「日進月歩」=「少しずつ進歩する」は間違い! 正しい意味や読み方、語源、例文、関連語をご紹介

「日々絶えず、進歩すること」を意味する『日進月歩』という四字熟語。本記事では、『日進月歩』の正しい意味や読み方、語源、使い方、関連語までを一挙ご紹介していきます。

「日進月歩」とは?

まずは、『日進月歩』の読み方や意味、語源を知っておきましょう。

読み方と意味

この四字熟語は『日進月歩』と書いて「にっしんげっぽ」と読みます。「絶え間なく、日々進歩すること」を意味する言葉で、主に技術や科学・医療・通信・工業等の進歩や発展を述べるときに使われています。

あくまでもポジティブな意味での”進化”を表しており、悪化を表すときには使わないので要注意。

由来・語源

この言葉の語源は、古代中国の思想家・荀子(じゅんし)による故事『天論』に書かれた以下の一節です。

原文:君子敬其在己者、而不慕其在天者、是以日進也
訓読:君子は其の己に在るものを敬して、其の天に在るものを慕わず。ここを以て日に進む。

この文は、噛み砕くと「道徳的にりっぱな人格者は、自らの努力をうやまい、天から与えられるものを期待しない。そのため、彼らは日々進歩することができる」という意味になります。
原文の「日進」という言葉をベースに、「日月」と「進歩」を組み合わせて『日進月歩』という言葉が生まれたと考えられています。

注意!「少しずつ地道に進歩する」という意味ではない

『日進月歩』で間違えやすいのが、「日々、少しずつ(地道に)進歩する」というニュアンスを込めて使ってしまうもの。

『日進月歩』には、むしろ「急速に進歩する」といった意味合いがあります。「毎日のように進歩する」=「進歩のスピードが速い」ものとして、飛躍的に発展するイメージで覚えるようにしましょう。

使い方を例文でチェック!

ここからは『日進月歩』の使い方を、例文を通じて押さえておきましょう。

1:昨今のAI技術の発展には、【日進月歩】と言えるほど目覚ましいものがある。

このように、『日進月歩』は主に技術や科学・医療等の発展について言い表す際に使われます。

2:再生医療は【日進月歩】の勢いで進化していると言われるが、本当だろうか。

「勢い」と組み合わせて、発展の勢いが急速な様を表現することも可能です。

3:入社後の一年間は、日々新たな挑戦の繰り返しで、自分のスキルが向上していくのがわかった。まさに【日進月歩】の期間だった。

「日進月歩の期間」として、急速に発展した期間を示すこともできます。

類語や言い換え表現は?

では、『日進月歩』はどのような言葉で言い換えることができるのでしょうか。ここでは、類語や言い換え表現をご紹介します。

1:日就月将(にっしゅうげっしょう)

「日々、月々、進歩すること」を意味する『日就月将』。技術のほか、勉強に関する前進の様子を表現したいときにも使いやすい言葉で、『日進月歩』の類語として知られています。

2:秒進分歩(びょうしんふんほ、びょうしんふんぽ)

『日進月歩』をアレンジして、「日」「月」に「秒」「分」を当てはめた言葉。『日進月歩』よりもさらにはやい速度で進歩することを言い表しています。

3:飛躍的(ひやくてき)

『飛躍的』は、「(進歩・発展が)急激であるさま」を言い表した言葉です。『日進月歩』のように、そのままでは「進歩」や「発展」の意味を持たないので、「飛躍的な進歩」「飛躍的な発展」と言葉を組み合わせて使いましょう。

対義語は?

『日進月歩』の逆の意味を表現したいときは、どのような言葉を使えば良いのでしょうか。『日進月歩』には、正確には対義語と呼べる言葉がないため、反対に近い意味を持つ言葉をご紹介します。

1:旧態依然(きゅうたいいぜん)

『旧態依然』は、「昔のままで、まったく進歩のないこと」を指した言葉です。そんな状態を「非難する」ニュアンスもあり、急速に進歩する様を言い表した『日進月歩』とは反対の言葉と言えます。

2:時代錯誤(じだいさくご)

『時代錯誤』とは、「異なる時代のものを混同してしまうこと」のほか、「時代が変わっているにもかかわらず、時代遅れの行動・態度をとること」の意味を持つ言葉。
『日進月歩』の「真逆」と言うのは少し違和感がありますが、潔く前進できない様子を表している点において、『日進月歩』の「反対に近い意味を持つ言葉」と言えるのではないでしょうか。

英語表現は?

では、『日進月歩』は英語ではどのように表現できるのでしょうか。最後に、『日進月歩』に近い意味を持つ英語表現をお伝えします。

1:rapid progress/advance

“rapid”=「急速な」と“progress(advance)”=「進歩」を組み合わせた“rapid progress (advance)”は、「急速な進歩」と訳すことができます。『日進月歩』の「絶え間なく、日々進歩する」といったニュアンスは薄まりますが、進歩の急速さを表している点から、近い意味の英語表現と言えます。

2:steady progress

“steady”=「安定した」と“progress”=「進歩」を組み合わせた“steady progress”は、「安定した進歩」と訳せる英語表現です。こちらからは、「急速さ」の意味合いが消えてしまいますが、『日進月歩』が持つ「絶え間ない進歩」の意に近いニュアンスを持つ英語表現です。

座右の銘や目標に使われることも!

今回は、『日進月歩』の読み方や意味、語源、使い方、関連語をご紹介してきました。

「絶え間なく、日々(急速に)進歩すること」を意味する『日進月歩』。座右の銘や企業等の目標として掲げられることも多い四字熟語です。ぜひ、正しい意味を把握して、積極的に用いてみましょう。

あなたにはこちらもおすすめ

大混乱! 無我無中、無我夢中、無我霧中、正しいのはどれ!【四字熟語テスト】
日常的に口にしている四字熟語も、いざ漢字で書くとなると「どうだったっけ?」となるものです。今回おさらいしておきたいのは「むがむちゅう」。 ...

文・構成/羽吹理美

編集部おすすめ

関連記事