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100円ショップのスマホ用マクロレンズで「小さな世界」をのぞいてみよう!
小さな虫や花、印刷された文字……。だれでも一度は身の回りの小さな物をルーペで見たり、顕微鏡で見たりした経験があるでしょう。肉眼では見えにくい小さな物が、大きくクローズアップされ、ハッキリ見えるとそれだけでワクワクしますね。じつはスマートフォンに100円ショップのスマホ用マクロレンズを着けると、そんな感動体験が簡単にできるんです!
「マクロレンズでのぞいた小さな世界には、発見や驚きがいっぱい! 理屈抜きでおもしろいですよ。まずは身の回りの物をいろいろのぞいて楽しんでみましょう」
と話すのは、地学教諭の上村剛史先生。スマホ用マクロレンズを使った、親子でできる「観察遊び」を楽しむコツを教えてくれました。
ルーペや顕微鏡よりも、100円ショップのマクロレンズが楽しめる理由
マクロレンズというのは、小さなものにグッと近づけて大きく写すことのできるレンズ。スマートフォンのカメラは、被写体に近寄り過ぎるとピントがぼけてしまいますが、マクロレンズなら顔を近づけるように接近しても大丈夫。肉眼では見えにくい小さい物も大きくハッキリと見えます。
親子コミュニケーションにも最適
本格的なカメラに装着する高性能のマクロレンズはとても高価。でも100円ショップのスマホ用のマクロレンズなら、安価だし簡単に装着できるので気軽に使えます。しかも親子一緒にスマホの画面を見ておしゃべりできるのもいいところ。ルーペや顕微鏡の観察では一人しかのぞけませんから、その点でも優秀です。
子どもにとって、程よい拡大感が楽しめる
また、顕微鏡はピントを合わせるのが意外と難しく、また拡大倍率も大きいため、いきなり肉眼では見えない「細胞」が映し出されても、「なんだかよくわからない」と感じることも。マクロレンズはほどよく拡大されるので、「これを大きくすると、こんな風に見えるんだ!」という大きさの感覚を得やすいのです。
使い方はとっても簡単。写真のようにクリップの先端にマクロレンズを装着して、スマートフォンのカメラのレンズ部分に重なるように挟んで使います。これでセット完了。
まずは身の回りのものから「小さな世界」を見てみましょう
さて、これは何でしょう?
答えはみなさんが毎日口にしているもの、「塩」と「砂糖」です。上から「上白糖、グラニュー糖、ザラメ」、一番下が「塩」です。ふだんは「粉みたい」と思っている塩や砂糖って、実はこんな形をしているんですね。
ザラメはもともと「茶色くて四角い」ですが、マクロレンズでのぞいてみると、まるで宝石のように美しいでしょう?
小さな世界の楽しみ方
観察遊びでは、親は「塩の結晶っていうのはね……」などといった難しい解説をする必要ありません。まずは「わあ、きれい!」「おお、すごい!」と子どもと一緒に驚き、発見することを楽しみながら、「小さな世界」にどっぷり浸かってみてください。
そうした遊びのなかで、子どもが「どうしてこんな形をしているんだろう?」「あの〇〇は何かな?」などと聞いてきたら、「どうしてだろうね?」「何かな?」と、一緒に考えるといいですね。
もちろん理由を知っていれば、教えても構いません。わからないときは「知らない」で済ませるのではなく、「一緒に調べてみようか」と誘い、図鑑や事典などで調べるといいですね。子どもの好奇心、探求心がさらに刺激されますし、親と一緒に調べたことで満足感も深まります。それが大きくなって学びのモチベーションにもなるのです。
とはいえ、まずはあまり深く考えずに家にあるものを「これはどうかな?」「あれはどうかな?」と一緒に見ていくことをお勧めします。
では、これは何だと思いますか?
消臭剤のビーズ? いいえ、違います。お菓子や海苔の保存などに使われる「シリカゲル(乾燥剤)」です。
では、これは?
そう、お札です。普段なにげなく触っているお札も、よく見ると小さな文字や細かい線・模様でいっぱい。よく見るとハートみたいな模様もあってなんともお茶目。私は気になって福沢諭吉さんの鼻の穴まで見てしまいました!
これなどは、親子で「‶日本銀行〟の文字はどこにあるでしょうか?」などといったクイズもできそうですね。
スマホ用マクロレンズで撮影するときのコツ
ルーペや顕微鏡と違い、スマホで見ているので、そのまま写真を撮れるのもいいところ。親子で「小さな世界」の写真を撮り合うのも楽しいですね。
マクロレンズの撮影のコツを知っておこう!
そのまま写真を撮って保存したいのであれば、ちょっとした撮影のコツを覚えておくといいでしょう。
例えば、スマホを近づけると見たいものがスマホの影になってしまうときは、横からライトを当てると明るくなり、よりきれいな写真が撮れます。また、撮りたい物だけがはっきりわかるように、背景に白い紙や黒い紙を使うのも方法です。
もう一つ。これは?
鉛筆で紙にかいた「あ」の文字です。すべすべに見える紙の表面はじつはザラザラしていて、柔らかい炭でできた鉛筆の芯が削り取られるようにして吸着しているのがわかります。
素材を変えて「比較」してみるのも大事
親子で「ほかの紙(ティッシュ、コーヒーのフィルターの紙など)はどうかな?」「鉛筆ではなくて、水性ペンならどうかな?」と、紙や筆記具の種類を変えて発展させることができそうです。
普段何気なく食べたり、使ったりしているものも、マクロレンズで焦点を当てると、思いがけない美しい色や形、こまかく複雑な構造があることに気付きます。そんな「大発見」をおうちで子どもと一緒に探してみてください。
こちらの記事では「マクロレンズで観察・野外編」をお送りします!