数学芸人とは?
数学教師とお笑い芸人の二足の草鞋を履いて活動しているタカタ先生。YouTubeの楽しくてわかりやすい算数動画が人気で、メディアだけではなくイベントや探究学舎の講師なども務めています。『小学生のためのバク速! 計算教室 』、『笑う数学』などの書籍では、わかりやすくて計算が好きになる驚きの計算法、数学の楽しさなどを紹介しています。
数学芸人タカタ先生のプロフィール
<プロフィール>
数学教師芸人 タカタ先生
1982年12月29日 広島県廿日市市生まれ
東京学芸大学 教育学部 数学科 卒業
2020年に開設した世界一楽しい授業チャンネル「スタフリ」(
2023年に開講した「タカタ先生の算数わくわく探検隊」(
著書『小学生のためのバク速!計算教室』(フォレスト出版)
数学教師芸人になるまでの道のり
―タカタ先生が算数好きになったきっかけは?
タカタ先生:算数が好きになったきっかけは、幼稚園くらいからはじめたドリルです。とにかくドリルばっかりやっている子どもで、お母さんから「いつまでドリルやってるの!」って怒られたくらいドリルオタク。
家のドリルを全部解き終わると2周目は違う解き方をしてみたりして、ゲームソフトを全部クリアしたけどまた違うことやろうかなみたいな感覚でやってましたね。
―数学教師芸人になるまでの経緯を教えてください
タカタ先生:お笑いが好きになったきっかけは、ドリフターズですね。父が好きで、撮りためていたテレビの録画を繰り返し見ていました。それで、高校卒業後に東京学芸大学教育学部数学科に進学し、中学高校の先生になる勉強をしながら大学でお笑いサークルに入りました。
大学卒業後に学校の先生になったんですけど、初年度は生徒や職場の人間関係があまりうまくいかなくて1年で退職、そのあと吉本興業の養成所に入って吉本所属の芸人になりました。最終学歴は吉本興業養成所になります(笑)。
その後結婚のために吉本芸人と学校の先生の二刀流で活動するようになって、そこから10年間続けました。
―時代に先駆け、YouTube活動をはじめたきっかけを教えてください
タカタ先生:教師をしているときに、授業だけでは理解できない生徒がいたので、復習用にその日やった学校の授業内容をYouTubeにあげていました。授業では説明できなかった裏技や難しい問題の解説とかそういうのも動画にプラスしていましたね。
―当時、学習にYouTubeを取り入れるのは珍しかったと思います。親御さんやお子さんの反応はどうでしたか?
タカタ先生:反応は、すこぶるよかったですね。その時代にYouTubeを取り入れたのは最先端で、教育系だと一番早いかもってくらいですね。
ーYouTube、オンライン授業の活動はどのように広がっていったのですか?
ちょうどコロナが流行する直前なんですけど、僕は新しい活動としてYouTubeやオンラインで授業を始めていました。それで当時非常勤講師で務めていた学校の契約更新時に、「学校の授業を撮影してYouTubeにあげるとか、学校の取り組みとして一緒にやれませんか?」と提案したんですよ。そうしたら、前例がないので難しいですと言われてしまって。それでも僕はオンラインをやってみたかったので学校を辞めようとしたタイミングでコロナ禍になりオンラインの需要が増えたんですよね。
別の話で、昭和鉄道高校の教師をしていたことがあったのですが、鉄道マンって昇進試験に数学の問題がでるんです。だからその試験に出るような問題の解説動画をYouTubeにずっとあげていたんですよね。そうしたらこの間、駅を歩いていたら駅員さんに「タカタ先生ですね!じつは先生の動画で昇進試験受かったんですよ」と声を掛けていただいて。それはすごく嬉しかったですね。
また、スタフリという中学生に向けたYouTubeを1年間やって、そのタイミングでコロナが流行り学校が休みになりました。
『教育をとめるな』というスローガンで、当時様々な企業が自社のコンテンツを無料で提供したりしていたので、僕もその流れでZOOMを使って無料で授業をやってみたら全国からたくさんの人が参加してくれました。
算数は奥が深くてロマンがある!?
―算数、数学をずっと好きであり続ける理由は?
タカタ先生:まずひとつは、むちゃくちゃ奥が深いことですね。歴史で言うと、2万年前の骨が出土されたときにその骨に素数の数だけ傷がついていたと聞いたことがあるのですが、2万年前に素数に気がついて興味をもった人類がいて、あーだこーだ考え蓄積されて積みあがったものが数学なんですよね。おそらく算数、数学ってあらゆるジャンルの中で一番歴史が深いのではないかと思っています。
学校の先生をやっている時に気がついたのは、学生時代はいかに表面でしか数学を理解できていなかったんだろうということです。
いざ教える側になったときに教材研究をする中で、同じ問題でも一面的にしか見られていなかったけど、もっといろんな方向から見れるんだなとか、方程式がなんでこの世に生まれたんだろうとか、方程式が生まれたことで世の中がどのように変わったのかとか……、そういう歴史の中での数学という存在がどのようなものだったのか考えると、数学にロマンを感じてしまうんですよね。
日常に算数を取り入れて楽しく勉強してみよう!
算数をいろいろな視点で考えると奥が深くて面白いですね。次の記事では、タカタ先生に算数嫌いを克服する方法や、いまの学習に必要なもの、先生の授業内容などについてのお話を紹介しています。知ればきっと算数がもっと好きになる!続きのインタビューもぜひ、ご覧ください。
低学年・高学年向けオモシロ計算法はこちら
低学年編・高学年編で紹介されるタカタ先生の著書「
撮影/五十嵐美弥
取材・文/やまさきけいこ