エチオピアってどんな国?
コーヒーといえばエチオピアが有名ですよね。日本の3倍ほどの面積があるエチオピアは、世界有数のコーヒー豆の産地として知られるアフリカの国です。またアフリカ最古の独立国でもあります。
そんなエチオピアでは、どんな人々がどんな風に暮らしているのでしょうか。この記事で詳しくご紹介していきます。
エチオピア基本情報
まずは、エチオピアの基本情報からチェックしましょう。
国名
エチオピア連邦民主共和国
首都
アディスアベバ(Addis Ababa)
場所
エチオピアがあるのは、アフリカ東部。インド洋と紅海に向かって角(つの)のように突き出た部分は「アフリカの角」と呼ばれていますが、エチオピアもそのひとつ。北にエリトリア、東にジブチ、南東にソマリア、南にケニア、西に南スーダン、北西にスーダンと隣接している内陸国です。
日本との時差
6時間(日本の方が6時間進んでいます)
面積
109.7万平方km
日本の総面積は37万8000平方㎞で、エチオピアは日本の約3倍の面積があります。
エリア
エチオピアには11の州と2つの自治区から構成されています。
人口
1億1787万人(2021年の世界銀行のデータ)
日本の人口は1億2477万人(2023年1月1日時点)なので、エチオピアの人口は日本の人口よりやや少ないと言えます。
言語・公用語
アムハラ語、オロモ語、英語など
通貨
ブル(BIRR)
1ブル=約2.5円(2023年2月16日時点)
宗教
キリスト教、イスラム教など
歴史
アフリカの国としては珍しく、エチオピアは1936年から5年の間イタリア領となったほかは、植民地化されず独立を保ってきました。
また隣接するエリトリアは、もともとエチオピアとひとつの国家でしたが1993年に分離独立しました。
その後、エチオピアとエリトリアの間で国境紛争が発生。2000年までの停戦までに多くの死者を出し、現在でも両国では長いこと緊張状態が続いています。
1962年 エリトリア地方併合
1974年 革命により王制廃止、社会主義国家建設宣言、臨時軍事行政評議会(メンギスツ議長)設立
1977~1978年 オガデン紛争(ソマリアと交戦)
1984年 エチオピア労働者党(メンギスツ書記長)設立
1987年 エチオピア人民民主共和国樹立
1991年5月 エチオピア人民革命民主戦線(EPRDF)首都侵入、メンギスツ政権崩壊
1991年7月 エチオピア暫定政府成立
1993年5月 エリトリアがエチオピアから分離・独立
1995年5~6月 第1回国会選挙(連邦下院選挙及び地方議会選挙)実施
1995年8月 暫定期間終了、エチオピア連邦民主共和国樹立、メレス新政権樹立
1998年5月 エチオピア・エリトリア国境紛争勃発
2000年5月 第2回国会選挙
2000年12月 エリトリアとの包括的和平合意成立
2002年4月 国境委員会によりエリトリアとの(地図上の)国境線確定
天気・気候
エチオピアは熱帯モンスーン気候ですが、標高によって主に3つの気候ゾーンに分けることができます。国土の大部分を占める標高2400メートルのエチオピア高原は、冷涼な気候で気温は7~12℃。標高が1500~2400メートルの地域は、温帯。標高1500メートル未満は熱帯地域で、気温は25℃以上になります。季節は3つに大別できて、2月から5月の「小雨季」、6月から9月の「大雨季」、10月から1月の「乾季」があります。
エチオピアの治安・住みやすさ
エチオピアの治安や住みやすさはどうなのでしょうか。
治安は悪く危険
外務省「海外安全ホームページ」によると、2022年2月16日時点でエチオピアの危険レベルは、2~4。2023年2月には一部地域の危険レベルが引き上げられています。
退避勧告が出されているレベル4の最も危険な地域は、南スーダンとの国境地帯やエリトリア、ソマリア、スーダンとの国境地帯。2016年に南スーダンから越境したムルレ族の襲撃で、200名以上が殺害され、145名の子どもが拉致されるほか、武装集団による襲撃や拉致が頻発しています。
またイスラム過激派組織が、過去に首都アディスアベバで爆弾テロ事件を起こしたこともあります。ここ数年でエチオピア国内で大規模なテロ事件は発生していませんが、一部のイスラム過激派組織はエチオピアを攻撃対象国としており、テロ活動が行われる危険が常にあります。
