「有象無象」って読める? 意味、語源・類語・対義語・英語表現までを一挙解説!

「有象無象」という四字熟語を知っていますか? 今回は「有象無象」の意味や語源、使い方の例文、関連用語、英語表現までをご紹介していきます。

「有象無象」(うぞうむぞう)とは?

日常的には聞き慣れない「有象無象」という言葉。まずは、そんな「有象無象」の意味や語源を押さえておきましょう。

読み方と意味

この言葉は、「有象無象」と書いて「うぞうむぞう」と読みます。「ゆうしょうむしょう」と読み間違えないように気をつけましょう。

数が多いだけでくだらない人や物」もしくは、「形があるもの、形がないもののすべて」を言い表します。一般的には前者の意味合いで使われることが多い言葉です。

由来・語源

「有象無象」は、仏教用語の「有相無相(うそうむそう)」に由来していると考えられています。

「有相無相」とは、「形があるもの、形がないもの」という意味を持ち、「この世のすべてのものや事象」を指す言葉。この言葉が転じて「相」と「象」が入れ替わり、「数が多いだけでくだらない人や物」というニュアンスを伴いながら「有象無象」が使われるようになったと考えられています。

ネガティブな言い回しなので、使用時は注意!

「有象無象」には、単に「数が多い人や物」を指すだけでなく、「くだらない」といった蔑むようなニュアンスが含まれます。特に、人間の集まりに対して「つまらない者ばかり」というようなネガティブな意味を込めて用いられるため、使用時は注意しましょう。

「形があるもの、形がないもののすべて」を指したい場合は、「有相無相」や「森羅万象(しんらばんしょう)」を用いたほうが伝わりやすいです。

使い方を例文でチェック!

では、実際には「有象無象」はどのように使用できるのでしょうか。ここからは、使い方の例文をご紹介していきます。

1:【有象無象】どもが集まっても、なんの役にも立たない

数が多いばかりでくだらない人々が集まっても意味がない、といったニュアンスを含む使い方です。このように、「有象無象ども」という形で、見下した言い方で用いられることがあります。

2:多くの情報が耳に入るが、どれも【有象無象】なものばかりだ。

人ではなく、物を「有象無象」と喩えた例がこちら。多くの情報があっても、どれもくだらないものばかりだという意味合いの文章です。このように形容詞的に使う場合も珍しくありません。

3:【有象無象】のなか、たったひとり彼だけが目をひいた。

大勢のつまらない人たちのなか、彼だけが際立っていた、といった意味合いの文章です。このように「有象無象」を名詞として使うこともできます。

類語や言い換え表現は?

では、「有象無象」はどのような言葉で言い換えることができるのでしょうか。ここからは「有象無象」の類語や言い換え表現をお伝えしていきます。

1:烏合の衆(うごうのしゅう)

「有象無象」の類語としては、まず「烏合の衆」が挙げられます。

「烏合の衆」とは「ただ集まっているだけの、まとまりのない人々」を意味する言葉。不特定多数の人々や寄せ集めのグループを指す際にも使えます。
「有象無象」とは異なり、「くだらない」「つまらない」といったニュアンスを伴わずに使われる場合もあります。

2:小物(こもの)

人物の卑小さを表わす「大物」に対する語で、「くだらない人々」「つまらない人々」といった意味を持つ「有象無象」に似た言葉といえます。

ただし、「有象無象」が複数、もしくは不特定多数に対するたとえであるのに対し、「小物」は一人の人物に対しても使う点が異なります。

3:雑輩(ざっぱい)

「雑輩」も「小物」同様に、人物の卑小さを表わす意味の言葉で、「有象無象」の類語といえます。こちらもまた、複数人に対して使う「有象無象」とは異なり、1人の人物、集団、どちらにも使うことができます。

また、「有象無象」は物などの人以外にも使われることがあるのに対し、「雑輩」は人にのみ使われるため使い分けましょう。

4:森羅万象(しんらばんしょう)

「この世にあるすべてのもの」を意味する「森羅万象(しんらばんしょう)」。「有象無象」の「形があるもの、形がないもののすべて」の意味において、「森羅万象」も類語とすることができます。こちらには「有象無象」が持つ「くだらない」「つまらない」といったニュアンスが含まれません。

対義語は?

ここでは「有象無象」の対義語をチェックしていきましょう。正確には「対義語」と呼べる言葉が存在しないため、以下では、反対のニュアンスを含む言葉をお伝えしていきます。

1:多士済々(たしせいせい)

「多士済々」は、「優秀な人物が多くいること」を表す言葉です。「多士」=「多くの」、「済々」=「数が多いこと」を組み合わせた四字熟語です。そのため、「くだらない・つまらない人々の集まり」を意味する「有象無象」とは反対のニュアンスの言葉といえます。

2:少数精鋭(しょうすうせいえい)

「少数精鋭」は、「少数ながら、選りすぐられた優秀な人々」を指す言葉で、「くだらない多くの人々」を指す「有象無象」とは反対の意味を持つ言葉といえます。話し言葉、書き言葉どちらでもよく使われるので、ぜひ覚えておきましょう。

3:唯一無二(ゆいいつむに)

「唯一無二」は「ただそれひとつしかなく、同じものが他にはないほど貴重なこと」を指す際に使う言葉で、こちらも「くだらない多くの人々」や「形があるもの、形がないもののすべて」を意味する「有象無象」とは反対のニュアンスを持つ表現といえるでしょう。
「〇〇は唯一無二だ」もしくは「唯一無二な〇〇」として、人や物と繋げて使うことができます。

英語表現は?

では、「有象無象」は英語ではどのように表現できるのでしょうか。ここからは、「有象無象」に相当する英語表現をお伝えしていきます。

1:the rabble

“the rabble”は「庶民ども」「下層民」といったニュアンスを持つ言葉で、「くだらない多くの人々」を言い表す「有象無象」の英語表現として用いられます。

2:odds and sods

「雑多な人たち」「がらくた」という意味を持つ“odds and sods”。“odds”=「勝ち目、勝算」と“sods”=「馬鹿者」が組み合わさって、お互いを打ち消し合うかたちで「どうでもいいもの」といったニュアンスを持ちます。そのため、「有象無象」の「くだらない多くの人々」といった意味の英語表現として使うことができます。

3:the ragtag and bobtail

「有象無象」や「烏合の衆」の英訳として用いられる語に、“the ragtag and bobtail”もあります。“ragtag”=「雑多な集団」と“bobtail”=「短い尻尾」を組み合わせたスラングで、相手を侮辱する際に使われます。使用には要注意の言葉です。

言い換え語でも失礼にあたる可能性が。言葉選びには要注意!

今回は、「有象無象」の意味や使い方、関連表現をご紹介してきました。

お伝えしてきたとおり、「有象無象」には対象を侮辱するようなニュアンスがあります。言い換え表現にも同様のニュアンスを持つものがあるので、使用の際は慎重になりましょう。

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構成・文/羽吹理美

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