「捲土重来」の使い方は? 読み方や意味、由来から関連用語までをご紹介!

失敗や敗北をした人が、一度引き下がってから再び巻き返すことを言い表す『捲土重来』という四字熟語。今回は、『捲土重来』の意味や語源、例文、関連用語を一挙にお伝えしていきます。

「捲土重来」とは?

まずは、『捲土重来』の意味と語源を押さえておきましょう。

読み方と意味

この四字熟語は『捲土重来』と書いて「けんどちょうらい」「けんどじゅうらい」と読みます。一度敗れた人が、再び勢いを取り戻して巻き返すことを意味した四字熟語です。

由来・語源

『捲土重来』は、中国王朝の唐の時代の詩人・杜牧(とぼく)が、武将・項羽(こうう)の死を悼み詠んだ詩に由来します。

紀元前202年に、楚の将軍家の血筋を受け継ぐ項羽の楚軍と、庶民の生まれであった劉邦(りゅうほう)の漢軍が天下を争いました。「垓下(がいか)の戦い」と呼ばれるこの戦に勝利したのは、劉邦。戦いに敗れた項羽は自決してしまったのです。

その際に杜牧によって詠まれたのが、
“巻土重來 未だ知る可(べ)からず”
というもの。

「捲土」は土煙を巻き起こすこと、「重来」は再び来ることを意味し、この詩は「(項羽が)土煙を巻き上げて再度戻って来ていたなら、結果はどうなっていたかわからなかった」と意訳することができます。

この詩から『捲土重来』が使われるようになり、のちに四字熟語として浸透していったと考えられます。

ポジティブなニュアンスで使うのが基本!

前章でお伝えしたように、『捲土重来』はもともとは項羽の死を悼み詠われた杜牧による詩に由来しています。杜牧の詩からは、負けた項羽がもう戦に戻って来なかったことへの悔恨の意も読み取れましたね。

しかしながら、四字熟語として現在使われている『捲土重来』は、基本的には、ネガティブな状況をポジティブに変えるような前向きな意味合いで使われるので要注意。「起死回生」や「リベンジ」と同義であることを覚えておくと、イメージしやすいのではないでしょうか。

使い方を例文でチェック!

では、実際にはどのような形で『捲土重来』は使われるのでしょうか。ここからは、例文を通して『捲土重来』の使い方を見ていきます。

1:あのチームは一回戦では敗北してしまったが、二回戦以降で【捲土重来】を果たし、最終的には勝利した。

一度は負けてしまったものの、その後巻き返して、試合全体では勝利したという例文。このように、「物事を成し遂げる」「遂行する」といった意味を持つ「果たす」と組み合わせて使うことができます。

2:【捲土重来】を期して、不合格だった試験に再度チャレンジし、ついには受かった。

「決心する」「心に誓う」といった意味合いの「期する」とともに用いるのも一般的な使われ方です。「リベンジを決心して〜」といった意味合いで活用できる表現です。

3:昨年の業績が芳しくなかったあの企業は、【捲土重来】を図って新たなプロジェクトを打ち出した。

『捲土重来』は、このようにビジネスシーンでも頻出する言葉です。ビジネスにおいて名誉挽回したい場合や、業績の巻き返しを心に誓った場合などに使ってみましょう。

類語や言い換え表現は?

『捲土重来』には、言い換えに使える類語も存在しています。どのようなものがあるか、あわせてチェックしておきましょう。

1:起死回生(きしかいせい)

『起死回生』とは「死にかけた人を生き返らせる」という意味で、「絶望的な状況から立て直すこと」をたとえた四字熟語です。多くの場合、言い換えることが可能な代表的な類語といえます。

2:名誉挽回(めいよばんかい)

『名誉挽回』は「一度失われた名誉を取り戻すこと」を言い表す四字熟語。マイナスな状況を巻き返すことを意味している点において、『捲土重来』の類語と言えるのではないでしょうか。ただし、取り戻す対象が「名誉」や「信頼」等に限られる点が、『捲土重来』とは異なるので要注意。

3:失地回復(しっちかいふく)

「失われた土地を取り戻すこと」を意味する『失地回復』。土地に限らず、地位や勢力などを取り戻すことにも使える言葉です。『捲土重来』よりも「失ったものを取り戻す」ニュアンスが強い点を覚えておきましょう。

対義語は?

『捲土重来』には、明確には対となる対義語が存在しません。ここでは、反対の意味にあたる言葉をご紹介します。

1:再起不能

『再起不能』は「失敗や挫折をして、以前の状態に戻れないこと」を指す四字熟語です。「失敗や挫折から巻き返すこと」を意味する『捲土重来』とは反対の言葉と言えるのではないでしょうか。

2:一蹶不振(いっけつふしん)

「一度の失敗で挫折し、立ち直れなくなってしまうこと」を意味する『一蹶不振』。「一度失敗して引き下がったのち、再び勢いを取り戻すこと」を指す『捲土重来』の反対を言い表したいときに使える言葉ですね。

英語表現は?

では、『捲土重来』は英語ではどのように表現できるのでしょうか。ここでは、『捲土重来』を英語で言いたいときに使える表現をお伝えしていきます。

1:regain strength back

“regain strength back”は『強さを取り戻す』という意味。
失敗や敗北によって一度は勢いを失っても、再び巻き返すことを言い表す『捲土重来』の英語表現として使うことができます。

2:return to the attack/revenge

「やり返す」「復讐する」といった意味合いをもつ“return to the attack”や“revenge”。仕返したい対象がいるシーンに限られる点が『捲土重来』とは少々ニュアンスが異なります。試合や対戦等において使える表現です。

「捲土重来」は、座右の銘として使われる場合も

今回は、四字熟語『捲土重来』の意味や由来、使い方、関連表現をお伝えしてきました。

一度は敗北・失敗をしても、諦めない意志を表す際に用いられやすい『捲土重来』。座右の銘としてこの四字熟語を挙げる方も少なくないようです。ここぞというときに、ぜひ使ってみましょう。

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文・構成/羽吹理美

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