住みやすさは良くない
エチオピアの国全体で治安が悪いことに加え、電気や水道などのインフラが整っていない地域もあり、さらに近年は干ばつが深刻化していることもあります。そのような状況を考えると、エチオピアは住みやすい国とは言えないでしょう。
エチオピアの見どころ・観光
日本の3倍の国土があるエチオピアには、数多くの世界遺産があります。主な観光スポットをご紹介しましょう。
ダロール火山
エチオピアの観光スポットの中でも、神秘的な光景が広がる場所として人気なのがダロール火山。首都アディスアベバから北に600㎞ほど離れた場所にあります。硫黄などの鉱物などが混ざりあい、黄色や緑色の不思議な色があたり一面に広がっており、別の惑星にでも訪れたような気分になります。
ソフ・オマール洞窟
ソフ・オマール洞窟は、ウェブ川の浸食によって長い年月をかけてできた巨大な洞窟。全長は1.5㎞にも及び、アフリカ最大級といわれています。雨季は雨によって水量が増し、中に入ることはできません。訪れるのなら乾季にあわせて行くといいでしょう。
ラリベラの岩窟教会群
エチオピア北部標高3000mの場所にある世界遺産。4世紀にキリスト教が伝来して以降、アフリカで唯一キリスト教が根付いたエチオピアにおいて、ザグウェ朝7代国王ラリベラにより、12~13世紀にかけて建造された教会群です。
ブルーナイルの滝
エチオピア西部にある同国最大の湖、タナ湖にある滝。ナイル川の水源となる場所です。最大落差は45メートルあり、しかも滝の幅が数百メートル以上もあるため、迫力満点。水量が増す雨季に訪れると、よりダイナミックな景色を臨めます。
ゴンダール
ゴンダールは標高約2,000mでタナ湖の東側に位置します。17~18世紀にかけてエチオピア帝国の首都であった旧都で、ソロモン朝ゴンダール期の王宮群が現在も残っています。中でも最大規模のファジル・ゲビ王宮には歴代の皇帝が建設した6つの宮殿や12ヵ所の城門が残されています。1979年にゴンダールはユネスコの世界遺産に登録されました。
エチオピアの特徴・有名なもの
エチオピアといえば有名なものもいくつかあります。
コーヒー豆
エチオピアはコーヒー豆の産地として、世界に知られています。エチオピア産のコーヒー豆は世界でも最高級の香りを持つと言われ、フルーティな香りや強い酸味が特徴。
そんなアラビカコーヒー発祥の地と言われるエチオピアでは、日本の茶道と同じように儀式としてコーヒーを飲む「コーヒー・セレモニー」という伝統的な習慣があります。コーヒーを飲むという作法に、精神的な意味や他者への感謝などの気持ちが含まれているのだそうです。
深刻な干ばつ
エチオピアは近年、深刻な干ばつに見舞われています。エチオピアのアファール州、オロミア州、南部諸民族州(SNNPR)、ソマリ州の低地では、雨季に3年連続で雨が降らなかったことから、作物が枯れたり、家畜が死んだり、井戸が枯渇したりしています。
ユニセフでは、2022年3月中旬までに緊急人道支援を必要とする人は680万人にのぼると発表しています。
食料不足
エチオピアでは、南スーダンやソマリアなどの隣国からの難民が大量に流入したことで、経済に大きな影響を受けてきました。さらにソマリアとの長年にわたる紛争や、近年の気候変動によって、多くの人が食料不足に見舞われています。
WFP国連世界食糧計画の発表によると、エチオピア北部のティグライでは約40%の人々が極度の食料不足に陥っているそうです。
コーヒー豆の産地として知られるエチオピア
コーヒー豆の産地として有名なエチオピア。治安には不安な面が多く、しかも食料不足や干ばつに苦しめられている国でもあります。一方で、キリスト教の文化や、コーヒー・セレモニーのような独自の伝統が根付いている側面もあります。
エチオピアがどんな国か、考えたことがある方は少ないかもしれません。でもエチオピアコーヒーを飲むときなどは、遠い国の生活や人々について想像してみてはどうでしょうか。
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文・構成/HugKum編集部