていたら、やりたくなくなってしまったり、気持ちが落ち込んでしまいますよね。「できてるよ!いいよ!」と言われることが原動力になり、「自分はできるんだ!」と思うことがパワーの源になると思うので、声のかけ方は大事で母は、私の短所を理解してくれたうえで、長所を活かしてくれた育て方だったと思います。

みなさんもお子さんに何かアドバイスをするときには、まずできているところをたくさん褒めてから、一つアドバイスをしてあげてください。前向きに練習に取り組めると思います!


髙橋さんから子どもたちにメッセージをお願いします。

髙橋さん:とにかく自分が好きなことをやってください。そして、好きなことと自分を信じること。あとは、できることをもっとできるようになるようにする。できないことを気にするのではなく、今できていることに対してどうやったらもっとできるようになるのかを意識して欲しいと思います。
まわりと同じカラーに染まるのではなく、苦手なことも気にならないくらい長所や個性を活かして、自分のカラーを引き出せるように頑張ってください。

親子で一緒に楽しみながら、速く走る練習をしてみよう!

終始楽しみながらレッスンに取り組み、ほとんどの子がベストタイムを更新していました。フォームはスマートフォンなどで撮影し、コマ送りをすると確認しやすいです。スタートのフォームや、走っているときの腕の振り方、足の着地面を意識して練習してみてください!

髙橋萌木子さんのTwitterもチェック!

https://twitter.com/@qz_mental

 

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取材・文/やまさきけいこ

撮影/五十嵐美弥

構成/HugKum編集部

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