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「子どもをつい叱りすぎてしまう」どうしたらいいの?
「今日もまた子どもを叱ってしまった」「イライラして、つい小言を言いすぎてしまった」と感じたことはありませんか。子どもを叱るたびに反省するのに、また同じことを繰り返してしまう自分自身がイヤになってしまうこともあるでしょう。
そこで今回は心理カウンセラーの根本裕幸さんに、子どもを叱りすぎてしまうママの心理について、そしてイライラや怒りの対処法についてうかがいました。
子どもが唯一の「甘えられる相手」になっていない?
根本さん:一般的には、ママのほうが子どもと接する時間が長く、どうしても子育ての問題が自分の中の上位に上がりやすい傾向にあります。
そんなママ達は、今までの人生でそれだけ、自分の感情のままに怒鳴れる相手っていましたか? きっといないという人が多いですよね。実は子どもというのは、ママにとって唯一といっていいほど心を許せる相手であり、甘えられる相手となっているのです。
どんなにママが怒っても、お子さんは攻撃してくることはないとわかっているから、ついガミガミ言ってしまうんです。特に、普段あまりママ友などと接点がなかったり、夫が子育てに対して積極的ではない場合などは、ますます「甘える相手」が子どもしかいない状況になってしまいます。
さらに仕事と家庭との両立の忙しさや、自分への苛立ち、新しい環境のストレス、夫への不満などを発散する場がなく、行き場を失って、甘えられる存在である子どもへと向かってしまっている場合もあります。まずは自分の心の中にある本当の問題は何なのか、目を向けてみてください。
子どもの目につく部分は、”親自身”の嫌な一面であることも
根本さん:心理学には「投影」という言葉があります。これは「自分の心の中にあるものを外の世界に映し出している」という考え方です。自分の目につくものというのは、実は自分の内側にある、見たくない一面だったりすることが多いのです。
たとえば、子どものサボりぐせが目についてイライラするというのは、本当は「何事も続かない自分自身」を嫌悪しているということもあるでしょう。そういった自分に対しても厳しくしすぎず、「そんな私でも大丈夫」と許してあげると、子どもへの見方も変わってくるかもしれません。
短くてもいいから「自分の時間」を持とう
根本さん:さらに、いつもイライラしている自分のことを「ダメな母親だ」「こんな母親で申し訳ない」などと、責めてしまうこともよくあると思います。しかし、このような罪悪感はやがて、子どもに起こった問題や成績などに対しても「自分のせいだ」と感じるようになり、子どもを常に監視したり、細かく口出ししたりするようになったりします。子どもが成績が悪いのは自分のせいだと、子どもの代わりに宿題をやってしまうというケースだってあるのです。
こうした関係は次第に心理的に子どもと母親の間の境界線がなくなり、お互いに苦しい状態になってしまいます。子どものことに意識を取られすぎているなと感じたら、短くても自分の時間をちゃんと取るようにしましょう。「一人でゆっくりお風呂に入る」「好きな本を読む」「泣ける映画を見る」など自分の好きなことをするとよいでしょう。
また、ちょっとおまじないのように感じるかもしれませんが、「私は私、子どもは子ども」と、つぶやいてみるのもよいと思います。心の中で少し子どもとの距離をとってみると、子どもも「自分の世界を否定されない」という安心感が生まれ、親子関係がよくなることが多いです。
SNSに振り回されないで!「よいママ」になろうとしなくてもいい
根本さん:最近はインスタグラムなどで「子どもがいてもおしゃれなママ」や「子どもを一番に考える優しいママ」のような写真や投稿を目にする機会も増え、ますます自分を追い込んでしまっている人も多いです。
しかし、そんな情報に振り回されないでください。よい母親になろうとしなくていいし、子どもを怒ってしまってもいいんです。ママの気分がよいときに子どもにちゃんと愛情を伝えてあげるようにしましょう。(インスタグラムのキラキラな投稿を見るよりも、Twitterで「#子育てつらい」を検索すると、共感できることが多いと思います笑)
イライラするときは、その場を離れてクールダウンしよう
根本さん:どうしてもイライラして頭に血が上っているときは、やかんのお湯が沸騰しているような状態。それを止めるには物理的にコンロからやかんをおろすしかありません。つまり、ちょっとその場を離れてクールダウンすることです。足をしっかりと地面におろすイメージで、頭に上った意識を下へと下ろしていくのもよいでしょう。
しかし、それ以前にまずはママの心を守ること。これは子どもを守ることにもつながる最優先事項です。ママは自分のことを後回しにせず、心が喜ぶようなことをする時間を強制的にでも持つようにしてください。カラオケ、買い物、友達と会う、体を動かす、おしゃれをする・・・なんでもよいので、そういう選択肢をたくさん持っておくとよいですよ。
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文・構成/平丸真梨子